第13回:高校時代に作った自作ゲーム(ベーマガ移植編①)

高校時代に作ったゲームプログラムは未完成も含めると軽く数十タイトルに及びまして、平均すると3年間のうち1~2週間に1本は作っていた勘定でした。実際には試験期間、学校行事、家族行事などがありますからそれよりも数段ハイペースだったことになります。

私のゲームの作り方は3通りありまして、概ね以下のパターンに分類できます。

  1. マイコンBASICマガジンの掲載プログラムの移植
  2. そのときにハマっていたアーケードゲームの勝手移植
  3. とりあえず思いつきのワンアイデアを形にしてみる

中でも一番多かったのは①の「マイコンBASICマガジンの掲載プログラムの移植」です。何故か、対応機種であるX1の掲載プログラムを打ち込むということは一切せず、他機種のプログラムばかり移植していました。わずか毎月380円で60~70本のプログラムが載っているわけですから、貧乏な高校生の娯楽としては滅茶苦茶コストパフォーマンスが良かったんですね。

当然、各移植元のマニュアルを持っているわけではありませんから、リストの流れで動作を推測したりしながら移植ということも多く、ものによってはタイトルとゲームのルールだけ引っ張ってきて中身は全部オリジナルというケースも多々ありました。なので、オリジナルとの挙動はもちろん、ゲーム性すら変わっている可能性は十分にあります。

特に自分で遊ぶためであれば投稿プログラムのように短くて見やすいプログラムである必要は全くないわけで、グラフィックや画面演出に懲りまくったものばかり作っていた気がします。その結果、いずれも一切雑誌に投稿する機会にも恵まれず、ほとんど他人の目に触れないまま30年もの間、眠り続けておりました。

ここでは、そんなベーマガ掲載プログラムの移植版を初公開します。オリジナルの作者の方には申し訳ないほどに別物になってしまったものもありますが、この場を借りて30年以上前の所業に対する懺悔をすると共に、感謝の気持ちを表したいと思います。

TYNY MAPY

元は1987年9月号に掲載されたPC-8001/mkⅡ用プログラムです。
オリジナルの『マッピー』は敵から逃げながらアイテムを回収するというアクションゲームでしたが、本作では「トランポリンは1回使った時点で破れてしまう」という特性を活かしたパズルゲームとなっています。落下中にも左右移動ができるので、これを上手く使わないと全回収はできないのがポイントですね。
キャラクターを全部PCGで書き換えたのと、効果音などを追加したのがX1移植に当たっての変更点。表示周りにバグがあって床や壁が消えまくっていますが、バグ取りをしないまま開発終了にしてしまいました。

銭形の親分

元の掲載誌が見つからず、オリジナルの機種や掲載号がわからないタイトルです。
プレイヤーは青い「平次」と緑の「八(上下左右反転した動きをする)」を同時に操作して、制限時間内に忍者(何故?)を捕らえるというアクションゲームです。平次が投げ銭で忍者の動きを止めて、八が捕らえるのですが、忍者は撒菱(まきびし)で逃れようとします(平次が触れるとミス、八は消すことができる)。
この手の固定画面のパソコン向けアクションゲームにありがちなのですが、ルールが複雑すぎて、実際に作ってみたらそれほど面白くならなかったといった印象でした。

タコじゃなイカ

元は1989年1月号に掲載されたPC-8001mkⅡ用プログラムです。
タコを操作して、イカに捕まらないように逃げながら画面内の看板を全部墨で塗りつぶすというアクションゲームです。タコはその場方向転換ができない上、一定時間が経つと看板の墨が落ちてしまうので、効率よくパターンを作らないとクリアができなくなっています。
タイトルとゲームのルール以外は全部一から作っており、見た目もオリジナルとは似ても似つかないものになってしまいました。
本作を作るに当たって自分に設けたテーマは「迷路に詰まることなく確実にプレイヤーを追いかける敵アルゴリズム」でして、その甲斐あってか、イカの移動速度を遅くしないととても勝ち目がないほどに利口なものが出来上がりました。その分、ゲーム全体の速度は遅くなってしまい、いま一つ遊んで楽しくないゲームになってしまった点が反省点です。
ちなみに、何故かこのゲーム「だけ」X68000にも移植しています(笑)。

迷宮要塞塔

元は1988年10月号に掲載されたPC-8801mkⅡSR用プログラムです。
画面上の石で敵を全て潰せば面クリアという内容ですが、石は押すことはできても引っ張ることはできないため、壁にくっつけてしまうと回避手段がなく「詰み」になるという『倉庫番』ルール。そのため、トリガーボタンに自殺(ギブアップ)ボタンが設けられています。
これもゲームのタイトルとルール以外は全部一から作っており、そもそもオリジナルのプログラムリストすら見ていません(笑)。コンセプトは「80行モードでドットが緻密なゲームが作りたかった」でして、ドット打ちだけは妙にリキの入ったザクやアッグガイぽいものが動き回るというよくわからない世界観になっています。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。