さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。
今回ご紹介するのは、戯画の派生レーベルである「daisy feat.戯画」からリリースされた唯一のタイトル
『Always~ふと、気が付けばキミとの日常…~』
喫茶スペースと古書店スペースを備えたレトロな喫茶店「RomanticFool(ロマンティックフール)」を舞台にした美少女ゲームです。戯画は喫茶店モノのゲームをいくつもリリースしていますが、お店のコンセプトは毎回きっちり設定しているイメージがありますね。お店の雰囲気もいいですし、2種類ある制服も可愛いらしい。
ストーリーのほうは、ひょんなことから従姉が店のオーナーをしている喫茶店で店員をすることになった主人公が、ウェイトレスたちと日々を過ごすなかで恋心を育んでいく……という、わりと王道なものです。目を引く展開があるわけでもなく、ただ可愛いヒロインといちゃいちゃする系のゲームですね。
で、なかなか安定していそうな雰囲気のある本作の、一体全体どの辺りがとんがっているのかという点については、画像をお見せするのが一番わかりやすいでしょう。ひとまず以下の画像をご覧ください。
こういうことです。
おわかりいただけましたか?
『Always』は顔がたびたび旅に出るバグゲーなんですよね。ちなみにこの現象が起きるのはこのシーンだけではありません。
「やっぱり、優先順位ってあるわよね、なんにでも」
わかるよ。デバッグは大事だよね。でもきっと、納期はもっと大事だったんだよね。
どうしてこんなミスが起きるのかわからないという方のため、立ち絵の表示の仕方から説明しますと、大抵のアドベンチャーゲームでは画像のデータ容量を抑えるため、「ポーズ付きの立ち絵」と「顔部分だけの小さな画像差分」を分けて収録しているんですよね。
立ち絵を表示するときには、「ポーズ付きの立ち絵」を下に表示して、その上に「顔部分だけの小さな画像差分」を置くことで、表情がコロコロ変わって見えるようにしているんです。能みたいにお面を付け替えて感情表現をしているといえばわかりやすいでしょうか。
ポーズと表情を分けると、収録するデータ容量、絵を発注する際の金額を抑えられますし、データの読み込みに時間がかからないためゲームの動作も軽くなるので色々と便利なんですよね。
なので、上の画像のように顔が変なことになっているのは、読み込む表情差分の指定を間違えているからでしょう。
これはスクリプト(簡易なプログラムのこと)の問題であってパソコン側の問題ではありませんから、デバッグをしていれば確実に見つけられるミスのはず。何度も何度もシナリオを確認しているせいで最終確認時には目が滑ってしまってミスを見逃すというケースもありますけど、1か所だけでもないので流石に普通は見つけられると思うんですけどね。
これは果たして、気づいていたのに修正指示を反映し忘れたのか、納期の問題で修正を反映させる時間がなかったのか、はたまたそもそもデバッグをしていないのか。カツカツのスケジュールに追い詰められ、疲れてぼんやりした頭でデバッグしたせいでミスをまるっと見過ごした可能性もあります。
上に正解があるのかないのか、まったく事情は知れませんが結果としてこの状態で製品として発売されてしまい、見た目のインパクトがでかすぎて話題になってしまったわけなんですね。
まあ、そりゃそうよ。これはちょっと面白すぎるもの。
ゲームの進行には問題はないだろうと言われればそのとおりですが、これはエロゲーですからね。ゲルニカ顔の女にエロスを感じられるかいえば難しいと言わざるを得ません。
いやあ、とんがっていますね。正直どう考えても上級者向けだわ。
表示する表情を間違えることは他のゲームでもたびたびあることですが、ここまで凄いのは珍しいですね。他の美少女ゲームでの同様のミスでぱっと思いつくのは、ヒロインが入水自殺(未遂)をするシーンなのに満面の笑みになってしまっているものだとか、ごく普通の会話中にヒロインが突然全裸になるものでしょうか。
よく考えたらそれはそれで面白い状況でしたね。『Always』に負けていません。
なんだ、このゲームそんなにとんがっていなかったかも。全然イケるわ。
と、プレイヤーの訓練度によって評価が分かれる作品ではありますが、話自体は破綻しているわけではないので興味があったらプレイしてみるのもいいのではないでしょうか。確か最新のOSには対応していないはずなので、PC環境的に問題ないという方はぜひ遊んでみてください。
あまり普通の画像を載せられなかったので最後におまけ。今回はモザイクなしのスクリーンショットが少なかったので、モザイク部分を隠すよう加工しています。
最初は本編をリスペクトしてヒロインの表情差分で陰部を隠して誤魔化そうかと思ってましたけど、いざ加工してみると本編同様のバグなのかコラなのか分からなくなってきたので自粛しました。一応言っておくと、今回画像をいじってあるのはモザイク部分のみ(カエルマークがそれにあたります)で、上の方でお見せしたバグった立ち絵は作品の仕様ですからね。