前回で、興味の向きがドット打ちに向かっていると書きましたが、まったくFM音源をいじっていなかったというわけでもありませんでした。ベーマガ掲載のミュージックプログラム移植や打ち込みばかりでなく自分自身でも拙いながらも曲データを作ることがあったので、今回はそんなひとつを紹介したいと思います。
私は数あるゲームミュージックの中でもとりわけ1980年代のコナミサウンドに心酔しておりまして、特に他のメーカーが「いかに自然な音色、音楽を表現しよう」と試行錯誤していたのに対して、コナミの「PSG(以下省略しますがSCCなど拡張音源含む)を前提とした曲作り」に惚れ込んでいたのです。誤解を恐れずにいえば、当時のコナミサウンドは「PSGで演奏しているからカッコいい!」んですね。
もちろん、それぞれの会社でも作曲者によって考え方は様々でしょうし、他メーカーでも優れた楽曲はたくさんあります。あくまで、当時惚れ込んでいた頃の私の主観と捉えて下さい。
中でも別格なのは『グラディウス』でして、アーケード版の宇宙空間を想像させる数々の美しい楽曲は未だ強烈に脳裏に焼きついています。PSGゆえの透明感+デチューン効果による広がりは、私にとって快感とまでいえるほどでした。
『グラディウス』は後にファミコンをはじめとした各機種に移植されるのですが、ゲーム内容はさておき音楽面では正直言ってアーケードの感動とは程遠いシロモノが多かったのも正直なところです。PCエンジン版も当時の水準としては頑張っていたんだけど、音楽以外も含めてちょっと……でした。
ちなみにX1版もあったのですが、こちらはさらにちょっと……でした(汗)。
というわけで、自分の力量の限りで『グラディウス』の音楽とグラフィックをX1で再現できるかに挑戦したのが、今回紹介する『グラディウス』専用の音楽ディスクだったのです。曲目はネームエントリーも含めてNEW FM音源ドライバーで作ったものを全11曲収録、ジョイスティックの方向キーで曲のセレクトと再生、フェードアウトできるというこだわりの一品です。
このディスクを作った1989年当時は公式に曲名は発表されていなかったため、普通に「STAGE 1」「BOSS」といった名前で記載しました。
余談ですが、演奏中はフェードアウト以外のボタンが余っていたので、方向キーで「ショット音」「パワーカプセル取得」「パワーアップ」音をPSGで再現してみました。さらにパワーゲージの視覚演出もオマケで入れてあります(笑)。
音楽面については、FM音源でPSGっぽい音色を作成した上で、オリジナル3チャンネルに対してデチューン用にプラス3チャンネルの合計6音、さらにそれぞれのチャンネルを左右に割り振って鬱陶しくならない程度に音に厚みを加えています。今聞き返すといろいろツッコミどころがある内容ですが、当時の『グラディウス』にかける過度な熱意が少しでも伝われば幸いですね。
今回は全部自分の打ち込みということもあって動画でアップしました。当時の私が目指した域に達することができたのかについては、皆様に直接見ていただいて判断していただきたいと思います。
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