今回紹介するのはメガCD(メガドライブ)のシューティング『慶応遊撃隊』。おきゃんなバニーの蘭未ちゃんがカワイイ一作です。
架空の江戸時代慶応を舞台にしたシリーズの1作目。蘭未ちゃんが主役のシリーズ作品は全3作ですが、すべてにおいてゲームジャンルが異なります。
2作目の『慶応遊撃隊・活劇編』はベルトスクロールアクション。(セガサターン)
3作目の『蘭未ちゃんの大江戸すごろく・慶応遊撃隊外伝』はボードゲーム。(プレイステーション)
ジャンルが異なるのはスタッフのこだわりゆえのことらしいのですが、これが良い結果をもたらしたかというとちょっと疑問が残るかな……? 1人でやりこむのが主なシューティングと、マルチプレイでわいわいやるボードゲームは、同じシリーズで扱うのに向いていなかったかもしれませんね。シリーズ作品すべて別ハードでリリースされたこともあり、シリーズ作品を追いかけるユーザーへ課される金銭ハードルが高いのも痛かった。シリーズのどの作品も決して悪くない内容だっただけに、意図せずユーザーを篩にかける結果になってしまったのはもったいないことです。
話を『慶応遊撃隊』単品に戻しましょうか。
硬派なイメージがあったメガドライブ界にバニーガール×江戸時代という異色の取り合わせで飛び込み、そのインパクトで人気があっという間に出た……というわけでもなく、発売当初はひっそりとした登場でした。チラシなどは配られていたものの、宣伝効果はあまりなかった様子。
ちなみにこれが当時のチラシ画像です。他の作品も載っていますが、当時の雰囲気を伝えるためにあえてそのまま載せておきますね。画像の大きさはでかすぎるのか小さいのか、ちょうどいいのがどのくらいかよくわからない……。
ヒロインである蘭未ちゃんの声は、当時声優初挑戦だった菅野美穂さんが務めています。今や大物女優となった彼女が「ちゃん」付けで呼ばれているのを見ると、なんだか時代の流れを感じますね。(見にくいかもしれませんが、チラシには『蘭未(らみ)ちゃんの声で「慶応遊撃隊」に出演している菅野美穂ちゃんが6月6日(日)に’93東京おもちゃショーにやってくる!』と書かれています)当時は14才くらいでしょうか? 若い……。でもあんまり変わらない……。
菅野美穂さんは2作目の活劇編でも声優を務めましたが、3作目で別の方にバトンタッチとなりました。菅野さんはかなーり棒読みなのでぶっちゃけ3作目が一番イイ演技の蘭未ちゃんボイスが聞けるのですが、菅野ボイスに愛着が沸いていたファンたちには惜しまれていました。
おっと、また脱線しちゃいました。
この作品の人気が出たのは、発売からしばらく経ってからでした。口コミでじわじわーと評判が広まり、カルト的な人気を得るに至ったわけです。
本作の舞台は架空の江戸時代。慶応八年(幕末)という時代設定ではありますが、地下鉄やらミサイルやらなんでもアリなインチキ江戸時代といった感じです。実際、ゲーム内でも世界観の説明をしつつ「そんなことはさておき」みたいな感じで細かいことは気にするなという空気を出していますし。
プロローグはビジュアルシーンで描かれています。
奇抜に見えるバニーガールの衣装は「秘宝の鍵」を守る蘭未ちゃんの一族に伝わる由緒正しき恰好なんだとか。
しかしながら、見張りをサボってコンビニでおでんを買っていた隙に秘宝の鍵を奪われ、オババに「鍵を取り返すまでメシ抜き」と言われた蘭未ちゃんは、ドラゴンのポチと共に奪還作戦に乗り出す――というゆるい感じのストーリーでゲームが始まります。
話の合間で差し込まれるコミカルなアイキャッチがいい感じ。プレイの邪魔ならオプションでオフにできます。
メインであるシューティングも良く出来ていまして、自機は『ポチに乗って空を飛ぶ蘭未ちゃん』というぱっと見でかすぎな代物ではありますが、当たり判定は小さく設定されていて遊びやすいですし、インチキ幕末なグラフィックも綺麗に描かれています。ステージ構成、敵の攻撃にもプレイヤーを飽きさせない作りになっていて◎。
難易度調整もあることですし、気軽に楽しく遊べる一本だと思いますよ。
ボスも雑魚も可愛くて個性的。ステージごとに敵のたぬき集団の行動も変化します。
こちらがオプション画面。オプション画面でも作品の雰囲気を統一しているのがいい感じですね。ここでは当たり判定の位置を自分好みに調整できるほか、難易度や残機数も変更できます。難易度は「さる」「ひと」「てんぐ」の3種類。シューティングが苦手な人はプライドを捨てて「さる」を選びましょう。
口コミでじわじわ売れた作品ゆえに市場に出回った数が少なく、中古ではやや高値がついているようですが、安く出回っていればちょいと遊んでみるのもいいのではないかなーというおすすめゲームです。
それでは今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いいたします。