とんがりギャルゲー紀行 第145回:AKIBA’S TRIP PLUS

 さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。
 今回取り上げるのはPSPで発売されたタイトル。

AKIBA’S TRIP PLUS

 日本の秋葉原を舞台にしたアクションアドベンチャーです。
 当時の秋葉原を再現したフィールドとスタイリッシュ脱衣アクションを売りに、注目を集めたゲームですね。本作はそれに追加要素を加えたバージョンです。
 追加要素というのはサブミッションや装備、新難易度のほか、キャラの3Dモデルをより可愛くリファインしたり、イベントをフルボイス化したり、あとはバトルで服を脱がせた時に聴ける「恥じらいボイス」の実装とか色々です。

 ストーリーをざっくり説明すると、カゲヤシ(作中における吸血鬼の呼称)と人間の抗争の渦中に巻き込まれるお話です。
 作中の秋葉原では謎の貧血事件が続いています。健康体の人間が急に倒れてしまい、被害者は引きこもりになってしまうとか。都市伝説として話を耳にするだけだった主人公もまた、事件に巻き込まれたことから当事者となってしまいます。
 バンドマン風のオラついたカゲヤシに襲われて死にかけ、これはもう人間やめなきゃ助からないということで、謎の美少女に助けられて主人公もまたカゲヤシとなるという流れです。世にも珍しい「人間側のカゲヤシ」となったことで、エージェントとして人との繋がりを保ったまま、カゲヤシとも接近していきます。
 異なる立場や思想を持つキャラたちが交錯するお話なんですね。

 ゲーム本編では一般人を超越した身体能力を活かし、依頼を請け負って秋葉原の街を奔走することになります。
 依頼人は人間だけでなく、人間を襲わない穏健派のカゲヤシからも届くことがありますよ。勢力ごとに友好度的なものが設定されていて、依頼を達成すると友好度を上げられるといった仕様です。

依頼遂行中の一幕

 で、どの辺に脱衣要素が出てくるかというと、バトルですね。なにせ吸血鬼ですから日光に弱く、退治するには脱がせてしまうのが一番なのです。身体能力の高い存在を捕らえるのも気絶させるのも大変ですから。脱がせてしまえばサラサラ~っと黒い砂になって消えるのでお片付けも完璧理にかなった強制脱衣です。
 実際、カゲヤシを挑むにあたって脱衣の技を習得させられますからね。次々現れる敵を殴っては剥き、殴っては剥きと脱衣コンボを爽快に決めると達成感もひとしおですし、人間相手でも脱がせれば無力化できるので、なんであれ脱がせてしまえばよし。

“脱衣の技”修行風景。脱がせ方がやたらスタイリッシュなのも魅力

 脱衣攻撃はカゲヤシに対して有効な攻撃手段として周知されているので、攻撃姿勢をとると「あの構え、脱衣の技を持った者の構え方よ。」なんて台詞が飛び出します。
 こんな台詞でシリアスするのはずるいと思うの。

 人様を往来で脱がせようとしても、カゲヤシを相手取るのであれば、それは命をかけた戦い。決して変態が来たぞー! なんてことにはならないんです。己を効率的に殺そうとする襲撃者の登場なので、真剣に脅威として受け取られます。生死をかけた戦いが日常的に発生する環境ですしね。
 命が軽いぜ秋葉原。

捕まる時は捕まる

 戦闘時に敵を武器で打ちのめしたりもしますが、それも脱がしやすくするための準備でしかありません。タコ殴りは脱衣への動線なのです。
 恥じらいボイスを聞く限り、恥ずかしいことは恥ずかしいようだけれど。
 話の本筋ではシリアスに抗争をしつつも、ゲームシステムのおかげでわりとコメディーしています。

 装備もポスターサーベルやらメイド服やらあれこれ用意されていて、オタクの聖地としての秋葉原を感じられるのもいいところでしょう。
 装備を強化する消費アイテムがあって、どんなネタ装備でも最強にできるのが個人的には嬉しいなと。見た目の好みと装備の強さって噛み合わないことが多いので。
 『PLUS』なら図鑑も追加されているので、ミッションで手に入らない装備もその辺の人から剥きまくる収集要素を楽しむことができます。
 他にも、メイド喫茶に通ってメイドさんと戯れたり、ゲーセンのUFOキャッチャーで遊んだりもできるなど、自由度の高さと同時に「秋葉原を楽しむ」ことに目を向けたゲームデザインが魅力です。

 発売当時は秋葉原未体験でしたが、後々実際に行ってみると本当にゲームと同じだあと感心した覚えがあるので、再現度は高いのではないかと。
 地方出身者特有の感覚かもしれませんが、聖地として秋葉原をやたらに持ち上げられてもピンと来ず、秋葉原を聖地として扱う作品に触れることで、結果として(その作品の)聖地となるという逆転現象を味わうんですよね。神が先か聖地が先か、みたいな。
 少し脱線しましたが、フィールドもよく作られていると思います。一番の魅力はスタイリッシュな脱衣アクションでしょうけど。

 『クリミナルガールズ』もそうですが、PSPのギャルゲーって変態度が高いような気がします。あれは囚人の美少女たちを改心させながら冒険する内容で、エッチなおしおきをすると絆が深まり、戦闘スキルを習得するのでおしおきが必須となるゲームでした。
 人は何故、尻を引っ叩かれると強くなるのか。
 ともかく、PSP以前にも変態的な設定のコンシューマゲームはありましたが、個人的にはどうにもゲーム的な面白さはいまいち追いつかないものが多い印象で、「変態的×面白い」の可能性を感じられるようになったのはPSP以降だったような。
 本作はそう感じられるきっかけになったゲームだけあって、当然の如くおすすめなわけです。このゲームはキャラクターが可愛く、ゲームシステムが面白く、ストーリーもよいと三拍子そろったタイトルなので、ぜひ遊んでみて欲しいですね。2021年に10周年を記念して、PS4やニンテンドースイッチ、Steam向けにHDリマスター版もリリースされたので、プレイへの敷居が低いのもいいところかも。

 さて、それではこの辺で。また次回もよろしくお願い致します。

当記事に関連する商品紹介