本日はスーパーファミコンのギャルゲーを紹介していきます。
今回取り上げるのは『放課後 in Beppin女学院』
イマジニアから1995年にリリースされた育成シミュレーションゲームです。プロローグ? に出てくる「事件が起きるのはいつも放課後――」というフレーズがなんとなく気に入ったので選んでみました。
「ACT」という特殊犯罪に対抗する国防部隊への入隊を目指す少女を育成し、時には組織の仕事も体験させるという内容です。学生兼エージェント候補というロマン溢れるベタな設定が魅力的ですね。
エージェントの候補生は3人おり、最初に選んだ娘を1年間育てることになります(恋愛要素はないです)。パラメータの成長度合いで進路が分岐し、結果としてごく普通の会社員になるなんてこともあります。大技林によると、エンディングパターンは20種類ほどあるとのこと。
▲エージェント候補は3人。今回は元A国SPの父と貴族出身の母を持つ少女・風美香を選びました
育成のためのコマンドは朝8時~24時まで毎日実行します。訓練や勉強、遊びに行ったりアルバイトをしたりと行動を決定するたびゲーム内の時間が経過し(訓練を受けると6時間、自主訓練だと4時間など)、毎日どう過ごすかを考えていかなければなりません。24時が過ぎると自動的に翌日を迎えますが、22時から8時間かかる行動をするなど夜更かししすぎると翌日に寝坊してしまいます。「遊びに行く」を選んで深夜を過ぎると学校で呼び出しをくらい、数日間の停学になってしまうので注意。
超常術(魔法みたいな技)や格闘術のレベルが上がると試験が発生し、教官とのバトルに挑戦することになります。勝利すると新技を習得可能です。超常術には当たれば確実に敵を気絶させられる技や全体攻撃、回復など強力なものが多いので積極的に習得していきたいですね。格闘術の技は複数ターンにわたって攻撃せずに「溜め」を行う必要があるのであまり役に立ちません。攻撃がはずれることが多いですし(これは通常攻撃もですが)、そもそも要求されるターン数に与ダメージが釣り合わないので。
▲超常術の教官は体質で夜(22時以降)になると小さくなります。ヒロインたちより美人で可愛い気が……
作中の設定や超常術は面白い要素だと思いますが、複数の訓練や勉強などを毎日実行しなくてはならないという本作のシステムには難がありますね。ゲーム期間は1年間と育成ゲームとしては長くないものの、毎日複数の行動をいちいち決めて実行するとなると恐ろしく時間がかかってしまうんです。平日は毎日学校へ行くか行かないかの選択肢もありますし。
画面の変化があまりなく、BGMもミッション中以外はほぼ変わらないのでどうしても単調に感じてしまいます。自己訓練で格闘訓練を選ぶと毎回ライバルの美葉に挑まれて勝負することになるので、これを実行するとまたえらく時間がかかる……。しかもライバルの挑戦を断ってもバトルの相手が動く木人になるだけですし。
この娘には「ちっとも主人公に勝てないのに断固として終生のライヴァルを名乗るおほほ系ヒロイン」みたいな可愛らしさがあるものの、何度ボコボコにしても突っかかってくるので厄介な相手でもあります。一度のコマンド実行でリアル時間を消費しまくるというのは育成シミュレーションとしてかなりまずい点でしょう。「訓練を受ける」コマンドであればリアル時間の消費を抑えられますが、お金が必要となるので常にこれだけを選ぶわけにもいかないのです。
最初はゲームが単調なのもリアル時間がかかるのも気になりませんでしたが、ゲーム内の日付を気にし始めるともう駄目でした。
進むの遅いんじゃい!
プレイし始めて2時間でまーだ6月……。長い、長すぎます。光る部分もあるので決してクソゲーではないと思うのですが、ゲームは1日1時間のルールに縛られていた幼き日にこの作品と出会っていたらクリアできたか怪しいところです。6月で一度心が折れ、8月でまた折れ、10月でもうやめよかなと思いましたが、このゲームのクリア画面を上げているサイトや動画が見当たらなかったので意地になって頑張りました。
たまに受けられるミッションの数がそれなりに多いのは救いですね。発生する会話もコミカルでいい感じです。
ただ、メインストーリーに絡まないミッションは同じものが繰り返し発生するのでちょっとダレてしまうかも……。上の画像のようにミソノさん家に空き巣が入る事件はプレイ中に4回は発生した気がします。1年間で4回も空き巣に入られるって、ミソノさん家に何があったんでしょう。恐ろしい犯罪率です。
というかそもそもこれ、特殊犯罪でもなんでもないですよね。バイク盗難事件を解決するミッションも発生しますが、どうして警察に頼まないのか不思議です。もしかすると、警察とは関われない後ろ暗い事情があるのでしょうか。つまりこれにいちいちツッコミを入れていると、「 昨日、とんがりさんが交通事故で亡くなりました。 即死でした。」てなことになりかねない……? ちょっと怖くなってきました。黙っとこ。
他にもちゃんとした(?)特殊犯罪や、
リアルで起きちゃってる気がする事件も解決します。
相棒の犬、開発したメカも戦闘に参加します。犬は育成しても肉盾にしかなりませんが、ヒロインの情報技術スキルを上げてメカを開発するといい戦力になってくれます(犬とロボは名前変更可)。誰かと協力してミッションに挑む際はパーティーからはずされてしまいますけど、基本的にはこの3人(?)で戦うことになるのでロボの開発はしておいたほうがいいでしょう。
ちなみにミッションを達成するとお金が手に入り、失敗すると怪我で病院通いになってしまいます。リスクはありますが、ミッション前にセーブするなり普段から訓練を積むことでなんとかなります。
ミッションではゲネル・サンダー率いる悪の組織KFCのメンバーとたびたび戦う機会もあり、ヒロインが抱える事情を含め、メインストーリーを見ていくにはこれらをこなしていくことが必須となります(それほどボリュームはありませんが)。
それにしても、チキンが食べたくなる組織名といいどこぞのアニメで見たことある下っ端の外見といい、ギリギリ感がちょっと楽しいですね。
学校のほうでもたびたびイベントが発生し、定期テストのために友達と勉強したり、学内のコンテストに出場する機会もあります。コンテスト開催日にはライバルキャラの美葉が「あなたに出られるとこまるのよね」と参加する前から負けを認める発言をしつつヒロインの出場を阻もうと勝負を挑んでくるので、ここでもバトルになります。訓練時とステータスの違いを感じないので脅威ではありませんが、7ターンかかる溜め技を試していたらコンテストに間に合わなかったりするので気をつけましょう(1敗)。
学校での特殊イベントには運動会みたいなのと(競技名を失念しました)、水着コンテスト、着物コンテストがあります。直前でロードしたら結果が変わったりするので勝利条件は不明。
こうしてみるとイベントの数は多いので、ゲームのテンポの遅ささえ解消していればもっと評価を得られたのではないかと感じますね。このゲームの制作に携わった方の発言によると悲しいほど売れなかったそうですが、もっとコマンドの実行回数を減らして、代わりにステータスの上昇値を上げて、ストーリーをあっさり流さずに肉付けをしていればよかったのかな? 惜しい作品です。
敵の手中に落ちようとしている父からの手紙で巨悪との因縁が発覚したりとか、
ドロンジョみたいな小悪党が最期にヒロインたちを助けるとか、盛り上がりそうな展開もあるのにちょっとしかストーリーに触れないあっさり風味なのが本当にもったいない……。
もっと情緒を大事にして!
最後になるかもしれない娘への手紙で必殺技コマンドを書かないで!?
というのがプレイした際の感想ですね。シリアスなシーンなのに笑っちゃいました。ゲーム帝国じゃないんですから。
とまあツッコミどころは多いものの、『放課後 in Beppin女学院』はなかなか愉快な作品ですね。一通りプレイするのにえらく時間がかかるのでプレイヤー側に根性のステータスが要求されますが、興味をもたれたならぜひ挑戦していただきたい一作です。
おまけ。今回のプレイでは残念ながら「ACT」への入隊は叶わず、風美香ちゃんは社長秘書になりました。
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