2018年から始まったパーフェクトカタログも気がつけば丸5年が過ぎていた。大抵のゲーム機はやり尽くしていてさすがにネタ切れだろと言われつつも、MSXやX68000、果てはPC-8801、PC-9801といったパソコンにまで手を染めて、正直よく続いたものだと自分でも思う。
そんなわけでだんだんと本のネタも新しい時代のハードへと移ってきたわけだが、今回のテーマはニンテンドーDSである。今までの機種の中ではかなり最近のハードといえなくもないが、同年(2006年)発売のプレイステーション・ポータブルもすでにやっているので、開き直って作ることにしてしまったわけである。
ニンテンドーDSに限った話ではないが、任天堂製品はどれもこれも極めてメッセージ性の強いハードを作っている。もちろんそれが売れ行きに繋がるかは実際に発売されるまでわからないのだが、結果的にニンテンドーDSは歴代携帯ゲーム機最大のヒットとなり、なんと1億5000万台超も売れてしまった。当時の岩田社長をして「売れすぎて困惑している」とまで言わせるほどだから、社内は嬉しい悲鳴を通り越して、むしろ不安でいっぱいだったのかもしれない。
そんなニンテンドーDSだが、過去の任天堂ハードの例に漏れず実に面白いハードであった。「画面が2枚」「タッチパネル」「マイク」……個々のデバイス単体は何一つ目新しいものじゃないはずなのに、それらを組み合わせたハードは面白い。しかも、対応ゲームソフトもハードの特性をうまく活かしているものばかり。どうやったら、このようなハードが生まれたのだろう?
今回のパーフェクトカタログは、単なるカタログを超えた“思想”に興味が湧いて、その源泉を探る本となった。読者の皆さんも本書を読んで、ニンテンドーDSに対して私と同じような感想を抱いてくれれば幸いに思う。
いや、ほんと面白い機械だと思うよ。