第8回:『ニピュラー』の巻

『ニブラー』とスネークゲームについて

『ニブラー』という海外のアーケードゲームがございます。35年ほど前に開発された、大変に研ぎ澄まされた楽しさをもつゲームでございます。

コンピュータゲームの黎明期とでもいうのでしょうか。1970年代後半から1980年代前半頃。コンピュータゲームの基礎の楽しさを備えたゲームが、それぞれ種別としてありました。はしごゲーム型、スペースゲーム(シューティングゲーム)型、ドットイートなんて言葉もこの頃からちょっと後くらいの時代の名残りでしょうな。そしてその中に、スネークゲームという種類がありました。

ニピュラーロゴ

ニピュラーロゴ

スネークゲームとは、ヘビを操作してエサ食ったりしてどんどんヘビの体が伸びていき、自分自身の体や、ゲームによっては壁にぶつかったらプレイヤーアウトというものが基本ルールのゲームでした。これを二人で遊んで二匹のヘビで互いの体を使って相手の行動を阻止したり、四隅の外周さえなくとにかく時間制限内は体をぶつけないようにひたすらゲームを続けたり、エサにボーナス点などが一工夫してあったり、いろんなルール変更がなされての亜種がございました。その多くはヘビは操作しなくても進行方向へ常に進み続けるルール(故に体が長くなってくると思考が間に合わなくなり、自然とゲームの難度が上昇する)であり、『ニブラー』も例外ではありません(壁にぶつかり左右もしくは上下に進行方向が選べる場合のみ止まります)。

皆さんもぜひBASICで作ってみましょう

このスネークゲームはBASICにてゲーム作成の練習をするのに大変よい題材だったのだと思います。ゲームのショートプログラム集といった本などには、たいてい収録されておりました。そしてそのアルゴリズムの多くは、大きな配列変数にヘビの増えていく体の座標をぶち込んでいき、その配列のケツなり先頭なりとにかく尻尾のほうの座標を移動と共に表示から消しこんでいく、というものだったようです。

配列変数が使えない

ぴゅう太の日本語G-BASICには配列変数がありません。なのでスネークゲームの作成は難しいと思っておりました。ぴゅう太買えやソフト8番目の『サイモンとザ・ファンクス』では、グラフィック画面上部を配列変数代わりにする方法を用いていますが、しかしスネークゲームを実現するとなると、必要となる配列の数が足りなくなるか、管理が難しいか、どちらかで行き詰るだろうとも考えておりました。

ニピュラー1

ニピュラー1

ブロックとアナルバイブとケツ

現在、ぴゅう太買えやソフトでは他にも何本か並行してしょぼいゲームを作らせて頂いている最中でおりますが、その中に『ブロック崩され』というものがございます。自分としてはわけあって、これをどうしても早く完成させたいのですが、ルール作りの段階でどうにもゲームとして楽しくなく、難航しておりました。

あーブロック、ブロックねえ、ブロック、ブロック崩しにしてもねえ、うーん、その逆はろうってんだからせめてブロック崩しの面白さの十分の一くらいの面白さがなかったらねえ、なんとかならないものか。疲れたからちょっと自慰(注1)しよう。自慰といえば昔よう、就職した大学の先輩の家にみんなで遊びいったときよう、同輩に先輩の気を引かせておいてよう、無修正のエロ本とかAVとかよう、なんか面白いもんでも隠してねえかと家捜ししてみたらよう、アナルバイブみつけちまってよう、え、いや、まさかこれ誰かに使ってんじゃねえだろうな、いやいやいや、せめて自慰だよな、自慰であってくれ、自慰、じいいいいいいい、みてえないやーな気持ちになっちまったことがあったなあ、あーやだやだ、なにしろ男の先輩だったからよう、そりゃ女に使う可能性もあったろうけど正直なとこ女できるような先輩じゃあなかったからなあ、はははは、あ、これだ。ケツだよケツ。頭とケツの座標だけなら配列にしなくとも普通に変数にぶち込んどいて管理できる。しかもぴゅう太の場合は座標といってもセル番号だから変数が2つだけで済む。んでケツの周りを調べてヘビの体をみつけたらそっちにケツ座標つまりセル番号を移動して表示されてるケツを消す。んで、ケツの周りには常につながっている部分の体以外触れないような迷路作りをしておけばいい。これだ。これで念願の『ニブラー』のようなゲームを作れるぞ、ブロックはしょうがねえからあとまわしだ。

ニピュラー2

ニピュラー2

つつましく、そして楽しく遊ぶということ

上記のような経緯を経まして、『ニピュラー』を作成開始致しました。何故『ニブラー』のようなゲームを作るのが念願だったかというと、数年前に『ニブラー』を扱った素晴らしい本をBEEPさんにて購入したからです。その本には『ニブラー』を楽しむ方々のお心が刻まれておりました。35年以上も前に作られたコンピュータゲームを楽しむ、賞品も景品もない、射幸心を煽るのはただただ得点のみ、それは本当につつましくも暖かい、コンピュータゲームを、『ニブラー』を愛するお心でありました。その本は自分なんぞよりもっと必要となされ、もっと有意義にご活用なさられるであろう方がツイッタにおられまして、すでに本もお店から無くなっていたとのことでしたので、その方に差し上げましたが。本に刻み込まれたお心に触発され、『ニブラー』のようなゲームを作ってみたいとずっと思っておりました。

ニピュラー3

ニピュラー3

『ニピュラー』を作り始める

ヘビの体がつながっている部分の他は触れぬように、ゲームとして少しでも楽しめるような、そして『ニブラー』と『ニブラー』を愛される方々への敬意を込めて、迷路をG-GRAPHICで描き、その中をヘビが思ったとおりに動いてくれたときは手前味噌ではありますが感動致しました。他のスネークゲームのように速度がどんどんあがるという仕掛けはありませんが、むしろ勝手に進行方向にヘビを進ませるのもやめてしまい、純粋にヘビを次にどう動かせばいいかを考える楽しさを追ってみようとも迷路作りの際に決めておりました。そしてエサとなる赤カブをタイマーで出現するようにし、諸々調整を行い完成と相成りました。

2018/4/22(日)大田区産業プラザPiO レトロエクスプレスにて

『ニピュラー』はぴゅう太買えやソフトの9番目として、蒲田で開催されるゲームの祭りレトロエクスプレスの5回目に持っていく予定でございます。何卒、遊びにお越し頂き、十億点を目指して頂ければ幸いです。なお赤カブはひとつにつき一千万点です。今回もまたこのような、稚拙な作文をお読み頂きありがとうございました。失礼致します。

イベント公式ページ

追伸

あえて残したバグがあります。バグそのものをみつけるのはさほど難しくはないでしょうけれど、ゲーム進行に有利になる使い方をどなたかがみつけてくれるかなあと思っています。

追伸2

前回、「ぴゅう太はつらいよ」にてなるとさんの作ってくださった動画を貼り忘れておりました。ぜひお聴き頂ければ幸いです。

 

注1・・・マスかきの意

 

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