第10回:フロッピーディスクがもたらしたもの

私の愛機が初代X1からX1Gに替わったことにより、後のプログラム開発に対する効率が一気にアップしました。高校時代のエピソードに入る前に、X1とX1Gの性能の違いがどこにあったのか、ハードウェア面の変化についてまずは触れておきたいと思います。

少々専門的な話になるのでつまらないかもしれませんが、今しばらくお付き合いください。

iPhoneの新モデルを買う気分でX1を買い替え

初代X1からX1Gへの機能的な変更点は以下のとおりです。

  1. フロッピーディスクドライブが2基内蔵されている(X1Gモデル30のみ)
  2. 第1水準漢字ROMが内蔵されている
  3. 拡張I/Oポート(2スロット)が内蔵されている
  4. グラフィックVRAMが内蔵されている
  5. ジョイカード(ゲーム用コントローラー)が1個付属している
  6. マルチビジュアル端子が搭載されている

⑥番は俗にいうビデオ(コンポジット)端子。家庭用テレビやビデオに映像出力ができる機能でして、「あれば嬉しい」程度で「必須」というほどの機能ではありません。また、1~5番はいずれも初代X1でも周辺機器として購入すれば同等になるわけで、実は「X1」という基本設計自体は初代から(X1turboやZを除いて)まったく変わっていません。

これは当時「X1の5カ年計画」と呼ばれ、どんなに古いモデルでも周辺機器さえ追加購入すれば最新モデルと同様になるという、既存ユーザーへ配慮した設計思想によるものでした。

そのため、あえて新機種を買うことなく、それまでの初代X1を機能アップするという選択肢もあったのですが、初代X1をX1Gと同等の機能に引き上げるために必要な周辺機器を全部購入するすると、ざっと20万円におよびます(フロッピーディスクドライブだけで99800円!)。それならば、ディスプレイテレビ込みのセットで新品が14万円前後で買えてしまうX1Gを選んだほうが格段に安上がりだったのです。そもそも現行機を下取りに出せばその売却額分、さらに安く手に入ったため、なおさらでした。

……と、ここまでが表向きの理由でして、強く惹かれた一番大きな理由はスタイリッシュな本体デザインにあります。

第②回でも触れましたが、私が考えるX1の大きな功績として挙げられるのは「家電の感覚を取り入れたパソコン」という点です。それまでのパソコンはあくまで計算機の延長上でして、オフィスで使うものという固定概念からなかなか抜け出せませんでした。東芝、日立、富士通といった家電も扱っているメーカーは多数ありながら「パソコンとはこういうもの」という計算機、事務機器的発想で作っており、長らく本当の意味で家庭で使うことを想定した製品を作ってこなかったのです。

X1Gは縦横どちらにも置くこともでき、しかも高さは専用ディスプレイテレビと同じ、横幅はステレオミニコンポと同じという、家の中で置くことを強く意識したサイズでした。カタログ写真にも家庭での利用シーンが多用されており、この洗練された感覚はX1ならではのものといえるでしょう。現代で例えるなら「iPhone新モデルのデザインがカッコイイから新しいものに買い替えたい!」といった感覚に通じるものがありますね。

フロッピーディスクがもたらしたもの

買い替えの直接の動機になったのは「フロッピーディスクが使いたい」なのですが、同じ性能のパソコンで、記録媒体がカセットテープからフロッピーディスクに替わることが、どれだけの変化に繋がるのかについて少々語りたいと思います。

カセットテープは巻き取られた帯状のテープに一直線に記録するため、複数のデータが入っていた場合、途中の特定のデータだけ書き換えや削除、移動することが原則としてできません。また、テープの後ろにあるデータは、その位置まで早送りしなければならないので、読み込みまでに時間がかかる欠点があります(読み込み時間そのものではなく、読み込みを始めるまでに時間がかかる)。

一方、フロッピーディスクは円盤のどの位置に「何が書き込まれているか」という管理情報が入っているため、すぐに目当てのデータを読み出したり、書き換えることが可能なのです。

ちなみに、現在のパソコンではごく当たり前に内蔵されているハードディスクも原理はまったく同じでして、今日の皆様がファイルが書き込まれている位置や順番を意識せずに自在に読み書きができる恩恵は、このディスクアクセスの仕組み(ランダムアクセスという)によるものです。

このあたりは、テープメディアとディスクメディアの違いという意味で「音楽のカセットテープとCD」「ビデオテープとDVD」の関係に通じるところがありますので、感覚的にそちらのほうがわかりやすいかもしれませんね。

カセットテープを使用していた頃は、自作のプログラムや開発中のデータを複数のカセットテープに入れて管理していたのですが、フロッピーディスクでは多数のファイルを1枚のディスクで取り扱える(しかも大容量!)ようになったため、整理や開発の効率が一気に向上することになったのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年愛媛県松山市生まれ。アーケード、家庭用、PCはもとより美少女ゲームまで何でも遊ぶ、ストライクゾーンの広い古参ゲーマー。ただし、下手の横好きがたたり、実力でクリアできたゲームの数は決して多くないのが弱点。