超電導リニアに試乗してきました! その1

ある程度歳を重ねた方々には「リニアモーターカー」という単語を聞くとワクワクされる方も多いのではないでしょうか?

私が初めてリニアモーターカーを知ったのは学研の『できる・できないのひみつ』でしたが、スピードを阻害する要因としてパンタグラフと架線、車輪とレール、騒音などを挙げており、主人公・やっ太の「パンタグラフと車輪と騒音のない電車……」というセリフに、同じく登場人物・デキッコナイス同様「そんなのできっこないす」と内心ツッコミを入れたものです(笑)。後にそれが必ずしもSFの世界ではないと知ってからというもの、新幹線を遥かに超える夢の超特急として、当時の科学グラフ誌の写真を見ながら、いつか乗ってみたいと夢想していました。

すでに各所で報道されている通り、旧国鉄時代から脈々と研究が続けられていたリニアモーターカーは「リニア中央新幹線」として東京・大阪間の営業運転が決定、2027年の東京・名古屋間先行開業に向けて建設が進められています。

このたび山梨のリニア実験線での体験乗車に当選したのでその試乗レポートをしたいと思います。

 

空港並みのセキュリティチェック

山梨リニア実験線は、開通後も路線の一部として流用することを想定して、1996年に先行区間18.4kmが建設、のちに42.6kmに延伸されました。リニアの走行実験を制御する山梨実験センターをはじめ、山梨県立リニア見学センター、わくわくやまなし館といった施設が併設され、山梨県の物産・観光案内の役割を担う観光地となっています。

今回の目的地はもちろん実験センターなのですが、屋台や観光客賑わう他の施設に比べて(当たり前ですが)実に飾りっ気のない建物です。

入り口にはセキュリティチェックが設けられ、手荷物検査およびボディチェックが義務付けられている上、チケットの横流し防止のためか本人確認が必要。搭乗券の自動発行機でも予約番号および電話番号の入力が求められました。

その後、大きめの会議室に通され、10分程度のビデオ映像による搭乗前の事前説明を受けるのですが、この座席も搭乗券に記載されている号車番号、座席番号であらかじめ決められており、体験乗車という言葉の割にどことなく終始緊張した空気が漂っています。まるで多重にチェックされているような印象でした。

ちなみにこのブリーフィングルームには、超電導リニアの原理や歴史、これから搭乗するL0系の模型が展示されています。また、2003年と2015年に世界最高速度を記録したギネス認定書も掲示されていました。

事前説明が終わるといよいよ搭乗です。山梨実験センターとは別棟で設けられたプラットホームに向かうのですが、通常の鉄道のような開放型ではなく、しかも空港のターミナルとも違う、窓ひとつない完全な密閉型です。

おそらく磁気を遮断することが目的なのでしょうが、実際に営業でも同じ形状のプラットホームだとしたら、かなり圧迫感ありそうですね。当然、車体とは空港のようにボーディングブリッジで接舷されており、鉄道とも航空機ともつかない、リニア独特の搭乗感覚です。

おかげで、せっかくの車体を見ることもできないので、営業時までには改良して欲しい部分ですね。

内装・設備は新幹線風

L0系は営業運転を想定して建造された車体だけあって、車内の雰囲気や乗降デッキなどの構造は新幹線とよく似ています。ただし、トイレや洗面台、自販機などのサービス設備は備えていません。いくら東京・大阪間が1時間強とはいえ、さすがにこのあたりは最終的な営業車両には装備されるものと思います(よね?)。

当日の編成は確認できなかったのですが、外から眺める範囲では8両~10両くらい。ただし、体験乗車向けに発券されたのは2号車から4号車まででした。そもそもプラットホームの長さが狭く、ボーディングブリッジが2基しか設置されていなかったため、今の施設のままでは全車両同時に乗降することはできません。

外からの撮影。接舷しているボーディングブリッジが見える

なお、営業運転時の編成は新幹線同様の16両編成を予定しているそうです。

シートは取り立てて特徴がない新幹線のものと同等品。ただし、座席方向の転回ができない簡易的なものなので、このあたりは営業車両で変更される可能性は高いと思われます。シートピッチは測っていませんが、感覚的にはやや狭め。飛行機のエコノミークラスに座ったような感覚でしょうか。

座席配置は2座席+2座席の4アブレストで17列。1両あたりの輸送量は68人で、新幹線の85人に比べて輸送量はやや劣る感じです(とはいえ、16両編成ならば1000人以上を一度に運べるわけで、飛行機に比べれば圧倒的に多いです)。車体の横幅はガイドレールの規格が決まっているので増やしようがありませんし、将来的な輸送量の増強を図るならば編成車両数か便数を増やすくらいしか対策はなさそうです。

壁のハンガーストラップ、頭上の荷物棚、窓の大きさ、そしてなにより座席にシートベルトがないといった点からも、超電導リニアはあくまで飛行機寄りの発想ではない、鉄道会社が考えた車両なんだなと感じさせられます。

窓から見える実験センター

期待させておいてなんですが、結構長くなりそうなので続きは次回に続きます。

 

ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。