とんがりギャルゲー紀行 第106回:鬼うた。〜鬼が来たりて、甘えさせろとのたもうた。〜

 こんにちは。ちょっと最近は忙しくて、隔週の更新が続いて申し訳ありません。もうすぐ出るゲームキューブパーフェクトカタログの制作作業をしておりました。脱衣麻雀の本と入稿時期が被って大変でしたが、なんとか読者の皆さまにお届けできそうで一安心です。私もソフトの紹介を一部書いておりますので、よければ買ってくださいね(宣伝)。

 さて、それでは本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。あ、今回はちょっと閲覧注意です。猟奇的な要素が入りますよー。

鬼うた。〜たりて、えさせろとのたもうた。〜

 130cmが2009年6月にリリースした、依存少女たちによる嫉妬・修羅場AVGです。あらすじは以下のとおり。

都会から遠く離れた寒村、詩乃塚村――

その村の頂上に位置する神社、詩乃塚神社の神主の息子・美作秋人は、
自分の交友関係の狭さ――率直に言えば友人の少なさ――に悩みを抱える学生。

ポンコツ美人で超絶ブラコンの愚姉。美作小春に振り回され、
想いを寄せる幼馴染・宮部綾子には何故か日常的にストーキングされ、
様々な噂とともに完全にクラスで“浮いた”存在になり友人皆無の現状を、
心機一転、改善するために意気込んでいた。

しかし、学校の新年度を明日に控えた夜に、運悪く賽銭泥棒に遭遇し殺されてしまし、
その短い人生に幕が降ろされ――

――たかに見えたが、

突如現れた見た目少女の鬼の姫にして土地の守り神・姫歌に助けられ、一命を取り留める。

しかし、姫歌はその代償として力の大半を失ってしまい、
秋人を助けた礼として自分の面倒を見ろと言って家に転がり込んできた。

ここぞとばかりに秋人に甘えまくる姫歌に、
嫉妬心を燃やした小春は事あるごとに姫歌と対立。

そして、秋人は姫歌VS小春の「駄々甘え合戦」の渦中に巻き込まれていく――

 ラブコメの波動を感じますよね? その直感、間違いではありません。主人公にベッタベタ甘えまくるロリ神様と実姉と一つ屋根の下で暮らして学園も一緒に通う楽しい毎日が待っているのは本当です。

 でもね、これ、とんだトラウマゲーなんですよ。中盤から猟奇的な展開になってヒロインが死んだり病んだり発狂したりするんです。きゃっきゃうふふの恋の鞘当てでは済みません。なんならルートによっては主人公の姉・小春が姫歌を殺したと思われる描写すらあります。「やーい、お前の姉ちゃん神殺しー」なんて、冗談で済ませられるならよかったんですけどね。やんぬるかな。

ガチの殺人(神?)に発展する2人

 簡単に説明すると、姫歌には人の願いを叶える力を持ち、歌で人を感動させる力もあるのですが、長く彼女の歌を聴いていると人々がだんだんと狂気に魅入られたようになってそのうち自殺者もモリモリ出たりするんです。人の願いというのがささやかで純粋なものだけならよかったのですが、誰かを恨む願いや誰かと相反する願いとかも混ざっているので、身勝手な願いをぶつけられまくる姫歌も精神状態が危うくなるという悲しいスパイラルに陥るわけですね。

 どうして姫歌が人を狂わせる力を持っているのかーとかは、物語の中で真相が明らかになっていきます。姫歌が救われる話もあったりとシナリオ自体は決して投げっぱなしではなく、むしろ世界観はしっかりと作られているとは思うのですが、問題はユーザーに不意打ちで精神攻撃したことですよ。

 途中までは確かにあらすじのとおりにお話が進むのでウソはついていませんが、「駄々甘え合戦」と紹介していたゲームが中盤からジェノサイドルートに舵を切るなんて予想できるかって話。公式サイトからも血液描写を意図的に排しているので、どう見てもわざとです。後から考えれば「ヒロイン全員黒髪ってヤンデレフラグじゃないの?」とか、「舞台の“詩乃塚”村って“死の塚”とも読めるな」とか、「そういや公式ブログでの毎度の挨拶が【ビバ!黒髪!!ジーク!ヤンデレ!!】だったな」と思えますが、無警戒でした。最後のは気づけよって話ですが、購入前はブログを読んでいなかったんですよ。いま調べてみたら本作の企画・原画を務めた人がそもそも黒髪ヤンデレ好きだった……。下調べって大事ですね。

 本作の後で買った他のゲームの話ですが、目当てのヒロインが首なし死体になってるサンプルCGに慄きつつも「まあ推理サスペンスADVで主人公の助手ポジって紹介されてるし生存ルートもあるじゃろ」と楽観して買ったりもしているので、予め「ヒロインが死ぬゲームです」と言われても買わないわけではないんですよね。私は違いますが、猟奇展開が好きだというユーザーだって一定数いますし。どうしてわざわざ不意打ちする必要があるのでしょう? ヒロインが死ぬこと自体はよくあることなので責めませんが、心の準備はさせていただきたかった。

 そもそも私は上画像のヒロインを目当てにこのゲームを買ったわけですよ。姉の同級生の宮部綾子先輩。主人公にセクハラしたりストーキングする変態ですが、姉キャラよりよほどお姉さんしてる子は大好きなので、この人を攻略するのだと心に決めていたんです。でもこの人ね、姫歌と小春のルートに入ると、

 首を吊って死にます。むごい。しかも第一発見者は主人公です。

 なんで先輩すぐ死んでしまうん? って、簡単に言えば他の女のルートに入るからなんですが、先輩生存ルートは最後に解放される「かみさまのつくりかた」(TRUEルートみたいなもの)にしかないので、先輩が死ぬ他ヒロインルートを2つ経ないと辿り着けないわけです。

 つまりどうあがいても先輩は二度死ぬ。

 ふざけんなよ007かよ。

 というか先輩とエッチなことをしようとしてもこの人は最中に自殺未遂しますからね。嫌がっているわけではないんです。幸せ過ぎるとそのまま終わらせたくなるらしいんです。ちょっとこの人は死に魅入られているところがあるんです。その後なんやかんやでハッピーエンドっぽくはなるけど、先輩とはとうとう最後までエッチを完遂するシーンがありません。

 抱けぇっ!! 抱けっ!! 抱けーっ!!

 と画面の外から願っても届かない。『鬼うた。』ってとっても悲しいお話ですよ。出来は悪くないどころかむしろ良いゲームですし、姫歌役を演じてもいるRitaによる主題歌もものすごくよかったし、たぶんわりと好きなゲームだと思ってはいるのだけど、でもトラウマ。最初からおっそろしいゲームだと理解した上でやる分には損はしないと思いますよ。ああっ、でも先輩の首吊りを思い出すと今でも胃が痛い……。

 ゲームは人を選ぶのでおすすめしづらいのですが、主題歌は文句なくいい曲なので一度聴いてみてくださいね。

追記:先輩と直接最後までやるシーンはありませんが、小春お姉ちゃんが自殺した先輩になりきって主人公とエッチするシーンならあります。主人公は身代わりなんてまったく望んでいませんよ。お姉ちゃんが強烈に病んでるだけです。このCGには角を姫歌からもらって――あるいはむりやりもいで――付けてる血液描写差分があるのですが、わりとえぐいので健全(?)差分を置いておきますね。

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