とんがりギャルゲー紀行 第143回:SIMPLE2000シリーズ Vol.50 THE 大美人

 お久しぶりです。年末からまたずーっと本の制作作業に追われていまして、やっと記事を更新する余裕を取り戻せました。
 制作していたのは『美少女アニメ完全ファイル vol.12』と『プレイステーション2パーフェクトカタログ』の巻です。前者はアダルトアニメとDVD-PG(DVDプレイヤーで遊べる美少女ゲームのこと)などを紹介するムック本で、後者はプレイステーション2のハード&周辺機器解説と全ソフト紹介を掲載した本となっております。すべて現在発売中なので、よろしければお手に取っていただけますと幸いでございます。

 さて、それでは本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。今回は『プレイステーション2パーフェクトカタログ』の宣伝も兼ねてプレイステーション2のゲームを取り上げてみました。ご紹介するのはディースリー・パブリッシャーによる低価格ゲームシリーズの1作。

SIMPLE2000シリーズ Vol.50 THE 大美人

 沖縄県皆古島に現れた謎の巨大生物に立ち向かう自衛隊の戦いを描くゲームです。内容は、自衛隊となって全6つのミッションに挑み、巨大生物が巻き起こす騒動に決着をつけるというもの。自機はミッションによって異なり、戦闘ヘリや戦闘機、戦車を駆ることになります。
 上記の説明だとまるで真面目な特撮もののようですが、このゲームにおける巨大生物って、謎のクラゲに刺されてでっかくなっちゃったグラビアアイドル「双葉理保」(CV:後藤邑子)のことなんですよね。

巨大化した理保

 沖縄県皆古島に、突如現れた人型巨大生命体。緊急調査に出動する自衛隊…。
その調査結果から驚愕の事実が判明した。その遺伝子は雑誌グラビアなどを中心に活動中のアイドルタレント、双葉理保(17)のものと99.99%一致したのだ。
北上する巨大双葉理保と、スクランブル体制の自衛隊との戦いがはじまる…。

公式サイトより

 ゲーム全体で特撮もの感を前面に押し出し、タイトル画面やミッション導入のニュース映像でもいかにもな雰囲気を演出し、しかし自衛隊が対峙するのは巨大なビキニ美女。
 このミスマッチが本作のポイントなわけです。

 ちなみに巨大化した双葉理保は事態をまるで理解しておらず、戦闘ヘリでダダっと銃撃されても「んもー、えっちな蚊ねぇ!」などと呑気しています。
 いくら巨大化したといってもヘリをヘリと認識できないほど極端なサイズ差はないので、彼女の眼には恐らく通常と異なる世界が映っているのでしょう。砂浜できゃっきゃするような駆け足でビルを破壊し、可愛い反撃程度の感覚でプレイヤーに車を投げつけてきたりと随分な真似をしてくれるので、もし正常に世界を認識しているならたいそうヤバイ女ということになってしまいますからね。
 そういえば、公式サイトを見るとジャンルはアクションとありますが、実際はシューティングですね、これ。

 双葉理保が特撮風の作中世界に現れたたったひとつの異物というわけではなく、実を言うと自衛隊のほうもおかしいです。
 例えば「第一話 巨大生物現る!」では、人間に似た巨大生物が現れたということで、まず戦闘ヘリで身体データの測定に挑みます。沖縄が危機に晒されている状況でまずやることが巨大生物のバストやヒップ、体長などを測ることって、なんでじゃいという話ですよね。まず動きを封じなさいよと。沖縄県民の命よりビキニ美女のバスト計測を優先してはいけないよと。

 そうして何故だか測定をした結果、第二話では巨大生物が双葉理保本人だと明らかになるというわけです。そんなことは見りゃわかるのですが、恐らく学術的にどうのという話なのでしょう。
 あるいは、次の話では麻酔薬ミサイルで巨大生物を眠らせることになるので、打ち込むべき麻酔の量も量ろうとしているのかもしれません。
 しかし、理保を眠らせるのに数百トン単位の麻酔が必要そうに見えますが、どうやって調達したのでしょうね。彼女を惹きつけるために使う住宅よりでかいケーキも、一体どうやって焼きあげたのか。如何にして切り分け、生クリームを表面に塗りたくったのか。巨大生物の出現より深い謎かもしれません。自衛隊の最新技術ってすごい。

 すべての任を終えるとスタッフロールが流れ、最後に「色々おかしな点はあったけど、無事もとに戻った理保の笑顔が見られたからヨシ!」的な内容のメッセージが表示されて終わります。大暴れした理保も罪には問われることなくめでたしめでたし。
 こまけぇこたぁいいんだよの精神が感じられますね。この大らかさがSIMPLEシリーズの味よ。

 さて、怪獣映画×グラビアアイドルという奇抜なアイデアひとつで突っ走った『THE 大美人』はいかがでしたでしょうか。
 自機の操作がどうももっさりしているとか、そのためロックオン機能が用意されていないステージはやりにくいだとか、おまけにミッションの進捗状況が体感でわかりにくいという難点があるので、ゲームとしてはいまひとつ、けれどコンセプトと演出は良しというのが個人的な印象です。ゲーム中で各種条件を満たすと解放される「クエスト」なるやり込み要素も用意されていますが、これが魅力となるかは意見の分かれるところではないかと。
 それでも開発側が表現したかったであろうところはしっかり表現されているので、そこは評価すべきでしょう。総合的に見れば愛すべきバカゲーといったところかと。

 ちなみに、本作に登場するグラビアアイドル「双葉理保」は、SIMPLEシリーズにたびたび登場するキャラクターです。とあるギャルゲーに出てきたヒロインの1人だったのが、のちにシリーズの他作品にも出てくるようになったのだとか。他の登場作が気になるかたは、併せてチェックしてみてくださいね。
 それでは今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

当記事に関連する商品紹介