とんがりギャルゲー紀行 第108回:とある女戦士の集団面接 女戦士としてオークやヒドラと戦った経験を御社で活かせると思い志望いたしました

 さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。今回ご紹介するのは就職活動×女戦士と、異色の組み合わせによるシュールコメディーなロープライスエロゲ。

とある女戦士の集団面接 女戦士としてオークやヒドラと戦った経験を御社で活かせると思い志望いたしました

 大手広告代理店の面接に現れたビキニアーマー。見るからに女戦士といった出で立ちの彼女は、前職が女戦士、名前も女戦士という珍妙不可思議な女だった――というお話です。

 ちなみに本作のヒロインである女戦士さまはコスプレイヤーではなく、本物の女戦士です。勇者の仲間です。異世界がどうこうというお話ではなく、本作は大手広告代理店と魔王退治が同時に成立する世界を舞台にしており、勇者一行が魔王退治を成し遂げたとニュースになるくらいには世間でも知られています。女戦士は魔王討伐を成し遂げたあと勇者と結婚し、子供の手がかからなくなってきたから就職をしようと思ったそうです。

 そんな彼女に質問を投げかけるのが面接官である主人公というわけですね。いい加減な書類審査で女戦士を通してしまった手前、追い返すわけにもいかないので普通に面接しようとします。が、「(前職に就いていたときに)辛かったことはありませんか?」の問いに、

「犯されたことです」

 と、堂々たるお返事をされたあたりからトンデモ話のオンパレードが始まります。 敗北の女戦士さまがオークの集落でどのような調教を受けたかをご本人の口から詳細に聞かせていただるわけですね。なんだそれ。

 いきなりの暴露に主人公も驚きますが、女戦士が心に傷を負っているわけでもなく敗北レ〇プも職務のひとつと受け止めているのを知ると、オークと人間の性交の違いについて尋ねたりと話を掘り下げはじめます。作中のト書きでは常識人っぽいツッコみを入れてはいますが、この人も大概おかしいね?

 女戦士も積極的な姿勢を見せて「オークに処女を散らされ、絶頂に達した私では採用は難しいでしょうか?」などと尋ねてきます。そんなわけないよ。お前のバージン豚煮込みとか言ったりしないよ。そもそも就職に処女喪失の仕方が関係することなんてあるか? どう考えても聞くもセクハラ、語るもセクハラになるだろうが。

 エロ話を延々とするだけでなく、まだ小さい子供が言葉を話しはじめたとかで女戦士は親ばかなところも見せてくれます。勇者にそっくりだと言って見せてくれる画像がこれ。

最初の言葉は「ニンゲンヲネダヤシニシテヤル」だったそうです

 これオークだよ。かなりオークだよ。なんたって肌が緑だもの。これオークに仕込まれたでしょ。父親似なんだろうとは思いますが、勇者にそっくりって本当なんでしょうか。もしそうなら勇者もオークなのではないでしょうか。勇者が魔王を討伐したんじゃなくてオークとオークの内部抗争だったんじゃあるまいな。勇者は登場しませんので、どんな気持ちでこの子供を育てているのか想像をかきたてられます。

質問によっては女戦士の過去が一部変化します(パラレル展開?)
調教の後遺症で乳首が変色していることを履歴書に書いたそうです

 犯された話を平然と続ける女戦士ですが、面接官が話を振るとたまに「……その質問に答える必要があるのか?」とか言って急に正気に返るから困ります。なにセクハラされたみたいな反応してんだ。お前がはじめたことだろうが。会話の間合いが読めなくて困るわ。

わりと痴女のくせして痴女扱いされると怒ります

 しっかし、自分以外との性体験をヒロインに語らせるこの感じ、アトリエさくらのゲームみたいだと思って確認したら本当にアトリエさくらのゲームでした。とんだ奇ゲーかと思ったら世界観がおかしいだけでお家芸でしたね。知らない人のために書いておくと、アトリエさくらは『愛する妻、~の浮気告白』や『貸し出し妻、満里奈の“ネトラセ”報告』といった、ヒロインを寝取られたり寝取らせたうえでコトの詳細をヒロイン自身に語らせる類の作品シリーズを出しているブランドなのです。ね、このゲームと雰囲気が似ているでしょう?

 それにしてもこの人、どうしてビキニアーマーで面接に来ちゃったのでしょう。これ以上ない自己アピールだけど。全身が女戦士であることを示す記号と化しているけど。TPOって知ってます? チ〇ポの略語じゃないんですよ? なんなの? その装備呪われてるの? 

 そういえば、集団面接なので他の面接参加者も女戦士さまの話を聞いているんですよね。セリフはありませんがト書きでちょいちょいドン引きリアクションしているのが描かれていて、どうやら話にしっかり聞き入っているようなんです。ワイドショーの観客かよ。本当にこの女を止めなくていいのか。こいつら女戦士と一緒に採用されたらどうするんだ。同期でライングループとか作るのか。
 他の面接官もきちんと話を聞いてあげなさいと主人公をたしなめているので、興味本位でもすけべ心でもなく女戦士の話を真摯に聞く気まんまんです。どちらかといえばアウェーなのは主人公とプレイヤーです。不思議な世界もあったもんだ。

 何より驚きなのは、こんなにわけわからん面接だというのに、どういう質問を通過しても女戦士が採用される結末へ進むことですね。いや採用されちゃうのかよ。

 なんでも女戦士を救出した良きオークの親子が面接先の会長とその息子だったらしく、女戦士のその後を心配して採用に向けてプッシュしたようです。オークやヒドラと戦った経験を活かして見事入社を果たしたわけですね。仕事でどう活かすのかは知りませんが。

 と、こんな感じで本編は女戦士と面接官のトークが主となります。舞台は面接会場から動かず、回想に入ったりもしません。ただ、面接で女戦士のエロい過去について聞き出すと「女戦士の記憶」なるものが回収され、後でタイトル画面から別モードへ進むとその内容を見られるようになるわけです。

 つまり本編は本当に、女戦士が集団面接に参加している話だけで終わる訳ですね。いや、タイトルどおりとは恐れいったわ。

 ちなみに、「女戦士の記憶」はオークに犯された後に脱出する描写なども含んだ過去話を楽しめるもので、その中に含まれるエッチなシーンだけを見られる「シーン鑑賞」は別に用意されています。こんなお話ではありますが、必要なシステムを備えていてちゃんとエロゲーしているんですよ。パッケージ版だけでなくダウンロード版もあるので、おうちで待機中の方もそうでない方もこの機会にぜひどうぞ。

当記事に関連する商品紹介