第4回:『シックスブックウッドをぶち殺せ』の巻

ぴゅう太に限らずですが

皆様、ぴゅう太をお買い上げなされていない場合は即買って楽しく愉快に健やかに遊んでくださいましね。今回はぴゅう太買えやソフト第四弾「シックスブックウッドをぶち殺せ」について作文させて頂きたく存じます。何卒、宜しくお願い申し上げます。

ぴゅう太とシューティングゲーム

ぴゅう太のカートリッジゲームソフトは国内26種に海外版のみ発売の1種、合計27種ございます。そのうち、かつてはアーケードゲームの花形であったシューティングゲームは、あくまで自分の種別分けにおいて8種ございます(「ドンパン」や「ミステリーゴールド」のように、敵を撃つ行為の前に遊び手が別のアクションを楽しむものは除外しています)。

「スクランブル」は横スクロール型、「トリプルオマン」もとい「トリプルコマンド」は全方位スクロール型、「マリンアドベンチャー」、「プーヤン」、「バミューダトライアングル」は固定画面型、「ミッションアタック」、「トロン」、「バトルファイター」は3D画面型。3D画面型シューティングが3種もあることについては、当時に限らず今もコンピュータゲームのどこかに脈々と流れている3D画面への憧れと挑戦、そしてトミーがかつて注力しているようにみえた3D画面型コンピュータゲームへのこだわりが垣間みえるようで興味深いところであります。

固定画面型スペースシューティングゲーム

さて、固定画面型のシューティングゲームも3種ございます。うち「マリンアドベンチャー」と「バミューダトライアングル」は海洋を舞台とし、自機キャラクターが画面内を上下左右自由に動けます。そして「プーヤン」はとんかつが舞台です。

アーケードゲームにおいて、シューティングゲームは花形であると先述致しました。それはいわゆるスペースシューティングゲーム、この広い大宇宙を舞台とし、弾を打ち合う攻防を題材としたものがほとんどでありました。さらに申し上げれば「スペースインベーダー」や「ギャラクシアン」といった素晴らしいゲームの流れを汲む、固定画面型が大変目立っておりました。

その当時のコンシューママッシーンにおいても、どんなに対応ソフトの少ないマッシーンであっても、それら固定画面型スペースシューティングゲームの移植もしくは類似作品は大抵1本は必ず用意されておりました。それほどの花形でありました。いや、きっと今でも、固定画面型のスペースシューティングゲームは花形を担う力を秘めているはずです。

とんかつ

ところがぴゅう太においては。実に不思議なことですが、この固定画面型スペースシューティングゲームが1本も用意されていないのです。唯一、それに近しいものが「スペースインベーダー」の横型亜種とも言えなくもないであろう「プーヤン」ではありますが、しかしスペースシューティングゲームに感じるあのロマン、まさしく男のロマン、鉄郎・・・私はあなたの青春の幻影・・・的ロマンは皆無です。その代わりに「プーヤン」にはキャラクタや舞台設定の愛くるしさや、肉汁たっぷりジューシィな旨みのとんかつの素晴らしい香りが詰め込まれております。

漆黒の空間に描かれる弧の美しさ

固定画面型スペースシューティングゲームは美しく弧を描いたりするような敵キャラクタの動きが楽しさの肝となるわけですが、キャラクタ動作用のテーブルを読み込みながら動かすという辺りがぴゅう太というマッシーンとの相性が宜しくないのかもしれません。考えてみれば、先に挙げた8種のカートリッジソフトにおいても細かな工夫はなされていますが、敵キャラクタの動きはそのほとんどが直線、もしくはランダムです。あるいはぴゅう太の底力任せに、敵キャラクタの動きの弱さを無茶苦茶なゲーム展開速度で遊び手を翻弄することによって補うというものもございます。優しさの裏側に潜むその力業もぴゅう太の魅力のひとつではありますが。

素晴らしき先達作品

日本語G-BASICにおいて、固定画面型スペースシューティングゲームの真似事ができないかしら、と考えたのが「シックスブックウッドをぶち殺せ」作成のきっかけです。ぴゅう太用テープソフト「UFOアタック」や「マイコンBASICマガジン」投稿プログラムにおいて、素晴らしき先達作品はございますが、しかしやはりそれらはどこかぴゅう太らしい変化球だと自分は感じておりました。

心の染み

敵キャラクタに弧を描かせるような処理を日本語G-BASICにて行うにはかなり無理があります。そこでまずは「スペースインベーダー」を参考とすることにしました。この辺で自分の心に染みが浮き出てきました。すなわちシックブックウッドに対する敵愾心です。

画面作りもした、さてプログラミングだ。なんか自機の移動とミサイル発射で思いのほか処理が多くなったな。あ、これで当たり判定ルーチン入れたら、敵動かす処理が入りきらない。動かないどころか敵がミサイルすら撃てない。敵が動かないなんて本末転倒な感じがしなくもないけれど、まあいいや、敵はシックブックウッドってことにすればてめえの価値観で動けねえやつらだ、ちょうどいいじゃねえか。万事解決。

徐々に変化球へ、そしてパズルへ

万事解決もくそもないような気もしますが、ともかく敵が動かない状態でゲームとして成立させられるかを考えました。敵キャラクタにミサイルを撃たせることすら断念したわけですが、そうすると既にG-GRAPHICで描いた敵ミサイルのグラフィックが余ることになります。そこでそのミサイルも自機に、つまり遊び手に撃ってもらおうと思いました。

タイマー制にして、遊び手に性質の違う2種類のミサイルを撃ち分けてもらう。敵キャラクタを貫通して素早く敵を全滅させられるものの得点が低いミサイルと貫通はしないけれど得点が高いミサイル。また画面上の敵キャラクタを全て撃ち殺せば面クリアで、クリア時の残りタイムによってクリアボーナス得点を変化させ、どのタイミングで貫通ミサイルを使うかなどを考えつつ、全5面中でどれだけ点数を上げられるかを競います。高得点への最適解を探し出す、シューティングというよりもパズルゲームとなってしまいました。

男はこの広い大宇宙にロマンを求める

直球の固定画面型スペースシューティングゲームを作ろうと思ったにも関わらず、変化球どころかまるっきり見当違いの方向のゲームとなってしまいました。しかしあきらめたわけではありません。あくまで日本語G-BASICにて、宇宙空間に弧を描くキャラクタを撃ち落すロマンあるゲームを、いつか実現したいと思っております。今回も手前の作文にてお目汚し頂き、深く感謝申し上げます。ありがとうございます。次回もまたお読み頂ければ幸いに存じます。失礼致します。

 

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