とんがりギャルゲー紀行 第30回:ALICE

さて、本日もとんがったゲームのお話をしましょうか。

今回紹介するのは『ALICE』
PSKことパソコンショップ高知が1984年に世に送り出した、PC-8801向けのコマンド入力式AVGです。元祖ロリコン漫画雑誌である『レモンピープル』が登場し、ロリコン漫画ブームが起こっていた頃の作品ですね。

※近頃はこういうゲームが出ていないので、わからないという人もいるのでは? と思いましたので一応説明しますと、コマンド入力式というのは、簡単な英語を入力してプレイヤーキャラクターの行動を決定するというものです。(例:「GO LEFT」で左に進むなど)

ゲーム開始直後、遭遇した時計うさぎを犯すアリス。

「RAPE 〇〇」のコマンドで自身や登場キャラクターにエッチなことができちゃいます。「オンナドウシ デ ナニヲ ヤットル!!」とメッセージが出てゲームオーバーになりますが。

『レモンピープル』をロリコン漫画雑誌とは言いましたが、決してロリ漫画だけを掲載されていたわけではなく、あの『冥王計画ゼオライマー』なども『レモンピープル』を代表する作品のひとつだったりします。エロさえあればオールOKな自由さが読者に愛されていたそうですよ。

ブームの立役者である吾妻ひでおも当時多大な支持を獲得していたのですが、彼は80年代後半に一時失踪していたこともあったとか。この理由のひとつはマニアックなファンからのプレッシャーから逃避するためだったとされています。ブームの熱狂具合は想像するだに恐ろしいですね……。

ちなみに、吾妻ひでおは、後に2度に渡る失踪の過去を基に『失踪日記』なる漫画を描き、「第37回日本SF大会で星雲賞ノンフィクション部門」「第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞」「第34回日本漫画家協会賞大賞」「平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞」を受賞しています。

人間万事塞翁が馬、禍福は糾える縄の如しとはいいますが、世の中何が起こるかわからないものです。

※ファンの方々を責める意図はないので、そんなことがあったのかー程度で流してください。

さて、『ALICE』のほうに話を戻しましょうか。
本作はイギリスの児童小説『不思議の国のアリス』を題材にしていますが、これは吾妻ひでおの同人誌『少女アリス』に影響を受けていると思われます。作者の武市好浩は吾妻ひでおに感化されていて、絵の雰囲気も氏の作風に寄せているからです。なので不思議の国といっても本作は珍妙不可思議でおバカなゲームになっていまして、ミステリアスではなくカオスといった感がありますね。

また、レモンな人々ならわかるであろうおバカな小ネタも作中に散りばめられているので、ただロリコンなだけではなく当時のノリを理解しているほうが本作をより楽しめるのではないでしょうか。気になる人はレモンピープルについても情報を集めてみるといいかもしれませんよ。

以下、かるーくゲームの流れを紹介していきます。

不思議の国にレモンピープルが……。

作者の武市好浩も登場。PSK他作品のネタもあったり。『ファイナルロリータ』は本作の次の年にリリースされたゲームです。

真っ当(?)な不思議の国要素であるチェシャ猫も出ます。

アリスに立ちはだかる変質者。正体は蛭児神建、ロリコンブームの立役者の1人です。この場面で「RAPE MAN」と入力すると返り討ちにあって襲われます。

変なことをしているとすぐゲームオーバーになっちゃいますね。蛭児神建は後に僧侶になった人物(現在はもう辞めています)ですが、まあこの当時はこんな扱いです。

暗い根っこの会の会員になぜか竜退治を命じられ……。

呪文でナイフをライトセーバーに変え、ドラゴンをやっつけます。

不思議の国から遠ざかった場所でテレビを発見。画面の向こうにいるユーザーを張り倒して脱出。それくらいアグレッシブじゃないと異世界から脱出なんてできないんでしょうね。

そしてエンディング。コマンド入力式AVGは入力する呪文を自分で考えなければならないのが大変ですが、今ならネットで調べればなんとかなるのがありがたいですね。

それでは今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

 

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