とんがりギャルゲー紀行 第86回:やきもちツインベル

今回からしばらく別件のお仕事が忙しいのでしばらく隔週更新になります。私が書いていない週は元ゲーセン店員の稲波さんが自コーナーとパンフレットの記事を上げていますので、ぜひそちらも読んでみてくださいね。

さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。 今回ご紹介するのは、エロゲー業界の大手ブランドである戯画の1作、

『やきもちツインベル』(2004年11月26日)

双子ヒロインたちと恋するエッチなゲームです。

タイトルだけ見ると、仲良しのはずの双子が主人公をめぐって取り合いをしたりとニヤニヤな修羅場が待っていそうに思えますよね? ジャンルも「ヤキモチ系萌え萌えツインズアドベンチャー」と設定されていることもあり、当然ながらそれを期待したユーザーは多いはず。

しかしながら本作のヒロインは妬かないんです。それはもう驚くほど。

生焼けですらない。

炙りもしない。

もはや生。

姉妹で揉めたりはせず、仲がいいゆえに譲り合ってしまうんですよ。幸いなことに主人公への愛情はあるのですが、それもどうして好かれているのかは描写されないためピンと来ません。パッケージ裏に書かれていた「双子トライアングル」とはなんだったのか。

そもそも個別ルートも短いので、やきもち焼く暇はさほどなかったのかもしれませんが。

シナリオ上の問題はまとめると大体以下のとおり。

  • まず主人公がヒロインに好かれる理由がわからない。
  • エッチシーンは脅威の5クリック。
  • 共通ルートでシナリオの大半を使っている。
  • そもそもシナリオが短い。
  • やきもち非搭載。

驚くほど薄い内容にやきもきさせられるので、タイトルが『やきもきツインベル』だったら完璧でした。

惜しかったね。

やきもちイベントのない、誰もかれもがほんわかな世界観をウリにしたゲームもあっていいと思いますし、実際にそれで人気を獲得した作品もあります。

ですが、「ヤキモチ系萌え萌えツインズアドベンチャー」として売っておいて三角関係がろくに描写されないのでは、ユーザーにガッカリされてしまうのは仕方のないことでしょう。

コンセプトを放棄せず、プレイヤーが期待するであろうシチュエーションを少しは入れるべきです。同棲生活を謳っているのにたまにお泊りするだけだとか、人気作の続編なのに前作の中途半端な焼き直しシナリオを入れるようなものです。今、例えに挙げたようなゲームが本当にあるからびっくりしちゃいますよね。

しかしながらエロゲーの中には、ヒロインたちが主人公をめぐって可愛いヤキモチバトルをしそうな雰囲気を公式サイトと体験版で醸し出しておいて、いざ本編をやってみたらヒロインたちが死んだり病んだり発狂するなんてこともあるので、まだ本作による精神ダメージはマシな方かも?

そう思うと私も結構酷い目に遭わされていますね。今さら気づきましたが、もうちょっと怒ってもいいのかも。そうするとタイトル代案は『ゴルゴムツインベル』でもよかったかもしれません。

戯画は歴史が長く、『ヴァリアブル・ジオ』や『バルド』シリーズ、『ショコラ』『パルフェ』『この青空に約束を――』の3部作など名作と言われる作品も数々リリースしているブランドですが、たびたびこういった……なんというか、いわゆる地雷といわれるゲームを生み出すんですよね。良質なゲームで油断させて地雷を紛れ込ませるから、本作のようなゲームが「戯画マイン」などと言われるのかもしれません。個人的には好きなブランドのひとつなんですけどね。

さて、今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

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