とんがりギャルゲー紀行 第71回:64花札 天使の約束

さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。

今回ご紹介するのは、1999年にアルトロンがリリースしたNINTENDO64用ソフト、

『64花札 天使の約束』

花札といえば任天堂の歴史に深く絡んだゲームですが、花札を題材にした作品はNINTENDO64用のソフトではサードパーティーから発売されたこの1作だけだったはずです。そういった点ではかなり貴重といえますね。

まあこの作品がとんがっているのはそこではないのですけどね。

ストーリーの説明に移りましょう。

主人公の青年は、13年前に女の子と再会を約束した野原を探し、作品の舞台となる町へ帰ってきます。昔のことなので地理は忘れており、「約束したのは野原だった」というざっくりした情報しかありません

この日の夜に再会する約束のはずなんですが、当日までに探しておかなくてよかったのでしょうか……。どうも行き当たりばったり感が否めません。

野原がどこにあるのか、町の人に情報を聞きながら探すというこれまたざっくりした予定のもと探索を始める主人公ですが、

変な人たちと遭遇します。

トップバッターはツインテールの電波な女の子。自転車のチェーンが外れて困っていたところを主人公に助けられ、「『親切な人はみんな花札やるんだ』ってパパが言ってた」などと言ってこいこい勝負を仕掛けてきます。

話の流れがよくわからない……!

勝負を挑まれて快諾する主人公もおかしいですよね? この日の夜に再会を約束した相手がいて、まだ場所がわかっていない状況ですよ? まあ、こういう「目的を持った主人公が次々現れる登場人物と勝負する」という話の作品は、たしかに強引な流れであることは多いんですが。

札をめくって親を決め、ルールに従って勝利するとストーリーが進みます。勝利するたびにセーブできますが、負けてもゲームオーバーになるわけではないので、途中でゲームをやめるのでなければこまめにセーブする必要はありません。

勝負は相手ごとにルールが違っていて、「こいこい」「おいちょかぶ」「花合わせ」のどれで遊ぶか、「月見酒/花見酒の有無」「ドボン(0文以下になると強制終了)の有無」「1手あたりの持ち時間」などがそれぞれ定められています。フリー対戦ではこれらのルールはプレイヤーが自分で決められますが、ストーリーでは相手が提示した条件に従うほかありません

「1手の持ち時間が5秒」などに設定されていると、単純な花札の強さだけでなく素早い判断が求められるので結構焦ります。ドボンなしで6回勝負と定められていたらどんなに一方的に勝っていても必ず6回勝負しなくてはならず、時間がかかって不便だなーと思っていたのですが、後半になってくると縛りプレイのように思えてきました。相手が理不尽に強くなるよりは、制限が大きくなっていく本作の設定のほうが楽しめるのかもしれませんね。

初戦はこいこい勝負。女の子の首がまっすぐ描かれているせいで太く感じられて、なんだかこの顔アイコンだと女装男子に見えるような……?

負けると買い物の荷物持ちにさせられます。

そして初戦の相手が特にアクが強いかと言えばそんなことはなく、その後もぶつかってきた上に「しつけがなっていない」と罵倒してくるしつけのなっていないモンペおばさんや、

こいこいで負けると人を犯罪者扱いしてくる警官

「こっちが勝ったらお金貸して」と言ってくる変な女(寸借詐欺では?)と振り回されているっぽいその妹さんなどと遭遇しつつ、約束の場所の情報を集めていきまs……いや、そういえばこの時点じゃろくになにもわかっていませんでした。「交番に行って聞いてみたら?」ってのは情報じゃなくてそれぐらい最初から思いつけよという話ですし。

本作をとんがりギャルゲー紀行で取り上げたのは、登場人物の人格がとにかくとんがっているからというのが主な理由だったりします。こういう色んなキャラクターと勝負するゲームって、「キャラクターの魅力=ゲームの人気」なところがあると思うのですが、

基本、キ(ピー音)イしかいないじゃないか!

まだビジュアル的に美人だったらマシだったのでしょうが、モンペおばさんはシワが入っていて本当におばちゃん顔ですし、その子供も『ちゃお』に載っているキャラクターを悪化させた顔してますし、基本的にグラフィックが崩れているので彼らにどう魅力を感じたらいいやら……。そもそも主人公が約束を交わした女の子に関しても作中で出てくる情報が(この時点では)少なすぎて、もしかするとその娘もアレな子なのでは? という疑惑がよぎってしまいます。

食事しようとすると店員に絡まれます。

気弱なおじさんに因縁をつけるチンピラが執拗に「おいちょかぶ」しようと誘ってきます。ところで主人公(左端)の腕細すぎない……?

野原の場所を展望台から確認しようとしていると、案内のお姉さんが強引に「こいこい」での勝負を挑んできます。ホントになんなんでしょうねこの人たち。

この辺りから制限時間が設定され始めます。ドボンなしの12回戦って長くありません……?

約束の場所は川の近くにあったなーというまたしてもざっくりしすぎな情報を元に場所を移した主人公。そんな彼を喧嘩中のカップルが勝手に当て馬にして揉めはじめます。

彼氏にやきもちを焼かせたくても他人に絡むのはやめましょうね。小悪魔ってそういうことではないと思うんです。そういうのはただのはた迷惑って言うんです。

ところで「花合わせ」ってこのゲームで初めてやったのですが、ルールは有名なんでしょうかね? この彼氏くんがかなり強くて大変でした。もしかすると、初めのうちは私が役すら把握していなかったせいなのかもしれませんが(「おいちょかぶ」も初めてでしたがなんとなくで勝ったので、余計に「花合わせ」が難しく感じました)。

しかも勝負しといてなんも知らんとか……! 野原の場所に心当たりがありそうな人物は教えてくれますが、この人たち一体なんだったんだ。

寺の住職がラスボスです。こう、もうちょっとラスボスの風格というか、威厳というものが欲しかったような。ボケ気味っぽいフリをしている爺さんがラスボスってどうなんでしょう。勝負中はちゃんと手ごわかったんですけどね。一手の制限時間が5秒なので手札に恵まれても結構混乱しました。普段は知らないうちに長考していたのかも?

最後に約束の女の子と再会して終わりになります。この子はごくまともなので、町の人間がことごとくイカれていたせいか彼女が天使に思えました

もしかして、サブタイトルの『天使の約束』ってそういうことだったんでしょうか。まさか伏線だったとは。いやはや、気づきませんでした。

……それ、下ネタ?

一度ストーリーをクリアすると、女の子側のストーリーもプレイできるようになります。主人公の青年と同じように「野原で約束した」というざっくりした情報しか持っていないため、彼女もまた町の住人たちに絡まれることになります。かわいそうに。

NINTENDO64用ソフトの中では珍しい題材を扱ってる作品ですが、初代プレイステーション辺りで出ていたらあっという間に埋もれたのではないでしょうか。アクは強いけど薄味といった感じの作品でした。

「こいこい」「おいちょかぶ」「花合わせ」それぞれのルールと役一覧はタイトルメニューの「ルール説明」から見られるので、一応初心者でも遊べる作品ではあると思います。実際、筆者は「こいこい」しかやったことがありませんでしたが、役一覧とにらめっこしているうちになんとかなりました。とはいえ、難易度設定が存在しないのでかなり苦戦させられましたが……。

変に特徴的なタイトルですので、もし気になるという方がいらっしゃいましたらプレイしてみてください。

さて、それではこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

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