パーフェクトカタログシリーズの第20弾、第21弾となる『プレイステーション2パーフェクトカタログ 上巻・下巻』が無事校了しました。今回は特に上下巻合わせて512ページというボリュームになってしまったことから、どうしても値段の張る本となってしまいましたが、特に問題なければ1月27日に書店に下巻が並ぶ予定(上巻は好評発売中)ですので興味のある方はぜひお手にとって貰えればと思います。
プレイステーション2はプレイステーションが圧倒的なシェアを握っていたことから、開発発表の時点で次世代機覇者として本命視されていました。圧倒的な映像デモ、新規開発のEEとGS、想像をいい意味で裏切ってくれたスタイリッシュなデザイン、DVD再生機能を搭載しながらも39800円という安価な設定など、少しずつ明かされる報道にワクワクしたのを覚えています。
大方の予想通り、最終的に1億5000万台超という圧倒的な出荷台数を記録して2000年代前版のゲーム市場を制したわけですが、個人的にプレイステーション2がもたらした功績は「ソニーがゲーム機に求めるビジョンを明確に示したこと」と「USBの搭載によるインターフェースの標準化」の2つだと思っています。
ソニーのビジョンとはズバリ、「高画質」「高音質」「高速処理」であり、これってAV機器メーカーであり、長年デジタル映像・音響機器を手掛けてきたソニーの姿勢そのものなんですね。初代のプレイステーションは初めての分野だったために手探り感の強かった製品でしたが、プレイステーション2で以後の製品の方向性を明確にした点は大きなポイントだと思います。3以降も本質的にこの姿勢は受け継がれ、考えようによっては任天堂とは違うゲーム機のポジション、ソニーなりのゲーム機という定義付けしたといえるかもしれません。
もう一つの「インターフェースの標準化」については、意図的にUSB端子やi.LINK端子を付けたというよりは、プレイステーション2というハードをパソコン寄りに設計していく過程で副産物として装備したと思われます。しかし、USB端子の存在でキーボードやマウス、モデムやプリンタというパソコン向けの周辺機器がそのまま流用できたことと、ロジクールやアイ・オー・データなどのパソコン周辺機器メーカーが参入する呼び水になるなど様々な効果をもたらしました。以後の家庭用ゲーム機でUSB端子の標準装備が当たり前になったことからも、その効果の大きさがうかがえたといえるでしょう。
これは過去幾度とパーフェクトカタログシリーズの後記で書いてきたことなのですが、単純な製品カタログ、ソフトカタログとしてというよりは、そのゲーム機がもたらした功績や事情といった多角的な考察をすることで、魅力を最大限伝えることを目的としています。本書を通じて当時は気づかなかった一側面や、リアルタイムで触れてこなかった方々へのプレイステーション2をより知っていただく一助に慣れればと思います。