第19回:高校時代に作った自作ゲーム(スクロールゲーム編)

アーケードに限らず、ゲームの黎明期は固定画面が当たり前で、1画面の中にいかに敵の動きや仕掛けを盛り込むかがゲームデザインの妙でした。しかし、『モナコGP』『ディフェンダー』といったタイトルの登場によって画面外へと世界が一気に広がり、一部のパズルゲームを除いてスクロールゲームが一般化していきます。特に1983年に発売された『ゼビウス』に至っては「全エリアのマップが実は全部繋がっており、1枚の巨大なマップだった」といった演出も相まって、その壮大さはプレイヤーの想像力を大きく掻き立てたものでした。

一方、パソコンは元来スクロールを想定した機械ではないため、そういったゲームを作ることは苦手です。そのため、パソコン独自のゲームは1画面の中の情報量を上げる方向に進化していったといえるでしょう(もちろん例外はあります)。

とはいえ、アーケードゲームで育った私のことですから、どうにかしてX1でもスクロールを使ったゲームを作ってみたいと考えるようになり、テキスト画面スクロールの一部をマシン語で書くことによっていくつかのゲームを作ってみたことがあります。テキストスクロールのみでそこそこ見栄えするゲームが書けるのも、ひとえにPCGの恩恵といえます。

今回は、そんなスクロールゲーム特集というテーマで、過去の作品の中からスクロールゲームをピックアップしてみました。

RUN!

ひと目見ただけでルールが一目瞭然な縦スクロールドライブゲームです。何故か路上に転がっている岩を避けながらフラッグを取るという内容で、キャラクターのデザインはどことなく(というよりモロ)『ラリーX』調ですね。

上方向にスクロール(ロールアップ)するゲームは、BASICの入門書レベルでそれこそ腐るほど見かけますが、「ドライブゲームをやるならやっぱり下方向スクロールでしょう!」ということで作ってみたゲームです。マップデータは固定なので、その辺のコースデザインを凝ればもうちょっと面白くなったかもです。

STAR DUST

タイトーの『サイバリオン』を見た直後に「こんなのを作ってみたいなぁ」と思いつつ、いざ作ってみたら全然関係のないものが出来上がったという作品です。胴体は、頭を消さずにスクロールで流れていく残像をそのまま流用しました。普通のゲームならキャラの残像が見えた時点でバグ呼ばわりされるところですが、このゲームに限っては「竜の胴体」と言い張ることでオッケーです。

隕石にぶつからないように得点アイテムと回復アイテムを取るという内容なのですが、よく考えるとスクロール方向が変わっただけで、ゲーム内容そのものは上の『RUN!』とまったく同じですね。一応8方向移動できるので多少は自由度が増しているのですが、自機の図体がでかいせいで爽快感は今ひとつなゲームとなってしまいました。

時には真珠のように

元はマイコンBASICマガジン1988年5月号に掲載されたMSX用プログラムです。
そもそもMSXとX1は根本的にアーキテクチャが異なるので、タイトルと設定だけ引用した、ほぼオリジナル作品です(「キャラクターもオリジナルなのか?」と言われれば、それはまあ、昔に作ったゲームなので言いっこなしということで)。オリジナルのMSX版では全部スプライトで表現していましたが、X1に移植するにあたって『STAR DUST』のマシン語ルーチンを流用しています。

「下に落ちないようにビックバイパーを踏み続ける」という内容なのですが、初見プレイだといきなり死んでしまうため、イージーモードでは死亡防止用のバリア(一定の得点に達すると消える)を追加しました。

隠密戦士ジライダー

まったく見えない地雷を避けながら地雷原を走破するという横スクロールゲーム。プレイヤーの周囲4方向のいずれかに地雷があると反応するレーダーを頼りに、体力がなくなるまでに画面右端までたどり着ければ面クリアとなります。

アイデアの発端はドラえもんの「さいなんブザー」からなのですが、『マインスイーパ』みたいに地雷に印をつける要素を追加すればもっと戦略性も出て面白くなっていたかもしれませんね(作った当時は『マインスイーパ』を知らなかったので無理もないですが)。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。