5月28日に発売される『80年代AVGガイドブック』が校了しました。
ここ1年『パーフェクトカタログ』漬けだったので、それ以外の本は久しぶりとなりますが、ぜひこちらもお手にとって、お気に召して(願わくばお求め)いただければ幸いです。というわけで、例によって本書のあとがきを兼ねた裏話を少々語りたいと思います。
ゲームに限った話ではないのですが、歴史を重ねたコンテンツというのはさまざまな切り口で分類できるものでして、どういった切り口で作るかによってまったく違った性格の本になります。『パーフェクトカタログ』シリーズは特定の機種で絞っているわけで、いわば「縦軸」の本。年代別という「横軸」の分け方ならば、いわゆる年鑑になりますね。本書は「アドベンチャーゲーム」でくくっていますので「第3の軸」といえば良いのでしょうか。これについてはなにかうまい表現が見つかればなー、と、昔から漠然と考えています。
歴史はさまざまな軸足や側面から眺めることが必要とはいえ、これを1つの書物ですべて表現することはできないため、その辺が書物の弱点であり悩みどころだったりします。というわけで、今回は「パソコン、コンシューマ関係なくアドベンチャーゲームでまとめてみよう」そう考えたことが企画の発端です。80年代に限定したのは、すべてもまとめるにはあまりにもタイトルが膨大になりすぎることと、アドベンチャーゲームの基本進化の流れがこの10年間に凝縮されていたからですね(逆に言えば、ジャンルとしての進化は90年以降は止まっているともいえます)。
とはいえ、私がこれまでの本で目指してきた「〇〇○の魅力を伝える本」という根底は何ら変わることはありません。今回の本も全カタログとはなりませんでしたが、80年台の数多あるアドベンチャーゲームの中から「アドベンチャーゲームの魅力を伝えるに値する35タイトル」をセレクトしました。もちろん、掲載に漏れたタイトルには魅力がないと言うつもりはなく、それぞれの作品に主入れのあるファンの方もいらっしゃると思います。世間で言う名作から外れるタイトルもあるかもしれませんは、あくまで本書のセレクトは「前田の独断と偏見」です。その部分は、十分にご留意いただき、ご了承ください。
余談ではありますが、今回の本の制作に当たりいくつかのタイトルを久々に遊び直しました。というより、ちょっと確認を……のつもりだったにもかかわらず、ついつい引き込まれて最後まで遊んでしまったというのが真相です。おかげで以後のスケジュール進行がめちゃくちゃ厳しかったです。でも、そこまでさせる魅力あるゲームだからこその名作なんでしょうね。
そんなわけで、掲載したタイトルの魅力&アドベンチャーゲームの魅力がぜひ伝わってくれればいいなと思いながら作った本ですので、よろしくお願いいたします。
『90年代AVG』は作るのかって? この本が売れてくれればぜひともやりたいですねえ(笑)。