第8回:ゲーセン巡ってゲーム三昧

前回で「X68000に憧れつつ」と、X1がさも代用品かのように誤解される可能性があったためにちょっとフォロー。確かにX68000の与えた衝撃は大きいものだったのは確かですが、そこで即座にホビーパソコン市場が16ビットに移行したかというとそうでもなかったのが実情でした。
X68000が発表された1986年にはまだ『イース』も『シルフィード』も『ジーザス』もなく、むしろこれから8ピットホビーパソコンの円熟期を迎える勢いのある時代だったのです。むしろX68000の存在のほうがオーパーツばりに突出していたわけで、本格的に普及に至るまでにはまだしばらく時間を要したのでした。

ゲーセン巡ってゲーム三昧

そんなX68000の話題に湧いていた当時の私は中学3年生でして、しかも秋ともなればちょうど高校受験も間近の時期でした。それまでは毎日のようにさまざまな友達の家を渡り歩いてはゲーム&パソコン三昧だった私ですが、肝心の友達もみな臨戦態勢となってしまい、途端に私を取り巻くゲーム環境が激減してしまいます。そこで、足繁く通うようになったのがゲームセンターと第1回で登場した我孫子駅前のダイエーでした。

ローカルな話題で恐縮ですが、私が当時よく利用していたゲーセンとして挙げられるのは以下の店舗でした。知らない人にはわけがわからないと思いますが、当時の空気を伝える意味で書き記しておきたいと思います。

石井商店(我孫子)

本業は木造の民家を改装した駄菓子屋なのですが、外からはそれらしい看板が出ていないため秘密の隠れ家的な駄菓子屋ゲーセンです。自宅の近所だったため、一番利用した店でした。もとが民家兼店舗だったので、道路に面した土間だけでなく、畳敷きの座敷二間にもゲーム機が置かれていました。土間には小型アップライト、座敷にはテーブル筐体が置かれており、『沙羅曼蛇』『バブルボブル』『源平討魔伝』など、割と当時の最新タイトルを積極的に導入していました。随分前に閉店したと聞いてはいたのですが、詳細な場所がうろ覚え。確かこの辺だったんだけど……。

オモチャのさいとう(柏)

柏駅東口近くにあるおもちゃ屋さんですが、小型アップライト筐体が所狭しと置かれて、子供の体格じゃないと遊ぶにはちとキツイ(中学生当時でも窮屈でした)。『グラディウス』『ファンタジーゾーン』といったメジャーどころのほか、『インディ・ジョーンズ』『ブレイウッド』などの渋いラインナップも印象的でした。

イトーヨーカドー(柏)

大規模スーパーやデパートの最上階によく見られた、いわゆるショッピングセンター系ゲーセンです。ちょっと古めの純正アップライト筐体が多く、『スペースインベーダー』『サスケvsコマンダ』『ムーンパトロール』がある一方、『スペースハリアー』のシットダウンタイプが設置されていたのを覚えています。また、4階におもちゃ売り場があり、ここでファミコンのゲームも随分遊び倒したものです。

ハイテクセガ(柏)

柏駅東口前、丸井の地下にテナントで入っていたセガの直営店。直営だけに、『ハングオン』『アウトラン』などセガの最新タイトルがガンガン導入されていたのが何より強みでした。ただ、通常100円、大型筐体200円という設定なため、めったに遊ぶことはありませんでしたが。一時期はマルチカ(丸井の地下)はほぼゲーセンだった時期もあったのですが、今はほぼ撤退して、2店舗が営業しているのみだそうです。

おもちゃのたけや(天王台)

オモチャのさいとうと同じ、おもちゃ屋ゲーセンです。向かいに当時通っていた学習塾があったため、塾帰りによく行っていました。小型アップライト筐体で『ソンソン』『スターフォース』などを遊んでいたような……。ストリートビューで見たらまだあったのに驚きです。

我孫子在住だったにもかかわらず、近隣駅が多いのは学校の補導を避けるため(当時は校則でゲームセンターへの出入りが禁止されていた)でして、電車代すら惜しんで自転車で15~20分かけて通っていました。

おもちゃ売り場でファミコン三昧

X1を買って貰って以来、足が遠のいていた我孫子のダイエー(第1回)ですが、受験シーズンでゲームに飢えていたため、再び通い詰めることとなります。

ただし、この頃にはマイコンブームが去ってパソコン売り場は大きく縮小されており、替わって台頭していたファミコンが目当てでした。ちょっとしたおもちゃ売り場なら大抵、複数台の試遊台が置かれており、自由にゲームを遊ぶことができたのです。

こういったファミコンを試遊させていたのは大抵がデパートやスーパーのおもちゃ売り場で、専業のおもちゃ屋ではやっていませんでした。むしろ、前出のようにアーケード筐体を置いて商売にしているおもちゃ屋が多かった気がします。

受験願書を取りに行くためにちょっと遠出をしたら、その土地のデパートのおもちゃ売り場を探すほど、今思い返してみても当時の私のゲームジャンキーぶりは病的でしたね。

そんな勉強漬けだったのかゲーム漬けだったのかわからない受験シーズンをなんとか乗り越え、新生活とともに私とX1の付き合い方にも節目を迎えることとなります。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。