前回、配分ミスで乗車前までしか書ききれませんでしたが、本稿では実際の走行試験の様子をレポートしたいと思います。動画も多めに用意したので、ぜひお楽しみください。
割としっかりした加速・減速感
今回の走行試験は約30分。42.6kmを360km/h~500km/hで片道8分、2往復するというプログラムでした。実験センターは実験線の中間に位置しているため、一旦終点側に移動します。前回も触れた通りシートの転回はできないので、最初は進行方向に背を向けた状態でスタートします。
発車したときの最初の印象は「割と普通の電車みたいな、しっかりとトルクを感じるスタート」でした。超電導リニアこそ初体験だったものの、上海トランスラピッドをはじめリニアモーターカー自体には何度か乗っていただけに特別なイメージを持っていなかったはずななのですが、少々拍子抜けした感じです。内装が新幹線に似ているせいで、それと同様の「滑り出すようなスタート」を無意識に期待していたのかもしれません。
みるみる力強く加速していき、150km/h前後で超電導リニアの特徴である浮上走行に移行しました。車内のモニター映像でゴム車輪が格納されると同時に、足元の支えがなくなったかのような浮遊感を感じ、乗客の中からどよめきの声が上がります。
終点までの距離はわずか15kmほどの距離しかないため320km/hまでしか加速しませんでしたが、それでも新幹線の営業速度並のスピードです。それだけでも十分速いはずなのですが、ほとんどトンネル内なためか、あまりスピード感を実感しなかったというのが正直な感想です。
ちなみに、150km/hを下回る頃に車輪による地上走行に戻るのですが接地した時に飛行機の着陸を思わせる軽い衝撃を感じ、タイヤの摩擦もあって一気に減速が進みました。
終点まで着いた後はそのまま折り返して、起点方向へ500km/h全開走行試験に入ります。ここで加減速にかかる時間を測ってみたのですが、8分の内訳として0km/h→500km/hまでの加速時間に約2分30秒、
500km/h走行時間が約2分、500km/h→0km/hまでの減速時間に約3分40秒という結果になりました。ある程度予想はしていましたが、全開走行できる時間はわずかで、大半を加減速(特に減速)に割いていることがわかりました。
停車後はガラス越しでのL0撮影スポットに案内され、撮影タイムが終わったら解散。あっという間の30分でした。以下には、今回の体験乗車で貰ったお土産を公開しますね。
屋外からの騒音はまだ改善の余地あり?
体験乗車が終わった後は外から超電導リニアの撮影をしてきました。山梨実験センターの近くには小高い丘のようなった場所があり、そこから見た景色は広報写真などでも使用されている画角なため、割と定番の撮影スポットなようです。
ほかにもわくわくやまなし館(無料)や山梨県立リニア見学センター(有料)にも展望台があり、そこから走行試験の様子を写真に収めることができます。それぞれで動画を撮影したので、以下で紹介します。
先ほどの体験乗車の時には車内の騒音は殆どなかったのですが、いざ外から間近で見ていると、走行中のリニアはかなりの騒音があります。
パンタグラフも車輪もないので風切り音のみだと思いますが、通過時にははっきりと空気が震えるほどのシロモノです。説明員の話によると2027年の営業開始まであと9年、路線の建設工事と並行して車両そのものの超電導コイル冷却の低コスト化、形状の見直しによる静音化など、まだまだ改良を続けていくとのことでした。
山梨県立リニア見学センターも見どころ多くて楽しい!
せっかくなので山梨実験センターに隣接している山梨県立リニア見学センター(どきどきリニア館)も見学してきました。こちらはL0系投入までに使われていた試験車両MLX01-2の実物が展示されているほか、ミニリニアの体験乗車、超電導実験の実演など見どころの多い施設でした。
なにより印象的だったのは、館内の説明員の方々はおそらく子供の頃からリニアモーターカーに憧れて夢描いてきた人たちなのでしょう、館内のあちこちに撮影スポットなどを手作りポップで示してあったり、超電導リニアが接近すると館内放送や口頭で「あと10秒で接近します!」と知らせてくれたりと、とにかく熱量がスゴイんですね。
私が訪れた3月28日は春休みということで親子連れが多かったのですが、子供からリニアが夢の象徴だった子供時代を過ごした私みたいな世代の方がより楽しめると思います。
童心に帰ってリニア三昧だった一日、営業開始までにまた訪れたいですね!