さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。
今回は1987年にPC‐8801、PC-9801向けに発売されたレトロなPCゲームです(画像はPC‐8801版)。
まだ看護師が看護婦と呼ばれていた時代のゲームなので、記事では原作表記を尊重して看護婦と書いております。ご了承ください。
ザ・病院
総合病院を舞台にしたテキストアドベンチャーです。院内のあちこちを移動し、コマンドを選択して必要な情報やアイテムを集める形式のゲームですね。
「テキストアドベンチャーって何?」という方のために簡単に説明すると、アドベンチャーゲームから背景と人影を抜いたやつのことです。
たまーにCGが表示される場面もありますが、基本はテキストのみで進行します。
自分は物語の余白を想像するのが元から好きなので、記事を書く前の下調べでテキストアドベンチャーという表記を見たときに、そういえば背景なかったっけと思うくらいには無意識に補いまくっていました。人によるでしょうが、それほど不足は感じない仕様ですね。
ざっとまとめたストーリーは以下のとおり。
新聞記者である山崎勝義は、恋人の松田郁子が看護婦として勤める猛狂病院の内科で、数年にわたって胃がん患者の死が続いていることに疑問を抱いていた。
医長だけでなく病院の経営者や代議士まで絡む陰謀であることから危険を感じとり、郁子にも関わらないよう話すが、忠告は間に合わなかった。
彼女はすでに患者の連続死が新薬治験によるものと知ってしまっており、法外な治験料の授受の事実を含めた証拠を得たところを何者かに見られていたのだ。忠告をした日の夜、郁子は何者かが運転する車に轢かれて大怪我を負い、救急車で病院に搬送される。
受け入れ先は彼女の勤め先であり、陰謀渦巻く“猛狂病院”に決まった。
薄れゆく意識のなか、郁子は力を振り絞り、口紅でキャッシュカードに「たすけて殺される」と言葉を残す。のどかな土曜日の昼下がり、郁子を映画に誘おうと病院を訪れた山崎は、正面玄関前の芝生に落ちていた血染めのキャッシュカードに気づく。そして郁子の身に何が起きたのかを知るため、病院内に足を踏み入れるのだった。
恋人の松田郁子を探して病院を探索するゲームです。
見てのとおり本筋はシリアスな医療サスペンスしていますが、おふざけ的な選択肢や描写がちょいちょい挟まるゲームです。血塗られたキャッシュカードだって、選択肢に「カードたべる」なんてものが出てきますから。
同じところでぺんぺん草も食べることができるので、野草と一緒にいただけます。
栄養バランス考えながら奇行に走らないで。
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恋人が命懸けで残したメッセージ~新鮮な野草を添えて~
本作を開発したのはPSKことパソコンショップ高知。『ロリータ』シリーズや『ALICE』といったロリコンゲームを作ったソフトハウスです。なので、こういったおふざけはこのメーカーの味なのでしょう。むしろシリアスしている方が意外なくらいです。
テキストアドベンチャーゆえに当然ながらマップ表示もなく、プレイ中は自力で部屋の位置関係を把握しなくてはなりません。舞台となる病院は地下1階地上3階で部屋数もあるので、プレイするなら素直に紙かマップツールにでもメモした方がいいでしょう。
何がのちのち伏線になるかわからずプレイしていたので、プレイ時は知りえた情報をとにかく方眼紙(白紙に線を印刷したもの)に書き込んでいました。なので、後から見るとどうでもいい情報が見事にメモに残っていますね。
例えば他所の病院の不正話だとか、各所の灰皿に捨てられたタバコの銘柄だとか、院内に広告があった葬儀社の名前だとか、とある男性医師が痔もちで夜用のナプキンを使っているだとか、ついでに男子トイレで使用済みナプキンを詰まらせて騒ぎになっただとか。あとはとある看護婦が浮気性の彼氏がまたやらかしていたらアレをちょんぎると発言していたとかも。
全部攻略と関係ない話でした。
何故そんな情報をメモしたのかという話ですが、痔の話は件の医師を捕まえる機会があればヒントになるかなと思っていたんですよね。トイレで待ち伏せて後ろから首をキュッ、みたいな。
残念ながらそんな機会は訪れませんでした。
タバコの銘柄も何かしらのヒントか証拠になると思っていましたが、そもそも院内の生体実験を行っている人物の名前はオープニングデモで明かされているので、犯人を推理する必要がないんですね。アドベンチャーゲームにある程度慣れていると疑り深くなっていけない。
それくらい情報量の多いゲームでもあるということですね。
本作はメモリの制限が大きい時代のゲームなんですが、PC88とPC98の両方に通用する高解像度グラフィックを表示するために変則的なプログラムを組み、「ゲームといえばカラー」という風潮に抗ってまでカラー化を諦めた漢仕様。
なのでもしかすると、その流れでテキストもいれられるだけいれてやろ的な考えがあったのかもしれません。
PSKは医療従事者の集いで、本作には実話も盛り込まれているらしいので、愚痴半分面白半分で筆が乗った可能性もありますが。
さて、『ザ・病院』はいかがでしたでしょうか。
解き切れなかった謎はあるのですが、クリアするまでだれることなく楽しめるゲームでした。PSKの他作品とは毛色が違うせいか、あるいはモノクロであるせいか人気はいまひとつだったようですが、細部まで探索が楽しめる良作だと個人的には思います。
写真取り込みと思われる手術中の画像もあるので、そこはむしろモノクロで助かりました。
不満があるとすれば結末を変えることができないであろうことでしょうか。残された謎も解いたら何か変化があるのかもしれませんが、自力では調べきれませんでした。
猛狂病院のマップは他にも公開していらっしゃる方がおられるようですが、知らずに自分でも作ってしまったので次のページで公開しておきます。
元々は自分用に書き散らしたものなのでネタバレや垂れ流し的に書いたメモ、考察が多くて見づらいとは思いますが、 よろしければどうぞ。
もしプレイするなら、序盤にやったことが原因で終盤になって詰み要素になることもあるのでご注意ください。
詰み条件
・腐った牛乳を飲んだ
・薬を拾い食いした
・うんこをしたばかり
・靴下からしょんべん臭がする
・昼寝中の看護婦にイタズラしてビンタを食らったあと、3階で再会する
病院の陰謀を暴くなら常識的な行動を心がけ、うんこは我慢しよう
上記以外にもゲームオーバーになる行動はありますが、死ぬのもレトロアドベンチャーの醍醐味なので楽しんでどうぞ。
ゲームはProjectEGGで配信中なので、プレイするならそちらを利用するのがお手軽ではないでしょうか。
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