家庭用ゲーム機のBGグラフィック(ファミリーベーシックなど)やPCG搭載機種(MSXやぴゅう太など)を触った人ならわかっていただけるかと思いますが、PCGを使って絵を描くという作業はとても楽しいです。
▲ファミリーベーシックのキャラクターパターン。
自由にドットを打つ(ビットマップグラフィックと呼びます)ことはできませんが、限られたパターンの組み合わせ次第では、ビットマップに勝るとも劣らない絵を描くことが可能(一方こちらはキャラクターグラフィックと呼びます)です。身近なところでは歩道でよく見られるモザイクタイルが、そのわかりやすい例ですね。
X1のPCGは8×8ドットのキャラクターを256パターン持つことができますが、この数では640×400ドット(80×25個のキャラクターが必要)のX1の画面全部を埋め尽くすことはできません。そこで1色ベタ塗りの場所や、くり返し同じ模様が出現する場所でパターンを共有することで節約するというテクニックが必要になります。
▲X1の画面構成。画面全体(80×25=2000)に対してパターン数は極端に少ない。
元々、NEW FM音源ドライバーでゲーム音楽を奏でることが主目的だったはずなのですが、「いかに少ないパターンでアーケードゲームの画面を再現するか」という、このパズルのような作業にいつの間にかハマってしまい、本来オマケだったはずの画面作りに没頭するようになってしまいました。
というわけで、前回に引き続いて自作の音楽ディスク用に描いたゲーム画面を公開します。パターンが少ない中で、いかに「それっぽく見せるか」という点に着目してみていただければ幸いです。
▲『ハレーズコメット』。黒が主体の画面は比較的作りやすいです。
▲『パワードリフト』。似たアプローチで作られたPCエンジン版っぽい。
▲『オーダイン』。画面いっぱいの地球なんてハナから無理なのでモザイク状に表現。
▲『ドラゴンスピリット』。文字と背景は重ね合わせできないので、背景色が違う文字は別に描いています。
▲『ドルアーガの塔』。パターンに余裕があったので、余りは宝物に割り当ててます。
▲『ブラスティー』。元がパソコンゲームなので再現は比較的容易でした。
▲『イース』。スクロール画面は比較的再現できたのですが、周囲の唐草模様は簡略して表現。
▲『アフターバーナー』はパターンの繰り返しに苦心の跡が。地面はさすがにベタ塗りです。
アフターバーナーのロールシザース中画面は、キャラクターグラフィックでは一番苦手とする画面でして、アーケードではスプライトの塊+回転拡大縮小機能で表現しています。当然、X1ではそんな事はできるはずもなく、当時の試行錯誤の一例ということでPCGをOFFにした画面とパターンエディタ画面を以下に掲載します。
今思うと、限られたパターンで画面を表現するという、当時のゲームにおけるグラフィック制作に必要なスキルは図らずもここで培われたのですね。
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