とんがりギャルゲー紀行 第58回:MAGICAL BLOCK CARAT

さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。

『MAGICAL BLOCK CARAT』

1992年にカスタムがPC-9801 VM以降向けにリリースした落ちモノパズルゲーム。柳ひろひこのオリジナルキャラクターであるチップちゃんが前面に出ています。

▲カスタムのロゴ。メトロ・ゴールドウィン・メイヤーのライオンのようにチップちゃんが吠える

当時は落ちモノパズルの人気が高く、数多くのパズルゲームがリリースされていました(『ぷよぷよ』のおかげで対戦型パズルも増えた)。本作はそのうちのひとつで、特定のモードでステージクリアするとエッチなご褒美CGが見られるというよくある形式を採用しているものの、オーソドックスなパズルに独特なルールを追加したゲーム部分、高クオリティなグラフィックと音楽など際立った個性を持っている良作です。

同じブロックを3つ繋げて消すオーソドックスなルールですが、タテ/ヨコモードとナナメモードをボタン操作で切り替えるシステムがアクセントを加えています。タテ/ヨコモードの時はナナメに同ブロックを3つ以上並べてもブロックは消えず、逆にナナメモードの時にタテ/ヨコに同ブロックを3つ以上並べても消えません。モード切替を利用することでブロックを消すタイミングを自分で選ぶことができるのです。

▲同ブロックが3つ揃っているのに消えていない

この特性を生かしてブロックを十字型やX字型に並べてから消すのは本作の定石であるようです。ルールが覚えやすく、パズルゲームの初心者でも2連鎖くらいなら簡単に組めるのはありがたいですね。

さりげなくブロックの模様パターンが複数あるのも面白いですね。

上画像ではブロックの模様が清涼飲料水のパッケージになっています。「お~いお茶」など商品名をぼやかしてすらいない堂々っぷりに大丈夫なのかと心配にはなりますが、見た目で飽きにくい良い工夫ですね。他にも麻雀牌、花札、タバコのパッケージなど9種類(対戦モード用のブロックもあるのでそれ以上)用意されています。たまに色が似ていて見づらいものもありますが、プレイしていればすぐに慣れるのでストレスに感じるほどではありませんでした。

▲ノーマルモードではブロックの模様を自分で選択できる

ゲームモードは3つあり、1人でもくもくとプレイする「Normal」モード、指示された課題を達成するとラウンドクリアになる「Task」モード、2人で対戦できる「Versus」モードがあります。ご褒美CGが見られるのは「Task」モードの難易度「妖艶天使」(たぶんイージーに該当?)です。

真偽は確認できませんでしたが、ご褒美CGに登場する女の子たちは沙織事件(美少女ゲームの万引き事件。表現や年齢制限について見直されるきっかけになった)の影響で急遽パンツを履かされることになったらしいです。PC-98版が非18禁に設定されているのはパンツを履いているからなのでしょうが、お乳は普通に見えているのであんまり非18禁な感じがしませんね。ちなみに98年に出たX68000版はアダルトゲームとしてリリースされたので、女の子たちはまたパンツを脱がされているそうですよ。世情によってパンツを履いたり脱いだり、ヒロインもグラフィッカーも大変ですね。

▲「VERSUS」モードから一枚。無骨な造形と配色のセンスにグッとくる

CGは見られませんが、対戦も楽しいですね。基本ルールは変わらず、連鎖を起こして互いの残り時間を奪い合う形式になっています。相手の邪魔をする攻撃ではなく、残り時間を奪うというのは珍しいシステムでしょう。少なくとも他では見たことがないかも。ちなみに操作はひとつのキーボードを左右で分け合ってやります。

上でも書きましたが、『MAGICAL BLOCK CARAT』はゲーム内容だけでなく全体的にクオリティが高い作品です。ファンの間では対戦が特に熱いという意見もありますが、1人でもたっぷり遊べると思いますよ。残念ながら今は入手しづらいのですが、機会があったらぜひプレイしてみてください。パンツを脱いでいるほうがいいという方にはPC-98版以外がおすすめです。

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