とんがりギャルゲー紀行 第132回:SUPER将棋3 棋太平

 さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。今回は世にも珍しい、将棋のギャルゲーです。
 本当を言うと、新学期シーズンになったら「春だ! 新学期だ! 女装潜入だ!」とばかりに女装潜入もの特集をやろうと思っていたのですが、あれは4月からの入学ではなく転校して潜入するものが多いのでやめにしました。しかしまあ、デスクのメモに「女装潜入の準備」なんて書き残すやつは私くらいのものでしょうね。なんの気なしに書いて、翌日見てぎょっとしました。

 それはともかく、今回ご紹介するのはスーパーファミコンのタイトル。

スーパー将棋3 棋太平

 一見すると普通の将棋ゲームですが、弟子の女の子を一年間育てる「棋士の星」モードがいわゆる育成恋愛シミュレーション的な内容となっています。棋士の星とは作中世界にある称号で、10年に1度得選ばれる将棋界最高の名誉なんだとか。

 プロローグでは押しかけ弟子がやってきて、1年後に棋士の星を獲るため、どうしてもここで学びたいと頼み込んできます。
 とんがり道場(名称変更可能)の主である筆者はしかし、将棋のルールすらおぼろげな上に、「ダイイングメッセージに使われるやつ」などと偏ったイメージを持つ将棋ダメダメ人間。こんなやつのところに弟子入りなどするべきではないとは思いますが、押しかけ弟子は押しかけてくるだけあって押しが強く、選択肢も無限ループでちっとも帰ってくれないのでやむなく受け入れることにしました。

 美少女と何かしらテーブルゲームをするタイトルって、そのテーブルゲームをまともにプレイできるかっていうハードルが存在していますよね。
 「棋士の星」は将棋をまったく指さずにクリアすることも可能ですが、棋譜を売ってのお金稼ぎ弟子との対局をする場合は必要なので、足りない棋力は将棋のフリーソフトで補いました。ありがとうK‐Shogi。

 さて、押し問答を経て押しかけ弟子になったもりそば(仮称)ですが、この子、修行2日目に高確率でサボるんですよね。

 普通のサボりはロードすると回避できるのに、2日目だけは頑ななんです。一度、2日目のサボリを防いだことがあるような気がするのですが、どうやったのかまったく思い出せません。

 おまけに、「熱意」という項目が初期ステータスよりある程度下がると発言にやる気がなくなり、もうあきちゃったなあなどと言い出します。修行2日目をバックれて3日目でもう飽きたなんて、師匠はびっくりですよ。なんのつもりで押しかけて来たのでしょう。

 しかしながら、育成シミュレーションゲームの育成対象は、プレイヤーの協力なくして夢も追えない要介護者。こっちが諦めたら対象の夢はそこで終わってしまうのです。なんなんだこの女、と何度かリアルに思いましたし口走りもしましたが、放っておけなかったので仕方なく育てることにしました。なんだかツンデレみたいな心持ち。

 押しかけ弟子の育成の流れをざっくり言うと、どの曜日に何時間修行するかを決め、修行当日にコマンドをまとめて入力する形式。修学旅行やテスト期間、正月などで強制的に休みになる日や、将棋の大会などのイベントも時々発生します。

 修行日は毎回予定を組まなくてはならないので、クリアにはかなりの時間と根気が必要となります。

 修行日は、修行以外を選んでも時間消費をすることはありません。
 修行以外のコマンドは、弟子とコミュニケーションをとる「会話」、弟子のステータスを見る「状態」、指導の厳しさを設定する「方針」、どの定跡のレベルを上げるか設定する「定跡」、アイテムを購入できる「買物」、アイテムを弟子に与える「アイテム」、弟子と対局する「対局」、セーブ/ロードする「記録」があります。

 育成シミュレーションで買い物に時間を取られないのは珍しいですね。お店は複数あって、どこを何度めぐってもOK。

 「対局」は、その時点での弟子の強さが反映されている……と、思います。将棋のフリーソフトに表示される有利/不利のグラフを見るに、初期の弟子にはまったく苦戦していなかったのが後々変化したように思うので。

 弟子との会話で師匠と対局したい的なことを言われたりするのですが、実際のところ、対局が攻略に必要な要素なのか、単におまけに過ぎないのかは分かりません。

 ステータスが低いほど修行時に伸びやすい傾向にあるようで、全体的に育ってくると苦戦します。例えば棋力がものすごーく高い場合、棋力を伸ばす修行をしても下がることがあるんですよね。おまけに修行内容も研究やら日本舞踊やらと多岐にわたるので、どの修行でなにが上がるかの説明は省略しちゃいます。

 修行休みの日でも、師匠には仕事があります。「執筆活動」は、将棋に関する本を書く仕事です。完成させると毎月少額の原稿料をもらえるほか、完成した本を弟子に読ませることができます(修行の「読書」コマンドでできる)。

 手っ取り早くお金が欲しいなら、「棋譜を売る」がいいでしょう。これはコンピュータと対局して棋譜を買い取ってもらうコマンドで、コンピュータの強さや対局内容によって棋譜の価格が変動します。一番強い相手で5~6千円くらいもらえたはず。

 「将棋研究」は将棋関係のクイズに挑戦したり、解説が見られるコマンド。クイズに連続正解し続けるともらえる「クイズ王メダル」は、弟子に与えると全ステータスが10ずつ上がるアイテムなので、たぶんお得です。

 弟子の予定が空いている場合、ステータスがある程度育ってきたら「マスコミ活動」でサイン会や雑誌のインタビューなどを引き受けることができます。

 「電話する」は弟子をデートに誘うためのコマンドです。会話に変化はさほどなく、おまけにステータスが下がるのはちょっと厄介ですね。弟子に手を出そうとしてはいけないということか。

 ひたすらお金を稼いで色々貢ぐのがいいのかなとも思いましたが、このジャンルのゲームはデート回数がエンディングに影響するケースもたびたびあるのでかなり迷いました。ステータス育成以外の項目が多いと戸惑いますね。

 ちなみに結果としては、弟子のもりそばは棋士の星を獲れずに終わりました。

 世界大会で優勝できるまでに弟子を育てたのですが、結果としてはダメでした。棋士の星になったのはアナグマ ヤグラ。このエンディングにしか登場しないので、後頭部しか知らない女ですね。

 最初の大会にいかにもライバルっぽく出現して「棋士の星をとるのはこの私。あなたではなくってよ!」などと弟子に堂々宣言した女もいましたが、見知らぬ第三者が棋士の星をかっさらっていったので脅威になったのかなってないのか、いまいちわからない感じ。

 ステータスはカンスト近くまで伸ばしたので、棋士の星取得には他の条件を満たす必要があるのでしょう。もしかすると棋士の星を獲るエンディング自体がないのかもしれませんが。

 このゲーム、棋士の星を獲れた人の報告がまっったく見つからないんですよね。なので、もしかするとどうあがいてもダメなのかも……?

 一応、棋士の星は獲れるものと仮定してステータス以外の条件を考えてみました。

  • 夏秋冬の大会は優勝したのに春はベスト8止まりだったのが悪いのかもしれない。
  • デートの回数が足りないのかもしれない。
  • 弟子のランダム会話で引き出すべき情報があったのかもしれない。
  • もっと執筆作業をして弟子に著作を読ませるべきだったのかもしれない。
  • 冬前くらいに本屋で売られ始めた「将棋大学」の願書がなにか関係あるのかもしれない(買ったけど何も起こらなかった)。
  • マスコミの仕事をもっとやっておくべきだったのかもしれない(隠しステータスに知名度みたいなのがあるかも?)。
  • 弟子ともっと対局するべきだったのかもしれない。
  • 師匠の血液型をO型にしたのが悪かったのかもしれない。

 あれこれ上げましたが、どれもしっくりこないんですよね。

 血液型は流石に関係ないだろうと思われるかもしれませんが、前に他のゲームでそんな感じのことがあったのです。軍学校を舞台とする育成恋愛シミュレーションで、ゲーム開始時に設定する志望配属先を「陸軍」にしていると、とあるヒロインに確定で振られてしまうという悲しい出来事が……。ちなみにセガサターンの『だいすき♥』というゲームの話です。

 それはともかく。思い当たることは多いのにどれもしっくりこないので、再挑戦は一旦諦めます。押しかけ&バックレ弟子のエキセントリックさは大変楽しめたのですが、一度クリアするまでに膨大な時間がかかるので仕方ありません。

 将棋×育成恋愛シミュレーションという珍しさだけでも価値はありますので、やる気と時間があれば挑戦してみて欲しいゲームですね。では、今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

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