さて、今回もとんがったゲームを紹介していきますよ。今度、バンダイゲーム機パーフェクトカタログが発売されるので、宣伝を兼ねてワンダースワンのギャルゲーをご紹介します。最近更新がなかったのは、パーフェクトカタログの作業が詰まっていたからですね。ごめんなさい。
今回ご紹介するのは、ワンダースワンの企画開発と同じ株式会社コトが開発し、光文社が発売し、光文社が発行する写真週刊誌「ＦＬＡＳＨ」を由来とするタイトルを冠したこのゲーム。
FLASH 恋人クン
恋人に振られたばかりの主人公が、恋愛道場で力をつけて異性に好かれる人間になり、恋人を作ろうと奮闘するストーリーのアクションパズルです。主人公の性別は男女から選択可能。出現する恋人候補は主人公が男なら女が、主人公が女なら男が登場しますが、恋愛ワンポイントアドバイス以外の台詞は概ね共通です。
ちなみにこのゲームの世界における異性に好かれる方法とは、ハートを送りつけるというもの。
プレイヤーのところから恋人候補の元まで続く通路をハートが進んでいくので、忍者の写写丸を操作してステージ中の穴を下から塞ぎ、通路を行くハートを相手に送りつけて異性を魅了するのです。たまに出てくる点滅するハート「まごころハート」を画面右下の数字分だけ相手に届けるとクリアとなるので、それまでにとにかくハートをたくさん、なるべく連結させて送りつけるとときめいてもらえます。モテない人の場合はきっとこの忍者が仕事をしていないのでしょうね。働いて。
ゲーム中に可能な操作は、写写丸の移動、ハートをせき止めるアクション、次のハートが出てくるようジャンプして催促の３つ。これらの操作で効率よくハートを送りつけることが求められるわけです。
ちなみに、せき止めたハートに後続のハートがぶつかると連結します。連結したハートは通常のハートより相手をときめかせることができるほか、まごころハートを先頭に１０個のハートを繋げると巨大ハートになります。巨大なハートを届けると、相手を一気にときめかせることができるというわけ。クリア時にゲージがどれだけ溜まっているかによって、好感度が3段階で変化します。
ハートを落っことすとそのたびに相手のシャッターが閉まっていき、完全に閉まるとミスになります。１つ２つ落っことしてもミスにはならないので、ゲージ最大でクリアしたいならわざとまごころハートを落っことしてクリアを先延ばしにするテクニックも時には必要だったり。
クリアするだけなら割と簡単なのですが、極めようとすると難しくなる絶妙なゲームバランスとなっています。
FLASHのイメージキャラ「写写丸」を操作する
クリア時の好感度によって相手の台詞も変化します。初対面時には悉く主人公をけなしてくる恋人候補（恋人クン？）たちですが、ハートを送りまくればフォーリンラブです。芽がなさそうな相手にしこたま絵文字を送る行為はクソリプおじさんを彷彿とさせますが、これでときめいてくれるというのだから無問題。いいでしょう。送りつけまくってやりましょう。
クソリプおじさんと恋愛巧者の境界線を駆け抜けろ！
アクションパズル部分もオリジナルかつ面白いものではありますが、本作がとがっているのはストーリーによるところが大きいんですよね。
恋愛道場に行くことになった主人公（プレイヤー）はまず道場の先生を口説き、街に出てそこゆく人を口説き、突然現れたUFOにさらわれて宇宙人を口説きます。プロローグで失恋して凹んでいたのがウソのような逞しさです。
その後、宇宙人が恋に夢中になってUFOの操縦を放棄したおかげで、UFOが地球に激突して地球が壊れます。主人公への愛で地球が壊れる。とんだことですよこれは。
といっても悲愴な話になるわけではなく、地獄にいっては鬼を口説き、天国にいっては天使を口説くという逞しい生き様を貫く流れとなっています。全員をゲージ最大で口説き落とすと、隠しキャラクターである女神にも挑戦できます。
お話の途中でどう考えても人類が滅亡していそうというか、主人公も死んじゃってるとしか思えませんが、ゲーム的には各恋人候補に何度でも再挑戦できる仕様となっています。ただの親切設計であって、何度でも蘇っているわけではないはず。
どうです、なかなかとがったお話でしょう。このゲーム、恋人候補たちの台詞もわりと面白いんですよ。女の子の気持ちを知るために一日女装して過ごしてみよう！ などと不可思議な恋愛ワンポイントアドバイスの数々が見られたりとか。出会いのチャンスは自分の気持ち次第で増えるものだからゲームを捨てて外に出ましょうと言われた時はちょっと笑ってしまいました。
後は先ほどもちらりと書きましたが、辛辣なことを言っていた相手がハートを送るだけでびっくりするほどデレる流れがいいですね。
「修行＝つらいこと」だからお前と話すことも修行、みたいなことを言っていたお相手が、クリア後は故郷に一緒に来てほしいと誘ってくる――なんて、恋愛重力が一瞬で反転するのはこのゲームにおいては普通のこと。地球人を家畜の餌と認識しているらしい宇宙人のみなさんも、デレると「ドキがむねむね～ はぁ ためいき♡」と死語で愛を表現したり、欲望を抑えられず「おねがい！ わたしの この しょっかくを スキなように いじりまわして！」と迫ってくるのです。
宇宙人の触覚って卑猥な部位なんでしょうか。そのわりに露出していますけど。
家畜の餌に夢中になる宇宙人 
地球が壊れる瞬間
UFOでかすぎない？
家畜の餌に恋して惑星をうっかり破壊するという流れもどうかしていて好きですね。日本人のスケールで言うととうきびに恋したら隣村崩壊くらいの感覚でしょうか。もうわけがわからない。宇宙ってすごい。
しかし、地球人を餌にする家畜ってどんな生き物なんでしょうね。マフィアが飼ってる豚なのか、他所の星の巨大生物なのか。宇宙人と地球人で見た目はそう変わらないのに、そんな生き物を育てて怖くないのかしら。
さて、FLASH恋人クンはいかがでしたでしょうか。ここまで紹介したのはメインモードの「恋人クン」で、これをひととおりクリアすると、条件達成を目指す「達人クン」とハイスコアを目指す「鉄人クン」、通信ケーブルを使って他プレイヤーと対戦する「対戦クン」もプレイ可能になります。知名度は低いゲームですが、遊んでみるとなかなか面白いので興味があったらぜひ遊んでみてくださいね。
さてそれではこの辺で。また次回もよろしくお願いします。
