本日、4月25日発売の『PCエンジンミニパーフェクトカタログ』が校了しました。本体の発売から1ヶ月遅れての発売となりましたが、ゴールデンウィークのお供としてPCエンジンminiの横に置いていただき、楽しんでいただければ幸いです。
さて、今回はいつもとは少々趣向を変えて本書内で書いた「はじめに」を丸々掲載しました。まずはご一読ください。
かねてからアナウンスされており、発売を切望されてきた PC エンジンminiがついに発売された。本書は諸般の事情で製品のリリースから約1ヶ月遅れての発売と相成ったわけだが、その分スケジュールに余裕ができたこともあってじっくりと内容を熟成させることができた。情報の速報性という意味では一歩譲るかもしれないが、 PC エンジン mini を遊びながら常に横に置いて参考にしてもらえるような、「取扱説明書的な本」を目指した。著者の意図通りの活用法をしてもらえることを切に願うばかりである。
ファミコンミニに端を発する、ソフト内蔵型ゲーム機も PC エンジン mini の発売で、概ね主要な機種が出揃ったわけだが、任天堂が当初発売したファミコンおよびスーパーファミコンと、メガドライブ、 PC エンジンは発売コンセプトがやや異なる。任天堂の本来の企画意図は「低価格で復刻タイトルを遊ばせる」というものであり、小さな筐体にバーチャルコンソールなどでリリースされた過去作品を収録するだけで開発することができた。しかし、メガドライブや PC エンジンはコアなファンに支えられてきたという側面があり、これらのユーザーは割と当時の実機やソフトを今でも保有していたりする。そうなると、新たに購入してもらうにはファンに納得してもらえるだけの付加要素が必要となるわけで、そういったメーカーの努力がメガドラタワーや新規開発の『ダライアス』、はたまた一連の「near Arcade」に繋がったといえる。
また、ソフトラインナップのセレクトもファミコン、スーパーファミコンに比べて後者の2機種は遥かにハードルが高く、単なる数合わせではなく、メガドライブならでは、 PC エンジンならではのラインナップが要求されたのである。特にこの時代のメーカーは、すでに倒産していたりゲーム事業から撤退しているところも多く、特に PC エンジンのCD-ROM2に至っては楽曲やボイスの契約・権利状況まですべて調査してクリアしないと収録できないため、特に現存していないメーカーの作品であればその作業の難度は想像を絶する。はっきり言って、メガドライブミニや PC エンジンminiは、その労苦に見合うだけの「安価に手軽に作れるゲーム機」では決してないのである。
また、本書の『スナッチャー』や『スーパー桃太郎電鉄Ⅱ』の紹介ページを見てもおわかりの通り、バーチャルコンソールや他機種への移植では改変を余儀なくされた表現が、 PC エンジン mini ではほとんど当時のままに再現されている。前出の権利周りのクリアを含めて、総勢58タイトルも収録した製品を発売してくれたことだけでも奇跡的だと思う。
PC エンジン mini 開発に関わったすべてのスタッフの方々に最大限の称賛と感謝をしつつ、私なりのリスペクトを持って本書を編集させていただいた。本書を通じて、そんなPCエンジン mini がもたらした功績が少しでもユーザーの皆様に伝わっていただければ幸いである。
上記引用の文章とは別に、違う切り口の書き方も考えてみたのですが、結局言いたいことはこの文章中で書ききってしまっているんですね。
多数のソフトが発売されたハードだけに人によって思い出も違うわけで、収録ラインナップがどうこう言う人はいるとは思います。しかし、PCエンジンminiは現代にこれだけの製品をまとめ上げて発売してくれたことに価値のある製品だと思います。素敵なハードを発売してくれて、本当にどうもありがとうございました。並びに本書もよろしくお願いいたします。