とんがりギャルゲー紀行 第11回:ボイスパラダイス

今回紹介するPC-FXタイトルの『ボイスパラダイス』は、下記5名の声優のファンに推奨したいゲームです。

・久川綾
・國府田マリ子
・丹下桜
・永島由子
・富沢美智恵

本作は企画原案・脚本・音響監督を千葉繁が務めているおかげか、登場声優がとても豪華です。
宇宙船を飛ばすエネルギーを集めるため、宇宙人が妖精たちと一緒にエネルギー源である声優の「声」を求めて探し歩くというのが本作のストーリー。そのため、小さな町のどこかで活動している声優になんとか接触しようと、情報収集して平和的にストーキングすることになります。ターゲットはゲーム開始時に任意で1人を選ぶことができますよ。
ですが、これがまたイベントとは無関係な移動場所は多いわ情報源は恐ろしく少ないわで初見ではロードしまくらないとクリア不可な内容になっています。そもそも必要になる声の数が3つなので、用意されているイベント自体恐ろしく少ない……!!

声優が仕事をしている姿は本物を実写で新規撮影したムービーや写真が使われているので、ファンには嬉しい内容だと思いますよ。他では使われていない(たぶん)映像もありますので。声探しはわりと苦行ですけどね。

上記は収録現場の光景です。

フリートークの動画はなんだか楽しそう。

髪型が古い……。時の流れを感じますね。

3人の妖精たちには先ほど書いた5人の声優から好きにキャスティングすることができ、この時選んだ内容は妖精たちのイベントシーンで反映されます。短いですがアニメも使われているのがPC-FXらしいところですね。ちなみにモブっぽく出てくる男の声は千葉繁がアフレコしています。

アニメシーン参考画像。ストーリー的な面白さを期待してはいけません。キャスティング通りの声になっているのでそれを楽しむのです。

声優の声を集めるのにも協力者である彼女たち妖精が「あそこが怪しい!」とそれぞれ意見を出してくれますが、これらはまったくあてにならないので注意しましょう。ゲームのヒントではなく、妖精のいうとおりにするとなんとなく機嫌がよくなるだけです(個別エンディングはないので特に意味はない)。筆者は言うとおりにして声優に会えたことがありません……。ピクシーは旅人を疲弊させるイタズラをすることがあると聞きますし、彼女たちもそうなのかもしれません。なんという罠。

コンサートはありませんでした。「おうおう無駄にした時間どうしてくれるんだおう」と追い詰めてお仕置きするパートが欲しかった。

そもそもゲームのメインである各声優の声集めは「いつ」「どこで」行えるかが固定で設定されているので、遭遇できた時にメモを取っていけばあっさりとクリアできてしまいます。それはゲームとしてどうなんだ。


ランダムで登場するおジャマキャラとクイズで勝負するミニゲームもありますが、これが楽しいかといえばそうでもありません。ちなみにランダムですので声優がいない場所へ行くときでも登場します。時事ネタがクイズに盛り込まれているので、世代が合わないと難しいかも? しかもクイズの内容は声優さんには関係ありません。

千葉繁はいくつかの声優ゲーの制作に関わっていますが大体みんなこんな感じでして、残念ながらどれも人気を獲得するには至りませんでした。起用声優をウリのひとつにした名作なら数多くあるのですが、ウリが声優だけではうまく料理できなかったんでしょうね。

「声優ゲーに名作なし」と言われるだけあって、数ある声優ゲーのひとつである本作にもアドベンチャーゲームとしての遊ぶ面白さには期待できません。正直なところ、本作は声優がそのまま登場するアドベンチャーゲームではなく、声優ファンディスクに本編という名のおまけがついているという認識でいるくらいがちょうどいいのではないでしょうか。
とはいえ、声優からファン向けのコメントや仕事姿が見られますからちょっとしたファンディスクとしてはそこそこいいものかと思います。

中古なら非常に安価で手に入りますし、出演声優のファンの方ならファングッズとしてゲットしておくのもいいかもしれません。
プレイステーション版の『ボイスパラダイス エクセラ』もありますので、そちらが入手しやすいのではないでしょうか。

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