本日ダイアプレスさんから発売された『懐かしパーフェクトガイド Vol.10 セガサターン徹底解剖』に少々記事を書かせていただきました。
今回の特集はセガサターン。ちょうど発売25周年ということでさまざまなところで脚光を浴びていますね。私も『セガサターンパーフェクトカタログ』を書いているので人のことはいえませんが(笑)。
私がレビュータイトルに選んだのは『デイトナUSA』『セガラリーチャンピオンシップ』『F-1ライブインフォメーション』の3本。意図的に全部レースゲームというチョイスです。単体のレビューを読むだけでは伝わらない、チョイスの意図について本稿で触れてみたいと思います。
レースゲームはゲーム機のスペックを推し量るベンチマークとして恰好な題材でして、大抵のゲーム機では発売されています(PC-FXみたいな例外もありますが)。特にセガサターンはCPUが32ビットへと大きく進化したことに加えて、ポリゴンやCD-ROM搭載など、ゲームのパラダイムシフトが起こった渦中のハードだけに、その性能をアピールするべく多数のレースゲームが発売されました。
前者2本はアーケードからの移植ですが、さまざまな追加要素で家庭用ゲーム機向けのアレンジを目指した『デイトナUSA』、あくまでアーケードのプレイ感覚を作り込むことに注力した『セガラリー』と、アプローチに違いがあって実に面白いです。そんな中に、1995年の年末商戦で『セガラリー』とほぼ同時期に発売されたサターンオリジナルのレースゲームに『F-1ライブインフォメーション』がありまして、これを加えた3タイトルの「開発アプローチの違い」を記事を通じて楽しんでもらいたいというのが、あえてレースゲームばかりを選んだ理由だったりします。
『F-1ライブインフォメーション』は「F-1グランプリの中継を見ているかのような雰囲気を楽しむゲーム」で、ドライビングのリアリティよりも観戦のリアリティを目指した、演出志向のゲームですね。細かなレビューは本誌掲載記事に譲りますが、90年代前半にF-1グランプリを見ていた世代にはめちゃ刺さるゲームです。プレイ中にクラッシュしても、三宅アナが「ジャン・アレジ、今日は一体どうしたんでしょう?」とか言ってくれるとつい嬉しくなってしまいます。
レースゲームにポリゴンが導入されてから当たり前のように実装されるようになったリプレイ機能(『ハードドライビン』あたりが最初?)も、いわば「自分が運転するよりも運転を見ている方が面白い」という観戦者の楽しみですし、『F-1ライブインフォメーション』はそんな見る楽しみという方向性を研ぎ澄ました、まさにポリゴン世代だから生まれたゲームといえるでしょう。
レースゲームとしての挙動は相当甘く、マシンセッティングできてもそれが挙動に反映された実感がわかない、コースはホッケンハイム、モンテカルロ、鈴鹿の3つしかないなどツッコミをしだしたらきりがないのですが、今回紹介した3本の中では一番好きなゲームだったりします。未プレイに方にはぜひ遊んでほしいタイトルの一つですね。
とまあ、色々話が脱線しましたが『懐かしパーフェクトガイド Vol.10 セガサターン徹底解剖』、よろしくお願いいたします。