第22回:高校時代に作った自作ゲーム(ワンアイデア編)

多分ゲームプログラマーは大抵似たようなものだと思うのですが、当時の私がゲームを作り始める時は「単なる思いつき」が多かった気がします。適当にドットを打っていて、適当にプログラムして動かしてみる。これに「どうやらイケそうだぞ」という手応えがあれば、どんどんシステムを肉付けしていくというやり方を取っていました。

  1. マイコンBASICマガジンの掲載プログラムの移植
  2. そのときにハマっていたアーケードゲームの勝手移植
  3. とりあえず思いつきのワンアイデアを形にしてみる

以前、ゲームの作り方としてこの3つを紹介したのですが、1つ目と2つ目はこれまでの連載でさんざん紹介してきたので、今回は3つ目のケースを紹介してみたいと思います。ただし、ゲームとして完成できたものはこれまでに紹介してきているので、第21回同様、「途中で投げてしまった」企画倒れなワンアイデアを集めてみました。

BALL BALL

ワンアイデア:キャラクターアトリビュートの実験

突然横文字を使ってしまいましたが、要するに『イシターの復活』みたいな「壁の手前に来たり、壁の後ろに隠れる」ような映像表現をしてみたいというのがこのプログラムの目的でした。マップのビジュアルを見ても『イシター』の影響ありありなのが見て取れます。ボールのデザインはなぜか『マーブルマッドネス』調ですが。

もっとも、きちんと隠面処理をやっているわけではなく、マップデータとは別にコリジョン(当たり判定)データを別に持っておき、それとぶつかった部分はキャラクター単位で描画しないという単純な方法で実現しています。『イシター』のマップが四角い壁だからこの手が使えるわけですが、割とそれっぽく見えるでしょう?

とりあえずここまで作ってはみたのですが、これから先をゲームとして面白くできるアイデアが思いつかなかったのでそのまま終了してしまいました。

CENOTAPH

ワンアイデア:音を頼りに宝探し

発信音を頼りに地面に埋められた宝探しをするゲームです。後に似たようなアイデアとして『サイレントデバッガーズ』『エネミー・ゼロ』がありますが、固定された宝を探すよりは「見えない敵」の方が確かに緊迫感ありますね。ちなみに、発信音の間隔が短いほど近くにあるという設定も後の2作と共通しています。

タイトルのCENOTAPH(セノータフ)とは辞書によると(遺骸を埋めた場所とは別に死者を記念して建てた)記念碑だそうで、なんでそんな罰当たりな宝探しをしようと考えたのか、作った本人なのにわかりません。

当時の資料も出てきたので一緒に紹介しますが、画面切り替えで敵と戦うバトルシーンも考えていたみたいです。もっとも、肝心の宝探しが作ってみたら全然面白くなかったので、そこで開発を打ち切ってしまってます。

JELLY

ワンアイデア:氷の上に色とりどりのジェリー

「氷の島の上にカラフルなジェリーを置いたら見た目涼しげで楽しいかも」という、ビジュアル先行型の企画。「火の主人公が床を溶かして云々」というのは、このビジュアルから思いついた後付け設定です。画面の雰囲気はアイレムの『迷宮島』を感じさせますね。

4色のジェリーそれぞれに別のアルゴリズムを設定したり、永久パターン防止策として氷のフィールドが時間経過とともに崩れていくなど、割としっかり作り込もうとしていたようなのですが……実際に遊んでみると、どうにも面白くならず放置と相成りました。

先の『CENOTAPH』もそうなのですが、設定やシステムをせっせと紙に書いているものに限って、企画倒れになっている傾向があります。紙の上でゴチャゴチャ考えるより、先に実際に作ってしまえということでしょうね。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。