とんがったギャルゲーをひとつ紹介してくれないかとの依頼を受け、参上しましたよ。
エロゲーのシナリオを書いたことすらある私です。いくらでも紹介できるだろう。たやすい願いだ(神龍)。
とか思ってお引き受けしたところ、過去記事が思いのほかディープであることが発覚し、今ちょっと震えながら書いてます。
ところで私はエロゲー開発会社に勤務経験があるのですが、入社するまでパソコンを所持していなかったんですね。当然、エロゲーをプレイしたこともありませんでした。よく入社できたなと思われるでしょうが、履歴書とともに添付する参考作品を年々追加しながら受かるまで応募し続けただけです。
当然の帰結として、勤務時間中にゲーム研究(作業日報に本当にこう書いていた)という名目で数々のエロゲーを遊ぶことになるわけですが、その中にはなかなかに濃いものもありました。今回ご紹介するのはその一本です。
怪奇! ドリル男の恐怖(カラー作品)
どうして過去の私はこんなものを手に取ったのでしょうか。わかりません。忘れました。ただおそらくは、これが非常にエロゲーっぽい作品だと当時の私が感じたからではないかと思います。この時期(1999年)のエロゲー業界はたいそう混沌としており、こんなキテレツな作品が世に出ることが許されていたナリよ。エロさえあれば何をしても良い、みたいな勢いが確かにあり、そういう空気感が好きでした。どんなアレな内容でも一定数売れてしまうということも、業界には追い風でした。作り手にとっても良環境だったと言えるでしょう。こうした野放図なゲームを研究することで、立派な健康優良不良ライターになれるとなかば本気で信じていました。
ゲームはホラーテイストの洋館ものです。
ある3姉妹が嵐から逃れるため、洋館に避難するのですが、そこで恐るべき怪物ドリル男と遭遇してしまいます。ドリル男に追い回される三姉妹。クローゼットなどに隠れることでやりすごしながら、館の謎を解き、脱出を目指すというよくある感じのストーリーです。
クロゼットに隠れてやりすごしちゃえシステム(CKYS)採用型ノベルゲームとしてはかなり古いタイトルであり、資料的価値は高いと言えます(他に存在しないような気もするが……)。
アドベンチャーながら本作はドリル男の襲撃がリアルタイム。館内部を探索していると急襲してきます。
これがドリル男です。どうですこの出で立ち。
雑な混ぜ方です。徹夜明けのデザインです。
これでなかなか紳士であり、女は殺しません。ただちょっとRAPEするだけです(過激な表現につき配慮しておきます)。
ドリル男の攻撃を受けると、服が一枚ずつ破れていくわけです。全裸にされるとRAPEされるわけ。館内探索をしているとナース服など様々な衣装が手に入るんですが、これがコスプレHへの導線となるというシステム。エロゲーにしてはなかなか頑張ったゲームデザインではないでしょうか。
この際、マウスを激しく振る(性的メタファーか?)ことでドリル男から逃れることもできます。マウス振りはかなりの難易度で、こんなバカゲーであるにもかかわらずクリアするとなるとけっこうな本気プレイが要求されるのです。ほとんどのプレイヤーが、この難易度に対して「ワリに合わない」と感じたことでしょう。
逃れてもドリル男は追ってくるので、どこかに隠れてやりすごす必要があります。クローゼットなどに隠れるわけですが、この時ドリル男の足音が響くとともに、ジョーズのテーマとかハゲ山の一夜を思わせる緊迫したBGMが流れてきてプレイヤーの気持ちをいやが上にも盛り上げてきます。見つかるか助かるかはあなたの運次第……。
どうでしたか? 興味は出てきましたか?
この伝説のバカゲーが、今ならなんと2000円強で買えてしまう(ダウンロード版)。
誰にでも薦められる名作というわけではなく、所謂ネタゲーの枠ではあるんですが、ホラーゲームの叩き台として見れば学ぶべき点は数多くある一本だったりもします。あなたがゲーム作家であるなら研究用としても有用なこの一本、いかがでしょうか?
ただ「このシステムを学園ラブコメにぶっこんで、何か面白いことはできないだろうか?」などと考えはじめると立派な売れないライターに育つことができるので注意しましょう。
この記事を書くにあたって、記憶だけで書く気まんまんでしたし実際にそうしたのですが、プレイ動画のひとつでもないものかと探してみたところ、残念ながら見つけることができませんでした。なかなかインパクトある作品なので、紹介動画とか作ったら再生回数が稼げるかも知れませんよ。
※編集注:以下、おまけ画像です。