昨年に引き続き新型コロナの話題が続き、逆風吹き荒れる中でどうにか無事に開催された東京オリンピックなど何かと話題に事欠かなかった2021年。オミクロン株なんてものまで出てきた昨今、平穏な日常と言うにはもうしばらく時間が必要ですが、皆様はいかがお過ごしだったでしょうか? 私はありがたいことに大きな影響も受けることなくたくさんの仕事の話をいただくことができ、本を出版することができました。そんなわけで、昨年に引き続き今年一年に発売された本を振り返りつつ、印象に残った話をしてみたいと思います。
アストロシティミニパーフェクトカタログ
セガの設立60周年記念事業のひとつとして発売された、アーケード筐体「アストロシティ」のミニハードに特化した本です。『ダークエッジ』や『アラビアンファイト』など、今まで移植の機会に恵まれなかったシステム32タイトルなどが多数収録されていることからそのチョイスの渋さでも話題になりましたね。
私自身は直接プロジェクトに参画してはいない外野の立場でしたが、それでもせっかくの60周年なので少しでも盛り上げたいという気持ちから、「そのまま説明書としての使用に耐えうる本を作ろう」という気持ちで取り組みました。昨年の『PCエンジンミニパーフェクトカタログ』で好評だった各タイトルの操作説明も入れております。
これだけは絶対遊んでおきたい1990年代のRPG
前述の『アストロシティミニパーフェクトカタログ』と進行がかぶって昨年の年末年始を返上して作った本です。こちらはメディアソフトから「コンビニに置く巣ごもり需要向けの本」というオーダーを頂いた本でして、名作・珍作取り混ぜて1990年代で印象深かったRPGをセレクトしてみました。コンビニのみという性格上、ネット書店で入手することができず問い合わせがあっても応じられなかったのが少々残念でしたね。また、出版社側の都合で広告に成人向け商材が掲載されていたため「親子で読めない」というお叱りも受けました。中身はむしろそういった読まれ方をしてもらえるように作ったんですけどね。
プレイステーション・ポータブルパーフェクトカタログ
プレイステーション・ポータブルを題材にしたパーフェクトカタログです。PSP全時代を丸々1冊構成した本は存在しないため、本テーマを扱った本は現状で唯一無二といえます。この頃になると収録タイトル数と価格、ページ数のバランスに悩むことが多く、なるべく本の値段を抑えつつもページ数のボリュームは確保するという最適解を突き詰めた結果、1ページに10タイトルというやや窮屈なレイアウトを採用せざるを得ませんでした。実際、1タイトルあたりの紹介スペースが小さいという感想も頂いたのですが、下手をすると270ページ以上で3000円近くなりかねない本というのはどうかと思います。
PSP本を作る上で留意したのは「ソニーのメディアプレイヤー戦略を担った製品である」ということと「旧来の携帯ゲーム機にない“美しさ”」を伝えることでした。そのため、メディアエンジンや非ゲーム機能の説明はもちろん、本体写真もディテール部分を多く掲載しています。当時PSPを持っていたユーザーは買ってしばらく本体を眺めるだけでニヤニヤしていたと思うのですが、もしかして私だけですかね?
バンダイゲーム機パーフェクトカタログ
バンダイというメーカー括りで1冊の本を作るという、パーフェクトカタログシリーズ初めての試みとなった本です。元々はワンダースワンが企画の発端だったのですが、これのみではどうしてもボリューム不足ということで図らずもバンダイゲーム機を総括する本となりました。流石にこの規模だと私一人で全部を調達できず、複数のコレクターの方に協力を仰ぎました。おかげで類を見ない、バラエティに富んだ本になったと思います。
残念だったのはLSIゲーム関連がどうしても駆け足(本来これだけで本1冊書ける)となってしまった点でして、これについては改めて独立した本を書きたいと考えています。
あの頃欲しかったホビーパソコンカタログ
こちらは2014年にオークラ出版から発売した『懐かしのホビーパソコンガイドブック』をリメイクしたいという意図で作った本です。そもそも同書は私が書いた『ホビーパソコン興亡史』と対になった企画でほぼ同時期に編集したという都合から、1機種あたりについて十分に写真を撮る余裕もなかったのできちんと写真を撮り直して出し直したいと考えていたものがようやく実現したものです。
特にやりたかったのは「キーボードレイアウト」と「背面写真」でして、この2つは情報が溢れている現在においても意外とないんですよね。ただ、判型をパーフェクトカタログと同じB5判にしてもかなり小さくて見にくいものになってしまったため、もし需要があるならばさらに写真を大きく、端子説明も加えたリメイクをやりたいと思ったりします。
ドリームキャストパーフェクトカタログ
「これを出さないわけにはいかんでしょう?」というわけで、セガ最後の家庭用ゲーム機となったごリームキャストを題材としたパーフェクトカタログです。どうしてもハード事業撤退のイメージが強く、そういった側面で語られがちなドリームキャストですが、本書で語りたかったポイントは「ネットインフラを作り上げる」という壮大な挑戦を行ったハードであるというところですね。ウェブはもちろんメールやプロバイダ事業にメディア事業、決済サービスにいたるまで当時のCSKグループのバックアップがあったとはいえ、いちハードに投入する労力を遥かに超えています。いかにセガが不退転の覚悟で臨んだか、そしていかに苦渋の決断でハード撤退を決めたのか、ぜひ本書を通じてその顛末に触れていただければと思います。
内容面では基本的にはハードとソフトの両軸で解説するというパーフェクトカタログのスタンスなのであえて語ることろはないのですが、ひとつだけ付け加えるならばドリームキャストのイメージカラーのオレンジのおかげで結構目に眩しい(特に表紙)本になった点でしょうか(笑)。
プレイステーション2パーフェクトカタログ
プレイステーションをやったのならば「2」ということで、年末のトリとなったのは『プレイステーション2パーフェクトカタログ』です。まだ上巻のみで下巻は来月発売ということで内容の詳細については下巻発売後に譲りたいと思いますが、上下巻合わせて512ページという、パーフェクトカタログシリーズ最大のボリュームとなっています。PSPの項で少々触れた「掲載スペースと価格とページ数のバランス」というテーマについて、あえて掲載スペースの大きさに寄せてみた本となっています。
また、本書では『あの頃欲しかったホビーパソコンカタログ』でできなかった「背面写真を大きく、端子の説明付きで」というテーマに挑戦してみました。こういったサービスが需要あるのか、ぜひご感想をいただければと思います。
そんなこんなで個人名を出した仕事7冊の簡単ながら発売後のコメントとさせていただきます。来年もより一層頑張って面白い本をお届けしますので、より一層お引き立ていただけますようよろしくお願いいたします。
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