とんがりギャルゲー紀行 第98回:君の名残は静かに揺れて

『新サクラ大戦』が発売されたことで、これはもう、サブキャラクターのデザイン担当である「いとうのいぢ」先生が原画を描いたゲームを何かしら紹介するしかあるまいなという思いにかられたので、今回のタイトルをセレクトしてみました。

君の名残は静かに揺れて

ユニゾンシフト:ブロッサムが2010年リリースした美少女ゲームです。最近の作品と思っていましたが、発売から10年近く経っているんですね。

本作は『Flyable Heart』では攻略対象の1人だった白鷺茉百合を単独メインヒロインに据え、本編後日談ではなく彼女のエピソードを深く掘り下げてお話を再構成したスピンオフタイトル。要は、主人公とくっつくことには変わりないけど出会い方とお付き合いに至る経緯がちょっと違っていたり、本編では匂わせる程度だったヒロインの複雑なご家庭にもフォーカスを当てているよーというお話です。いわば白鷺茉百合の白鷺茉百合による白鷺茉百合ファンのためのタイトルなわけですね。おまけにヒロイン視点もたっぷりです。本作だけで話は完結しているので、一応本編を知らなくても楽しめると思います。本編はちょっとSFっぽい要素があるのですが、本作では省略されて白鷺茉百合との物語に一極集中。その影響で本作では本編メインヒロインが存在しなかったことになっています。なによそれめっちゃ気になるじゃないのって人は本編を買おうね!

ちなみに白鷺茉百合というヒロインは、本編の舞台となる私立鳳繚乱学園の生徒会副会長を務める才媛。容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能で要領もよく、性格も穏やかで笑顔を絶やさず、おまけに良家の子女で仕草も上品だったりと、文句のつけようがない完璧な女性です。

しかし、お話が進むと普段の完璧な振る舞いは「そうであれ」と家で厳しく教育された結果であることが発覚。親友以外とは平等に離れた距離を保ち、誰も近づけさせないようにしていたことがわかります。主人公への好意は出会って間もない頃からあったようなのですが、昔のとある出来事が理由で負い目があったりして受け入れられず、結果、主人公とだけ上手く距離を保てなくなってしまった彼女に突き放されてしまいます。

無事にくっつくまでは「愚鈍」などと罵倒されたり、2人きりの時は呼び方も「晶くん」から「お前」に変化しますよ。彼女も内心ではこんな態度を取るつもりではなくて、でも引っ込めることもできなくてと混乱しているのですが、傍から見れば女王の佇まいよ。本人は動揺していますが、心優しい性格もSな部分も素です。

主人公と主従関係を結ぶわけでもないのに、あまりにひんやり蔑まれるのでファンや公式に「茉百合様」と呼ばれたりします

彼女が罵倒してくるのは主人公に対してだけですから、恋心に振り回される不器用さの現れにも見えてこれはこれで可愛らしいんですよね。好きな人の前でだけデレる「元祖ツンデレ」の逆パターンといったところでしょうか。理性的なヒロインが好きな相手の前でだけ感情の制御を失う展開、非常に美味しいと思います。

と、この辺りは本編である『Flyable Heart』でもわかる部分ですが、先ほども言った通り本作では実家に関するエピソードも掘り下げられます。2人がくっつくまでも丁寧に描かれますが、全体から見れば序章のようなもの。主人公と茉百合が交際を認めてもらいに白鷺家へ赴き、昼ドラみたいな空気に晒されつつもハッピーエンドのために戦うお話がメインとなっていますよ。

いちゃいちゃも罵倒もあるよ!

で、本編を差し置いてスピンオフの方を紹介しちゃうのは何故かというと、ファングッズのひとつとして痛ノートPCを発売したことで話題になったタイトルだからですね。作品よりグッズが尖っています。その名も、

『茉百合様に蔑まれるネットブック』

そんなもの買うやつがいるのかって、

記事のために撮影した「茉百合様に蔑まれるネットブック」参照画像

いるんだな、これが。

証明はできませんが中古じゃなくて予約して新品で買いました。記憶はもうおぼろげですが予約時にOSを指定したりできたはずなので、一応オリジナルカスタムなのだぜ。被っている人はいっぱいいるだろうけど。撮影のため久しぶりに起動したら茉百合さんに「またお前なの。お前の顔は見たくないと言ったはずよ」ってため息混じりに言われてにっこりしちゃいました。茉百合さんがSな性格をバリバリに表すのは好きの証だからね。嬉しくなるのも仕方ないね。

外箱(表)
外箱(裏)
外箱(側面)

「茉百合様に蔑まれるネットブック」はテーマを5種類収録しており、壁紙とシステムボイスを茉百合様色に染めることができます。内訳は、黒い茉百合さんのテーマが3種類、白い茉百合さんのテーマが2種類、壁紙だけ茉百合さんでシステムボイスだけ普通の内容のもの(茉百合さんではない?)が1種類。新しいパソコンにテーマをコピーしたことで初めて知ったのですが、このテーマはデュアルディスプレイにも対応していて、ちゃんと2画面別々の壁紙が使われるんですね。なかなかいいなと感心し、早速この機会に黒い茉百合さんのテーマを適用することにしました。どうも、機を見るに敏な愚鈍です。

「茉百合様に蔑まれるネットブック」収録壁紙の一部

あくまでファングッズのようなものなので、PCとはいえ『君の名残は静かに揺れて』などゲームはインストールされていません。ディスクドライブもないから、USBでポータブルDVDドライブを繋がないとインストールもできないはずです。スペック的にゲームが動くのかは試していないからわかりませんが、そもそもネットブックだけあって画面も小さいため、そもそもエロゲ向きではないかなーといった印象です。外でパソコンをいじる予定があるなら、そして度胸があるなら活用できるかもしれません。筆者は外での打ち合わせにうっかり持って行って爆笑されたことがありますよ。愚鈍ですね。

本編である『Flyable Heart』とスピンオフの『君の名残は静かに揺れて』、そしてファンディスクの『Flyable CandyHeart』を含む15作品を収録した『ユニゾンシフト いとうのいぢ詰め合わせ 15作品セット』がDMM GAMES.R18で絶賛ダウンロード販売中ですので、今から購入するならそちらが入手しやすいでしょう。アニメ化したタイトル『ななついろ★ドロップス』も一緒に入っているので、のいぢ絵を堪能するならおすすめのセットですよ。たまにセール対象にもなったりするので、待ちきれず即買うなり機会をうかがうなりして入手しましょう。

筆者はゲームのBGMをよく聴いたりするので、作曲時の考えやエピソードも見られるユニゾンシフト:ブロッサム作品はかなり好きですね。とってもおすすめ。

さて、それでは今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

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