さて、本日もとんがったゲームをご紹介していきますよ。
今回取り上げるのはALcotから発売されたこのタイトル
『幼なじみは大統領 My girlfriend is the PRESIDENT』(2009年10月30日/Windows 2000・XP・Vista)
朝、目覚めるとお隣がホワイトハウス風の建物になっていたという超展開から始まるSFラブコメディです。タイトルの出オチ感がすごいですよね。
朝起こしてくれたり、ご飯も作ってくれる(下手だけど)可愛い幼なじみ兼お隣さんというテンプレ的な存在が、毎朝自宅のホワイトハウスから主人公の家に通ってくるというシュールさが笑えます
発売当時はオープニングムービーに出てるヒロインを各国大統領たちに差し替えたMADムービーがニコニコ動画で大人気だったので、ゲーム本編をプレイしたことがなくてもタイトルだけは知っている方は多いのではないでしょうか。YouTubeにアップされたものには海外の方々からのコメントがついているので、どうやらオープニングだけは国際的に認知されているようです。
幼なじみはホワイトハウス(っぽいもの)に住んでいるだけでなく、ゲームのタイトルどおりに新本(にっぽん)の大統領を務めています。ごく普通の学園生である彼女が選挙戦を勝ち抜いて大統領になった――というわけではなく、新本が大統領制になったのも、幼なじみがそのポジションに就いたのも、
大体宇宙人のせいです。
予想外のアクシデントによって起きた宇宙船墜落事故による混乱を避けるため、洗脳装置やらで一時的に対応した結果、主人公以外のほぼすべての人間がこのおかしな状況を以前からの当たり前のものとして受け入れているんですね(ちなみに宇宙船は新本の首相官邸に落っこちたため、本物の首相たちは宇宙人の施設で蘇生中)。役職はおかしなことにはなっていますが、人間関係はそのままなので主人公視点ではちぐはぐ感がものすごいことに……。
主人公自身も副大統領として幼なじみで大統領の雪乃の補佐を務めつつ、学園生活を送るという不可思議な日常を一時的に送ることになります。
ここまでの説明だと主人公が常識人枠のようですが、彼も普通の人間とは言い難いんですよね。ちょっとネタバレになるのですが、彼は幼少期に航宙船との衝突事故に遭い、宇宙人のデータを基に体を復元された経緯があります(修復したり主人公と出会ったのは人型航宙船の女の子)。本人の記憶は封印されていますが、人間としておかしいレベルで頑丈な体質になっていることは自覚している様子。
つまり、
やっぱり大体宇宙人のせい。
この可愛い宇宙人の何が罪かって、ここまで深く話にかかわっておいてルートがないことですね。どうして攻略非対象なんだほんとに。ちなみにエッチなシーンもありません。ファンディスクにはエッチなシーンだけありますが、やっぱり攻略対象外です。まあ、そもそもファンディスクには人気の2ヒロインのストーリーのみを収録しているので、エッチなシーンだけはあるものの、
幼なじみも攻略対象外なんですけどね(一応他ヒロインと共同ルートみたいなものだけどおまけ側。本編ではもちろん単独で攻略できます)。
やはり幼なじみは負けフラグということなのでしょうか。大統領にまでなっても恋の戦争には勝てないものなのですね。同じく新本を舞台とするALcotの後作品でも他ヒロインのルートを通過したと思われる描写がありますし(『中の人などいない! トーキョー・ヒーロー・プロジェクト』での話)。さらに言えば主人公の初恋はもう一人の幼なじみでもある年上ヒロインの蘭姉ちゃんなので、物語開始以前からわりと負けてます。
攻略対象4人中2人いる幼なじみがファンディスクでは両方攻略対象外なので、蘭姉ちゃんも結局負けてます。
ちなみに圧倒的な人気を獲得したのは以下の2人。
ルシア大統領の「イリーナ・ウラジーミロヴナ・プチナ」と、人型にも変身できる航宙船「ヱゼキエル」です。
前者は作中の一部人物から「プーちん」という愛称で呼ばれています。たとえ作中に登場する人物は実在の人物とまったく一切これっぽっちも関係ないと言われても、ルシアのプーちん大統領というとなんだかとっても危険な響きに思えてゾクゾクしちゃいますね。作中に宇宙人が登場することを意識してか、BGMにX-ファイルのものに似せた音楽も使っていたりとギリギリを攻めています。
色々とネタを突っ込んだゲームではありますが、ALcotは安定して面白いゲームを作っているブランドなので気になったならプレイして損はないと思います。ミドルプライスゲームを作っているALcotハニカムもクオリティの高いシナリオの作品を出しているので、どちらもおすすめです。
さて、それではこの辺で。また次回もよろしくお願いします。