第24回:アーケード移植で楽しむ!エンジン&メガドラ

第9回でも触れましたが、私がX1Gを購入したのは1987年。X68000が発売された年と同年でした。

X68000は、当時の8ビットパソコンとあまりにもスペック水準が離れ過ぎていたおかげで、それほど劇的に「羨ましい」という感情を抱くことはありませんでした。例えるならば「遠くの世界のアイドルを眺める感覚」とでもいうのでしょうか、私にとっては高嶺の花という意味でアーケードゲームもX68000も大差ないといった感じだったのです。

そんな遠くから眺めるX68000への漠然とした憧れを埋めてくれたのが、アーケードゲーム移植マシンとしてのPCエンジンとメガドライブの存在でした。今回はX1とまったく関係ないどころかパソコンの話題ですらないのですが、当時のこの2機種について触れたいと思います。

強力なアーケード移植ハードだった!Huカード時代のPCエンジン

PCエンジンは1987年にNECホームエレクトロニクスからポストファミコンを狙って発売された家庭用ゲーム機です。詳しい発売経緯は以前私が書いた『家庭用ゲーム機興亡史』でも触れていますし、このサイトをご覧になっている方々であれば概ね周知のことと存じますので、ここでは割愛。興味がある方は是非本を買ってください(笑)。

ファミコン版『源平討魔伝』

それまで「アーケードゲームを自宅で心ゆくまで遊びたい」という願いを叶える役割を担っていたのはファミコンだったのですが、1983年のファミコン発売から4年間でのアーケードゲームの進化は著しく、ファミコンの表現力では再現に無理が出てきていました(ファミコンの『源平討魔伝』みたいに、もはや「移植」と呼んでいいのか微妙なものもありました)。

また、『スーパーマリオブラザーズ』『ドラゴンクエスト』など独自のタイトルのヒットにより、アーケード移植に頼らないラインナップに移行していた点も、アーケードゲームファンにとって寂しい傾向だったといえます。

そんなアーケードゲーム移植の受け皿(というと言い過ぎですが)なるべく発売されたゲーム機がPCエンジンでして、当時アーケードゲームで大人気だった『R-TYPE』を目玉に据え、『スペースハリアー』『ドラゴンスピリット』『源平討魔伝』など、X68000への移植を横目で羨んでいた数々の名作タイトルが次々と移植されました。特に『源平討魔伝』はまさかの3重スクロールやボイスが再現されており、当時X68000を所有していなかった私のコンプレックスを吹き飛ばしてくれたものです。

PCエンジンは後に家庭用ゲーム機として初のCD-ROMドライブを発売。それにつれてCD-ROMの生音声、大容量を活かすべく、ラインナップの主軸がアーケード移植からビジュアルデモを強化したアドベンチャーゲーム、シミュレーションゲームに移っていくのですが、アーケードゲーム移植華やかりし頃のHuカード時代もたいへん思い出深かったですね。

これはまったくの余談なのですが、X1ノンターボ最終機種において「これがX1誕生5年目の解答です。」というキャッチコピーとともに発売されたX1twin(HEシステム……要はPCエンジンとの合体マシン)を見ておもいきりずっこけた思い出があります。さすがにこれはないでしょう(涙)。

X68000からの移植が嬉しい!メガドライブ

PCエンジンから遅れること1年、1988年にセガから発売された家庭用ゲーム機がメガドライブです。

もともとアーケードゲームメーカーであるセガが本腰を入れて開発しただけあって、CPUに同社アーケードゲームでの搭載実績のある68000とZ80を搭載、FM音源とPCM音源を標準搭載するという、アーケードゲーマーにとっては待望の構成でした。

発売初期こそラインナップの弱さが指摘され、『スペースハリアーⅡ』『おそ松くん はちゃめちゃ劇場』などの微妙なタイトルで糊口をしのいでおりましたが、ソフトが充実してくるに連れて嬉しい悲鳴を上げたものです。

特にセガからは『ゴールデンアックス』『スーパーモナコGP』『ゲイングランド』など自社の人気アーケードゲームが次々と移植。また、比較的ハード構成が近いカプコンの『大魔界村』『フォゴットンワールド』『ストライダー飛竜』といったCPシステムタイトルが発売されるなど、これらだけで十分元を取った気分でした。

さらに、68000が搭載されていることからX68000からの移植にも恵まれ、『サンダーフォースⅡMD』『グラナダ』など随分遊び倒しました。個人的には『サンダーフォースⅡ』はX68000版よりもメガドライブ版のほうが視覚演出は劣るものの、ゲームバランス面で出来がよいと感じています。

ナムコやコナミ、タイトーなどのセガ以外のアーケードメーカー系サードパーティーは一部の名作を除いてなぜかアーケード移植には積極的ではなく、オリジナルタイトルを投入する傾向がありました。私自身はPCエンジンもメガドライブも両方持っていたので、ラインナップに特段不満はなかったのですが、機種ごとに住み分けを図っていたのでしょうか?

 

かように自作のゲーム制作はX1で、アーケード移植ゲームはPCエンジンおよびメガドライブで遊ぶという布陣で、X68000がなくとも充実したゲーム&パソコンライフを過ごしていました。しかし、とある1点だけ、X68000に遠く及ばないコンプレックスを抱えていまして、次回ではその点について触れたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。