とんがりギャルゲー紀行 第114回:私は私のまま、誰にでも変われる

 さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。

 前回は主人公がとんがった『受け触手』だったので、実を言うと今回はヒロインが特別にとんがったゲームにしようと思っていました。

 が、どうにも入手が難しいようなので、今回のところは別のゲームを紹介することにします。でも今回ご紹介するタイトルもなかなかとんがっていますよ。

 今回取り上げるのは、ドラマCDを中心にリリースしていたブランド「匠」による初の美少女ゲーム。

私は私のまま、誰にでも変われる

 あらゆるジャンルを1つのゲームで楽しめることをウリにしたタイトルです。本編は純愛、凌辱、ハーレム、伝奇、ギャグ、パロディー、サスペンスに触手といったジャンルが盛り込まれ、ルートによって雰囲気がガラリと様変わりする、まさになんでもござれな内容となっています。性癖のアソートセットだね。

 あらすじは以下のとおり。

「夏目ともこ」は、主人公の「相羽健太郎」の同級生で幼なじみ。

ちょっと人見知りしちゃう弱気な女の子。

けど、ともこはひとつだけ他の子にはない不思議なチカラを持っていた。

それは――他人の性格と声と記憶を、自分にコピーできちゃうこと!

でも、この能力のことは、ともこと健太郎ふたりだけの絶対のヒミツなのだった。

季節は春。ともこと健太郎は修学旅行で京都へ行くことに。

そこで出会う、さまざまな女の子たち。甘く楽しく時間は飛ぶように過ぎていく

健太郎は、その旅先で「鬼の滴」という名の奇妙なエキスを手に入れる。

それは平安より伝わる媚薬で、飲ませるとどんなおとなしい女の子もエッチに変わるというのだが・・・。

公式サイトより ※一部省略しています

 タイトルとあらすじでなんとなくわかるかと思いますが、本作では主人公の幼馴染みの夏目ともこが持つ「他人の性格と声と記憶を、自分にコピーする」、つまり「私は私のまま、誰にでも変われる」能力が物語の重要ポイントとなっています。ともこの能力は作中で色々と見られますし、なんならエロいことをしている最中にも豹変して見せてくれますよ。とってもホラーな感じです。

 ちょろっとどころではないネタバレをしてしまいますと、他のヒロインとのエンディングを迎えると、ともこは非業の死を遂げてしまいます。どうしてそうなるのか、という点については後々に解放されるルートをプレイすると明らかになる仕組みとなっているんですね。

 ちょっとした伏線の積み重ねをストーリーの最後で回収する手並みは見事ではありますが、謎が明らかになっていく快感を味わうためには、プレイヤーがあらゆるジャンルのルートをクリアする必要があるわけです。

凌辱やら触手やら伝奇やら、ちょっと人を選ぶルートも全部。

 あらゆるジャンルを盛り込んだ、というウリであらゆるユーザーに訴求しているように見せておいて、実際は、全部受け入れられないとしんどいかもよ! ストライクゾーンが広い人向けだよ! となるのはちと不親切かもしれませんね。

 恐らく趣味が人より多少幅広いであろう筆者だって、泣きゲーもサスペンスも純愛も調教も男の娘も女装潜入モノも歴史モノも寝取りもマッチョもふとっちょもそれなりに楽しめるけど、だからってなんでもいいってわけじゃあないのです。「純愛一丁頼むよ」と注文されて「あいよ! 触手もおまけしとくね!」と付け足しちゃうサービス精神は、しまっておいた方が幸せになれると思うんだ。

 これは個人的な想像ですが、このゲーム、企画段階では本当にあらゆるユーザーに訴求するつもりだったのに、結果として意図せず逆をいってしまったのではないでしょうか。最後までプレイできれば名作とは言えないまでもそれほど悪くない内容だけに、なんだかもったいないですね。

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