2022年を振り返ってみた

今年も新型コロナで様変わりした世相を引きずりつつも、ロシアのウクライナ侵攻と、それを遠因とした全世界規模のドル急騰に伴う円安・原油高など日本経済にとって逆風の多い一年でした。出版業界も原油高や運賃高騰などの影響もあって値上げに踏み切る会社も多く、私自身が関わる出版物でもその影響を受けたものが複数ありました。そんなわけで、昨年に引き続き今年一年に発売された本を振り返りつつ、印象に残った話をしてみたいと思います。

プレイステーション2パーフェクトカタログ 下巻

2021年12月に発売した『プレイステーション2パーフェクトカタログ 上巻』に引き続いて発売した下巻です。プレイステーション2は単なるゲーム機として発売された1と違って、ソニーのAV戦略の要の役割を負わされた側面のあるハードであり、DVD再生機能をはじめLinuxキットやEYE-TOYカメラなど様々な試みが盛り込まれました。そのため、ハード解説ページの分担として上巻にPS2本体について、下巻にPS2をとりまく応用製品について掲載しました。PS2自体を俯瞰して解説したガイドブックはこれまで存在しなかったため、それなりに読みごたえある本になったのではないでしょうか。

えっ、次はPS3?

イーグレットツーミニパーフェクトカタログ

諸事情で発売中止となった本です。このあたりの顛末については深く語ることはありませんが、立場はどうあれ「製品を盛り上げたい」という気持ちについて一貫していたため、世に出せなかったのは残念でした。

PC-8801パーフェクトカタログ

MSXX68000と来て、次にパソコンネタをやるならばやはりこれだろうということで、PC-8801の登場と相成りました。個人的にはPC-8801といえばSR登場以降の快進撃のイメージが強かったため、当初はSR以降タイトルに絞った本をと考えていたのですが、リストアップするうちに想像以上にSR以前ソフトが多く「これは腰を据えてかからなければならんなぁ」と、PC-8801全ゲームソフト紹介というかなり無謀な挑戦をすることとなりました。

実際に作る前から予想されたことですが、あまりに古すぎてソフト情報の抜けが多く、私がいうのもなんですが「パーフェクトカタログ」と呼ぶには程遠いものになったのも事実でして、その部分を期待された読者の期待に応えきれなかった点を申し訳なく思っております。ただ、その一方で「こんな馬鹿げた本を作るやつはおそらく他におるまい」という気持ちで、あえて不完全は承知の上で今現時点でできることを全部詰め込んだ本を目指しました。

【増補版】美少女脱衣麻雀スーパーガイド アーケード編

過去に発売した『美少女脱衣麻雀スーパーガイド アーケード編』を増補版として再編集するという初めての試みをした本です。元の本が価格とページ数を勘案した結果による妥協の産物だったこともあって、そちらに掲載しきれなかったものを思い切り詰め込みました。おかげで少々値段は上がってしまったのですが、概ね好評だったとのことでとりあえず胸をなでおろしたことを覚えています。

『パソコン&家庭用ゲーム機編』の増補版は?」という声もいただいたのですが、以前のコラムでも述べた通り、このテーマをふくらませるのは結構難しいんですよね。というわけで、今のところ増補版は考えておりません。

懐かしの児童書コレクション

突然ゲームとは全く関係のないテーマの本が入ってきて驚かれた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、実はこのテーマ、幼い頃から児童館や学校の図書室に入り浸っていた私にとって、ずっと前から機会があればやりたかったネタだったんですよ。特に『ひみつシリーズ』は私の知的好奇心の原点みたいなシリーズなのでどこかで誰かが研究本を作ってくれないかなぁと期待しておりました。まさか自分自身で作ることになるとは思いませんでしたが。

今までの前田尋之を知らない読者層の方が買ってくださったので、それらの方々の反応がとても新鮮でした。まだネタはあるので、折を見て続きを書きたい本ですね。

メガドライブミニ/2パーフェクトカタログ

こちらは10月27日に発売された「メガドライブミニ2」に合わせて発売した本です。せっかく作るならメガドライブミニの情報も一緒に掲載しちゃおうということで、『/2』というタイトルになりました。『メガドライブミニパーフェクトカタログ』『メガドライブパーフェクトカタログ』のAmazon専用版として過去に作ったものの再編集なのですが、いろいろ情報を追加しているうちにほぼ全ページにわたって手が入っています。

最近の本なので具体的な販売データは私のところまで回ってきていませんが、本書の発売に伴って『メガドライブパーフェクトカタログ』の再注文が結構入ったとか。まだ未読という方は今からでも是非どうぞ。

PC-9801パーフェクトカタログ

「『PC-8801パーフェクトカタログ』をやったなら次は当然PC-9801ですよね」と出版社に言われて作ることになってしまった最新刊です。実はPC-9801は周囲ほうぼうからリクエストがあった機種でして、ジーウォーク以外の別の出版社からもオファーがあった題材でした。ただ、あまりにも発売モデル数が多い上にゲームソフトも3000タイトルを超えるだけに、PC-8801以上に難航を極めることが目に見えていたため「本を作ることは考えてないです」と答えていたんですね。

頑なに断っていたPC-9801を作る決断をした背景には、PC-8801を手掛けるときに感じた「誰もがやろうとしないことに挑戦しよう」という気持ちがあります。誰もが作ろうとしない、誰が作っても叩かれることが目に見えている本であれば自分が手を挙げるしか無い、とそう考えたのです。おこがましい考え方かもしれませんが、4年以上パーフェクトカタログシリーズを作り続けてきて思い至った境地なのかもしれません。

年内に発売されたのは上巻であり、来年1月には下巻の発売を控えています。2冊まとめての総括は、来年にまた書きたいと思います。


そんなこんなで個人名を出した仕事7冊の簡単ながら発売後(1冊は未発売ですが)のコメントとさせていただきます。来年もより一層頑張って面白い本をお届けしますので、より一層お引き立ていただけますようよろしくお願いいたします。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。