第1回:『ザナぴゅう』の巻

ぴゅう太買えや

自己紹介と今回の作文の目的

ぴゅう太のタイトル画像

ぴゅう太

はじめまして。自分は大杉ぴゅう太と偽名を騙るケチな三下奴でございます、何卒宜しくお願い申し上げます。ぴゅう太とは葛飾区が世界に誇る玩具会社トミー様より発売されました、子どもたちへの優しさに満ち溢れたホビーパソコンでございます。皆様ご周知のとおりぴゅう太には、シンプルで機能が非常に限定的ではありますが日本語G-BASICという入門向けプログラミング言語が搭載されております。此度におきましては前田さんのサイトをお借り致しまして、恥ずかしながら私めが作成致しました日本語G-BASIC用のソフトウェアについて幾度か作文させて頂きたく存じます。お付き合い願えれば幸いです。初回は日本語G-BASICとG-GRAPHIC、そして拙作でありますぴゅう太買えやソフト第一弾と相成りました『ザナぴゅう』について作文させて頂きます。

日本語G-BASICの本領

日本語G-BASICはそれ単体にてもぴゅう太で扱えますが、本領を発揮するのは同じくぴゅう太に搭載されておりますグラフィックツール、G-GRAPHICとの連携においてです。G-GRAPHICではいわゆるBG面256×192ドット、アニメと名付けられたスプライト16×16ドット(これは倍角表示なされているとのことです。ツイッターにてお話を賜りました)4枚を扱います。BG面は8×8ドットのセルと呼ばれる升目に分割されて横32縦24にて構成されています。また横8ドット内に16色中2色の色を割り当てることが可能となっています。

ラインエディタ

ラインエディタ

日本語G-BASICの機能は限定的だと書きました。配列変数とREAD及びDATA文に該当するものがない、マルチステートメントが使えない、状況により85~100ステップにてメモリ上限となる、などなど。特にこのメモリの上限は辛く、ぴゅう太買えやソフトはタイトル画面ばかりかゲームオーバー後の処理さえ入れられないものがほとんどで、コマンド画面から再度ジッコウ(他のBASICでいうところのRUN)せねばなりません。他にもスクリーンエディタではなくラインエディタ、それもG-GRAPHICとの連携時には表示が2行までとなるなど実に様々な制約や、恐らくはバグや実装を途中であきらめたであろうと思われる挙動などもみえますが。しかしその代わりに、アニメ制御用の命令や7つ同時に扱えるタイマーといった便利な機能が備えられています。

ジッコウ

ジッコウ

日本語G-BASICの悲哀

さて、これら日本語G-BASICとG-GRAPHICを駆使してプログラミングを致しますと。ぴゅう太ではその後に、ひとつ大きな障壁がございました。それは「プログラムの確実な保存と読み出し」です。トミーより推奨されていたナショナル製のデータレコーダをもってしても、その成功確率は自分の体感で1割から2割。実際にぴゅう太でプログラミングを行っておられた方々にとって、カクニン(他のBASICでいうところのVERIFY)とロード時のブッという音と「フォーマットミス」の表示はげんなりされるほど目にされたことと思います。いや、「フォーマットミス」が表示されるならばまだ救いがある。カクニンにしてもロードにしても、画面真っ暗のいきっぱなんてこともざらでございました。

ぴゅう太とマニュアル

ぴゅう太とマニュアル

そして自分にとって日本語G-BASICプログラミングにおける障壁がもうひとつございました。それは「セル同士の当たり判定の謎」です。G-GRAPHICにて作成されたBG面を日本語G-BASICではセルという単位に切り分け、そのひとつひとつに番号が振られます。セル番号を指定してその内容を変数に代入し条件判定することができるのですが、その変数同士もしくは比較元のセル番号の内容の一致不一致が正しく判定される場合とされない場合があったのです。

皆様へのお礼

ぴゅう太生活35年における2点の障壁、「プログラムの確実な保存と読み出し」「セル同士の当たり判定の謎」、これらを乗り越えられたことがぴゅう太買えやソフト作成の大きなきっかけでございます。これらを乗り越えられたお話につきましては、次回以降に作文させて頂きたく存じますが、なによりもまず先に。2000年頃にぴゅう太に適したデータレコーダを一緒に探してくださった優しくそしてコンピュータゲームを深く愛しておられた方々と、地道で懸命なる努力を重ねて遂にぴゅう太での保存読み出し成功率がほぼ100%のデータレコーダを発見なされたpoipoiさんと、マイコンBASICマガジンに掲載されておられたセル内容比較を駆使されたプログラムをお作りなられたEXCEEDさんと、この作文を披露しお礼を申し上げる場を与えてくださった前田さんに、深く感謝と畏敬の念を捧げたく存じます。ありがとうございます。

『ザナぴゅう』について

ザナぴゅう1

ザナぴゅう1

『ザナぴゅう』はMSX版の素晴らしき『ザナドゥ』ありきでございます。あの素晴らしく美しい背景のグラフィック画面を、たった1色で描かれているにも関わらずまぶしく光り輝くおばけたちのグラフィックを、「ぴゅう太とMSXのVDPは同じなんだよ」というある方のツイッターでの一言により、もしかしたら自分なんぞでもあの素晴らしきグラフィックのほんの片鱗でもぴゅう太にて再現できるのではないかと、思い立ったのです。

ザナぴゅう2

ザナぴゅう2

背景画面を描いていて、こういう見せ方や描き方があったのかと心の底から驚きました。少しでも見た目が似るように、それっぽくなるようにと細かな部分を少しずつ調整して「なんとか出来上がったかな」と思えたとき。「ああ、この画面で。ザナドゥは無理だけど、なにかを動かしたい、ぜひ動かしたい」と考えました。しかし主人公は背景と共に、つまりBG画面に描かれており、背景を保ちつつこれを動かすのは日本語G-BASICにおける自分の技量では厳しい。では別のなにかを動かそうと、ゲーム内容と共に模索し始めました。

息子の友人に視られて……興奮する人妻

『ザナドゥ』というゲームの画面上で動くもの。ボスのデカキャラは無理。というか、あれ背景が切り替わる。この背景画面で動くもの。あ、あった、スペクタクルズの光だ。あの光をアニメで描けば背景とは干渉しない。それを動かすゲームにしてみよう。1枚で光を描くと3枚のアニメが残る。それでおばけを描けばいい。おばけが1匹じゃかわいそうだな。1枚で1匹ずつで3匹。でもアニメを4つ同時に動かすの、日本語G-BASICで管理しきれるかしら。もうちょっと簡単で、かつ動いたと分かるようにしたい。疲れたからちょっとAVみよう。友人の母親の風呂をのぞいて、それに気付いた友人の母親が興奮していろんなことし始めるAV、いいよなあこういうシチュエーション、あ、これだ。『ザナドゥ』にはなぜか目玉のおばけがいっぱいいる。そこから3匹選ぶ。モノドロン、ビホルダー、アスコモイドにしよう。主人公を視られると興奮する被視姦フェチにして、おばけに視られて興奮している間に点数があがっていく。目玉のおばけたちだから黒目部分だけ動きをつければいい。スペクタクルズの光を操作しておばけたちの気を惹いて、主人公にその視線を向かせる。おばけは身体をアニメで、黒目だけセルで描いて重ねれば、色も動きも問題解決できる。でもこれそのまま名前とか使ったら怒られちゃうかしら。あ、そうだ。題名は『ザナぴゅう』にするからいいとして、主人公は男で男好きな人にしよう。おばけたちの名前もホモドロン、ウホルダー、アソコモイダにすればなんかそれっぽいような。ついでにスペクタクルズもスペルマクルズにしよう。う、イク、クルクル、ドピュって感じ。

ザナぴゅうの黒目

ザナぴゅうの黒目

ゲームの骨子が決まり、FOODをタイマー代わりにして操作によってFOODの減り具合を遅らせたりとゲームルールを練りました。完成後にテストで何度も遊んで、理論的に獲得できる最高点数はこのくらい、何も考えずに遊ぶとこのくらいの点数、ルールを理解して練習していくとこのくらいの点数、と追い込みをかけました。できればもう少しだけおばけの位置を練りたかったことと、今思えば無駄のあるプログラムだったので、そこを改善すればもうひとつ小さなギミックをいれられたかもしれないなということが、心残りでございます。しかし何より、MSX版『ザナドゥ』の画面を参考にさせて頂いたことによる視覚的なアッピールのおかげをもちまして、レトロエクスプレスやMI68、ゲームレジェンドといったゲームのお祭りに持っていかせて頂いた際、『ザナぴゅう』を繰り返し遊んでくださる方が何名もおられたことが、「面白い」と言ってくださったことが、本当に嬉しかったです。

再び皆様へのお礼

遊んでくださった方々に、やはりこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございます。次回以降も拙作につきまして、作文申し上げます。お読み願えれば幸いです。失礼致します。

 

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