とんがりギャルゲー紀行 第35回:バトルフィッシャーズ

今回紹介するのは釣り×バトル×友情×恋愛の要素が合わさった、知る人ぞ知る、たぶんほとんどの人が知らない釣りゲーム『バトルフィッシャーズ』

コナミが2000年に発売した一風変わった作品です。チャイナ娘、宇宙人、忍者、さすらいのレゲエマンと個性派ぞろいな面々と釣りの腕を競いながら釣り専門学校の卒業を目指します。内容は種目が釣りの『パワプロクンポケット』、もしくは育成要素を省いて釣りを足した『ときめきメモリアル』といった感じですね。

釣人を育成するために作られた国際的最高秘密私立超特殊釣り専門学校【チョージンガクエン(釣り人学園?)】に主人公が漂流してやってくるところから物語が始まり、1年間の学生生活を送ることになります。学園には「ほしいモノは 釣れ!」という掟があり、島を出るには校長との釣りバトルに勝利して卒業資格を獲得しなくてはなりません。

校長先生のありがたいお話を要約すると、

「秘密学園の存在を知ったからには生きては帰さん。富も名誉も正義も恋も友情も、ほしいものはすべて己の腕で釣りあげろ」

みたいなことを言われます。

男らしい……。でも変な学校。ちなみにオープニングで校歌も見られます(クリアすると2番、3番の歌詞も見られるようになる)。メロディがしっかりついていてBGMの作り込みにちょっと笑いました。このゲームはキャラクターごとにテーマBGMがあり、バトル時にはそのアレンジ版が使われています。そのどれもがなかなか聴きごたえのある曲ばかりでいい感じ。魚とのファイト中は熱い曲に変化するのもいい演出です。

それにしても、恋も釣りあげろってどういうことかな。釣りの腕がいいとヒロインにモテるってことかな? と思っていたら……

ホントに釣ってゲットしちゃった!

というのは冗談で、これは池に落ちた中国人の同級生・リンリンを助けているところです(それでも女の子を物理的に釣っていることには変わりない)。

ちなみに画像の左端にあるゲージの赤い部分は魚群の位置を示すもので、リンリンに反応して赤くなっています。彼女がいる魚群は一か所のみなので、別の魚群を狙っているとひたすらブラックバスばかりがヒットしてしまいます。

このイベントを最初にプレイしたときは、リンリンを釣る画像の差分がないのかもしれないと考え、上画像のようにヒットしたブラックバスを見ても人間だと思い込んでいました。どうみても魚であるこいつを【推定リンリン】と呼んで一生懸命釣ろうとしていたのです。糸をぐんと引っ張るバスを「くっ、生きがいいなこの推定リンリン!」「抵抗すんな推定リンリン!」と悪態をつきながら釣りあげたら、やっぱり魚だった……という間抜けなオチがついたのですが。

そして「そうだよな、助けようとしてるのにこんなに左右にぐんぐん引っ張って抵抗したりしないよなー」と頷いていたら、リンリン本人にも左右にぎゅんぎゅん振り回されたり跳びあがられたりと、そこらのバスより抵抗されて驚かされました。画像ではわかりにくいのですが、この娘は水中で功夫でも使っていたのかと思うくらいの恐ろしい速度で糸を引きちぎりにかかってきます。おい、お前を助けようとしてるんだぞ。

魚を釣り上げたときと同じように、釣った獲物の重さが画面上に表示されます。乙女なのに体重を明かされたうえに、数え方が魚と同じ「匹」という扱いのひどさについ笑ってしまいました。

さすがにヒロインを釣るのは特殊なイベントで、普段の釣りバトルはバス釣りの腕を競う真っ当(?)なものです。釣りバトルに必要な操作テクニックはシンプルなものですが、バトルによって勝利条件が違うのでなかなか飽きがきません。先ほども言いましたが、バトル中のBGMは良曲揃いで盛り上がりますしね。結構面白いゲームだと思うんですが、なぜ知名度が低いのか。ヒロインが釣り忍者という謎の存在だったり、釣り人の霊をキャッチアンドリリースする霊感少女だったりと、イロモノばかりなのがいけないのかもしれません。

学園生活のほうはスゴロク風に進んでいきます。月末の釣り試験や学園祭、クリスマスなど強制的にストップするマスもありますが、基本的に止まる場所はルーレットの結果次第。

キャラクターがいる場所に止まるとイベントが発生し、交流を深めたりバトルをすることができます(誰もいないマスでもキャラクターの誕生日にはイベントが発生したり、休日は釣りバトルの特訓ができます)。たまにキャラクターがいるマスに止まれる数字がルーレットにないことがありますが、セーブ&ロードでルーレット表示を切り替えることができるので、これを利用すれば誰とも会えずにボッチ生活を送ることにはならないはずです。リアルラックのせいで攻略失敗を繰り返すのはストレスになるでしょうから、無駄に何周もしないで済むのはありがたいですね。ルーレットもそれほど早くないので、慣れれば目押しも簡単です。後半はルーレットの目が「?」で隠されて難易度が上がりますが、まあロードすればなんとかなります。

 

イベントは恋愛色が薄く、大半がギャグです。いちゃいちゃが見たいという方には物足りないかもしれませんが、やたらと話に釣りを絡めてくる荒唐無稽さが面白いです。

イベントをこなすと新しいルアーをゲットできることも。月末の試験で80点以上を取ったり、チャイナ娘にもらったり、忍者が投げていたものを拾ったりと経緯はさまざまですが、バトルに勝ったり選択肢で適切なものを選んでいればどんどん入手できるはず。

新しいルアーは入手後に主人公の友人である小林君が解説してくれるほか、釣りずかんでも確認できます。

学友たちからもらえる一部のルアーを所持していると、改造イベントが発生することがあります。マッドな博士風の教師に改造させてくれと頼まれ、了承すると新しい姿になったルアーをゲットできます。

しかし、それを友情の証として渡してくれていた場合は絶交されてしまうことも……(絶交宣言されるとスゴロクマップに一切出てこなくなります)。

ちなみにルアーは大まかにトップ、シャロー、ミドル、ボトムの4つに分類され(水面からの距離が異なる)、それぞれに性質や操作方法が異なる個性的なルアーが数多く用意されています。一度入手したらルアー図鑑に登録されるので、やり込み要素もバッチリですね。次周に強いルアーを引き継ぐことはできませんが、一度図鑑に登録されたルアーは通信対戦に使用できます。

犬や黒子の形をしたルアーは水底を走ります。どんなに変な形でも、アタックゲージ(画面下のAと書かれたゲージ)が溜まればブラックバスが食らいつきます。

バトルで使うにはどれがいいルアーなのかはよくわからないので、私は操作しやすいと思ったものを使っています。何を使おうと要はバトルで勝てばいいんですし、負けたらロードしてしまえばいいんです。いきなり電源を切っても『パワプロクンポケット』みたいにペナルティはありませんしね。

クリスマスになると好感度上位3人から誰か1人を選ぶイベントが発生し、個別ルートへ進みます(相手は女の子に限らず、男同士で友情を深めるルートもある)。

お正月には個別ルートに入ったキャラクターと一緒に初詣へ。バス巫女なる奇怪な女性におみくじをすすめられるのは、ときメモっぽいイベント……かも?

個別ルートに入ってからのイベントでは各キャラクターが何を目的にしているのかという事情が掘り下げられ、最終的にその目的のために1月末の決戦に挑むことになります。対決相手は校長だったり、校長の配下だったキャラクターだったり、釣り魔王に憑依された校長(!?)だったりとさまざまです。

無事に勝利すると即卒業となり、スタッフロールが流れ……。

一緒にエンディングを迎えたキャラクターからの手紙をオプション画面で読むことができます。

おまけとして今回のプレイでエンディングを迎えたキャラクターの手紙を置いておきますね。男との友情エンドも見ましたが、なかなか熱いシナリオでした。気になる方はぜひ『バトルフィッシャーズ』をプレイしてみてください。

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