先日情報オープンしました『ドリームキャストパーフェクトカタログ』が無事に校了しました。気がつけば今回で『パーフェクトカタログ』シリーズ19冊目(『PCエンジンミニ』のような小規模なものは除く)、比較的メジャーハードといえるドリームキャストが結構遅れての登場となりました。
物理的な作業量という意味では本書よりもきついテーマは過去にあったのですが、ドリームキャストがここまで後回しになった理由はなかなか納得できるものができなかった事に起因します。なにしろ校了日当日になっても本文を書き直していたくらいなので、いかに手間がかかっていたかおぼろげながらでもわかっていただけるかと思います。
ドリームキャストはセガハードにしては珍しく、明確なメッセージ性を持った製品です。新しい遊び方を提案するためにモデムを内蔵することを厭わなかったし、プロバイダの運営や通信インフラの整備まで行いました。ドリームキャストという商品名にもその思いが込められています。
思うにドリームキャストという製品は単なるゲーム機ではなく、その名が指し示す通り、関わった人々の「夢」そのものだったからではないだろうか。これをどう表現すべきか私の中で考えあぐねていたのだと思う。
新規ハードの立ち上げというものは基本的に希望に持ち溢れているものだ。多かれ少なかれ産みの苦しみはついて回るものの、出立のときというのはおおむねポジティブな空気が流れている。しかし、ドリームキャストは立ち上げの時点からいきなり背水の陣であり、社運をかけた最後のハードであった。
勝つためになりふり構わず打てる手はすべて打った。巨額な広告予算も投入した。自前でインターネットインフラまで整備するという、普通ならば尻込みするような当方もない挑戦までやりきった。まるで、この製品のために完全燃焼しているかのような熱さがドリームキャストには私には感じられたのである。そもそも、よほどの覚悟がないと「夢」なんて言葉を自分の商品名につけるだろうか。
(本書まえがきより引用)
いつも「ハードとソフトの両面から」というスタンスでパーフェクトカタログを作ってきましたが、ドリームキャストに限っては「サービス」という側面を新たに追加して、この製品について触れています。そうすることによって当時のセガが目指したドリームキャストの実像に少しでも近づくことができるのではと思って制作しました。
単なるソフトカタログ、ハードカタログではないパーフェクトカタログシリーズの新しい挑戦にご期待ください。