とんがりギャルゲー紀行 第107回:卒業R~Graduation Real~

 さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。今回は、前回取り上げた『鬼うた。』のおかげで「ヒロイン全員黒髪」のゲームがすっかりトラウマになった筆者がひぃひぃ怯えながらも購入したけどなんの問題もないどころか大変楽しめた純愛ものエロゲ『どうして、そんなに黒い髪が好きなの?』を紹介しようと思っていたのですが、複数の他サイトにレビュー記事が上がっていたのでやめにして、『卒業R』を取り上げることにしました。PC-FXや初代プレイステーション向けに発売されたタイトルです(※本記事ではプレイステーション版の画像を使用しています)。

 こちらもレビュー記事や動画はネットに上がっていますが、誰も複数の生徒と結婚していないようなので、重婚エンドをお見せする分にはいいだろうと。時期的にも卒業を扱ったゲームはちょうどいいですしね。

 というわけでご紹介しましょう。

卒業R ~Graduation Real~

 プレイヤーが教師となって高校3年のお嬢さん方をなんとか大学に放り込んだり嫁にしたりする、かの有名なギャルゲー『卒業』――の、実写版。『卒業R』の“R”はリアル(Real)を意味しています。お笑いの方のドリフターズを由来とするヒロインの苗字なんかもそのままで、髪型もキャラにがんばってよせています。 『卒業』のユーザーは名前を「いかりや」にするのが定番だったらしいですね。

 イロモノ感があって面白いですね。……というのは制作側の望んだ楽しみ方ではないのでしょうが、バッチリメイクが流行っていた頃の映像なので必要以上に年上に見えてしまう感はありますね。すでに色んなところで言われていますが、生徒じゃなくてPTAだって言っても通じそう。

 とりあえずゲームの舞台である清華女子高等学校(ムービーなどの撮影は千葉明徳学園などで行われたようです)の3年B組でとんがり先生として1年間教鞭を執ってきたので、今回はその流れに沿ってゲームを紹介します。

 受け持つ生徒は以下の5人。誰か1人を選んで集中講義するのではなく、5人まとめて面倒を見ます。

 ゲーム開始前にプレイヤーの分身となる教師のタイプや誕生月、血液型を選択。ステータスについて細かいところは知らないのですが、学習ステータスを上げるのに知力が影響するらしいのでガリ勉タイプを選択。財力や体力が少ないタイプですが、お金はそれほど使う機会がありませんし、セーブ&ロードするとHPは全快するので体力など不要と考えました。

 ゲームの流れは原作の『卒業』と同じ。3日ごとに生徒のうち1人を選び、予定を決めてあげて各ステータスを伸ばしていきます。生徒が勝手に予定をぶっちぎってさぼったり、突然失恋して家出するので先生のリアルラックが試されます。こまめにセーブしつつ、過労で倒れないよう適度に休みの予定を入れてあげたり、足りないステータスを補う予定に変えたりと管理してあげましょう。

 とんがり先生はまず虚弱な中本の体力を伸ばしました。体力はそのままHPの上限になるので、すぐ死にかける中本には必須の作業ですね。セーブ&ロードで先生の体力は全快するので、先生は中本もセーブ&ロードしたらいいと思います

 休日は生徒からの「人気度(教師の好感度)」上昇のチャンス。「追跡する」コマンドから人気度を上げたい生徒を選ぶと休日を楽しむ生徒の姿が見られます。実写であることを活かしてか、短いながらムービーになっているのは本作なりの特徴でしょう。しかし、追跡では人気度の上下にしか影響がないのか、夜の街で遭遇した新井に「悩みがあるなら、相談に乗るぞ!」と声をかけた翌日に家出をされて、先生困惑しました。「ありがとよ!」と笑顔をくれたのはなんだったのでしょう。家出した子の捜索には数週間かかることもあるので、先生はロードしちゃいました。便利なので中本も早くできるようになるといいですね。

 休日に教師と遭遇しても面倒と思わず、というか追跡されているにも関わらず生徒のみなさんは笑顔を向けてくれます。とっても無防備で都合がいい心配になりますね。ちなみに、休日には面接や補習、家出した生徒の捜索、教師自身の鍛錬などができます。面接では悩める生徒から話を聞けるので、「タカビー」などの状態異常の解消に役立ちます。

 学校行事がある日は自動でイベントが発生します。上の画像は体力測定時のもの。ソフトボール投げと垂直飛びをする姿をこれまたムービーで見せてくれます。立ち姿や振る舞いに生徒の個性が出ていて動きの演技としてはいいのですが、化粧が濃いので保護者参加のレクリエーションに見えてしまうのが難点。容姿をけなしているわけではありませんよ。悪いのは恐らく企画とメイクではないかと先生は睨んでいます。

 皆が見栄え重視の非全力投球をするなか、力強い動きでソフトボール投げをする志村に先生は好感を覚えました。でも、先生それは砲丸投げのフォームだと思うな。

珍解答の多い定期試験。家出中の生徒は解答が空白になる

 年に数回ある定期試験では、試験時の勉強ステータスによって正答率が変化します。ここではお嬢様だと聞いていた高城が意外性を見せてくれました。食事の際には左手に「ピストル」を持つと答えたり、カレーに入れるスパイスに「うんこ」を挙げたり……。高城は普段の生活で抑圧されているのでしょうか。

 プール開きは見せ場なのか、他シーンに比べてかなり長いムービーが使われていました。ローアングルな映像やひとりひとりのセクシーショットが用意されているようです。体感では数分でしょうか。

 そういえば、北海道出身のとんがり先生はスクール水着をリアルで見たことも着たこともないため個別の水着に違和感を覚えませんが、本州以南出身の方は気になるのでしょうか? 実を言うと、とんがり先生にとってブルマとスクール水着は同列の「学生を象徴する衣装だが現実では使用されないもの」という認識です。よくエロゲで見るやつ、みたいな感じ。

 生徒の家出や怒涛の連続サボリ攻撃を食らわない限り指導は意外と難しくありません。しかし、学生というのは時に教師すら驚かせる行動に出ますね。中本は体質としては虚弱ですが大人しい性格というわけではないようで、SMクラブでアルバイトしていたり、男と同棲している姿を見かけました。

 SMクラブでのアルバイトを発見するイベントは原作ゲームの方の『卒業』にもありましたが(上の右画像は『卒業S』のもの)、これも再現しています。女王姿の実写中本が「驚いたよ。普段の君からじゃ~」と言われてしょんぼり目を伏せる映像は、先生ちょっと面白いと思いました。

 中本はこの後、先生の人気度が足りず、かつ結婚エンドの条件を満たすと4年間同棲した彼氏と結婚するエンディングを迎えます。4年って、中学の頃からずっと同棲していたということですよね。先生は中本の行動力にちょっとびっくりです。ちなみに、SMクラブでのアルバイトは彼氏公認なのでしょうか? 彼氏はMなのかなって、先生はそこのところが気になりました。

 その後も文化祭や初詣などのイベントをこなし、最終的に先生は全員と結婚するエンディングを迎えました。数日前に他の男との同棲が発覚した生徒失恋して家出した生徒もいたのですが、いいのでしょうか。先生は刃傷沙汰にならないことを切に願います。

 エンディングで教師の評価ポイントに応じてランクが変化するのですが、2人以上と結婚すると強制で「人間失格」となります。とんがり先生はむしろ今回これを目指していたので満足ですが、生徒の皆さんはこんなやつとはさっさと離婚したほうがいいですよ。

 ところで、スタッフロールで流れる歌はセガサターン版と歌っているメンバーが違うようですが、もしかすると実写版キャストが歌っているのでしょうか?

笑顔で卒業式を迎えた加藤(家出中の人妻)。

 さて、『卒業R』はいかがでしたでしょうか。原作の絵がよすぎるくらいなので実写の映像とは差を感じるかもしれませんが、これはこれで楽しめるのではないでしょうか? 台詞が棒読みな生徒もいますが、動きの演技には生徒それぞれの個性が出ていて面白いですよ。元がPC-FX作品なだけあって動画も多いのも評価したいところですね。

 それでは今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

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