とんがりギャルゲー紀行 第46回:魔法少女ファンシーCoCo

さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。

今回紹介するのは『魔法少女ファンシーCoCo』

powが1996年にプレイステーション向けにリリースした育成SLGです。

プレイヤーは王女CoCoの教育係となり、立派な次期女王に育て上げることになります。わかる人にはわかると思いますが、雰囲気は『プリンセスメーカー』そっくり。

パッケージ画像はこちら。

これがパッケージ表。

こっちがパッケージ裏になります。なぜ表と裏で絵柄が違うんでしょうね。果たしてCoCoは萌え系なのか燃え系なのか。

ゲームを起動するとこんな感じでオープニングアニメが流れます(主題歌はCoCo役の白鳥由里が蚊のなくような声で歌っています)。なかなか力の入ったアニメですが、これ本編にはまったく関係ないシーンばっかりなんですよね。本編でも魔法の練習はしますが、育成の項目にあるだけでこんな激しくバトルなんてしません。ロボに関しては姿すら出てきませんし。アニメで力尽きちゃったんですかね……。これだけ見てるとちょっとワクワクするのにもったいない。

ゲームを開始するとこんな感じの画面が出ます。オープニングもでしたが、ここでも絵柄が違いますね。まあCoCoちゃんは次期女王となる魔法少女ですから、別次元に干渉して画風さえも変える力を持っているのやもしれませんね。すげえよCoCoは。

ステータスを確認しつつ、一カ月ごとのスケジュールを組み立ててCoCoを育成していきます。ちまちま動くSDキャラが可愛いらしいのですが、ちょっと表示時間が長いかも。このゲームはCoCoが特定の変身魔法を覚えないとランダムイベント(格闘とシューティングのミニゲーム)が発生しないので、ゲーム終了までこの画面を見る時間がやたらと長く感じます。その変身魔法も育成をかなり進めないと習得してくれませんし。取得アイテムや行動によってCoCoの趣味が変化するなど面白い要素もあるだけに、ちょっともったいなく感じました。

変身魔法ももったいないと感じた要素のひとつです。ステータスの条件を満たすと新しい魔法を習得でき、50種類もの変身魔法それぞれに一枚絵が用意されているという豪華仕様であるにもかかわらず、ごく一部がミニゲームの発生条件になっているだけで、あとは「魔法を確認する」コマンドで変身姿を確認できるくらいなんですよね。もうちょっと生かす機会が欲しかった。変身した姿でダンジョンに潜ったりしたかった。いや、初期状態で覚えている変身魔法「赤ちゃん」では何もしようがないでしょうけど。

そもそもどうして赤ちゃんへの変身魔法があるんですかね……。CoCoは8歳にしてバブみを求める女だった……?

というか、50もの変身先があるのにどうしてオープニングに出てきたロボはないのか。ちょっとワクワクした気持ちを返してほしい。

ランダムイベントがろくに発生せず、人間との接触が恋しくなる本作ですが、スケジュールを実行する前に町に行って買い物をしたり、城に行って育成状況に対するコメントをもらうこともできます。が、やはりこちらから行動しないと人に会うことがほぼないことには変わりないわけで……。

つれない態度でも、ふと現れて会話してくれる詩織は優しかったんですね。上の画像が幼馴染ゆえの気安いノリで「え~w あんたと帰るの~? www」といじられているように見えてきます(しつこく頼み続けるとなんだかんだ一緒に帰ってくれるようになるし)。CoCoをプレイしている間、なぜか詩織がめちゃくちゃ恋しかった……。

ちなみに評価を貰いに行くとこんな感じ。まだゲーム開始直後とはいえ、母親に「あなたには人の心が理解できていない」とか言われちゃってます。やべえよCoCoは。

作中のイベントは毎年11月の魔法祭と、4月に人間界へ行くくらいしかありません。パッケージ裏にはイベント盛りだくさんと書いてありますが、どう考えても盛ってます。誕生日なんて両親におめでとうを言われるだけなので。

毎年11月に発生する魔法祭では上画像のようにライバルたちとカードゲームで戦うことになるのですが、ルールは「互いにカードを2枚選んで出し、数の合計が少ない方の体力が削れていく」というものですので、楽しめるかはちょっと疑問かも。戦略もなにもないですからね。6つある競技すべてこのカードゲームで行われますし(背景とカードの絵柄は違いますが)。

さらに、このカードの数値は祭り開催時点でのステータス(競技によって要求ステータスが異なる)が反映されるので、年々勝負が長引くようになってしまうという問題を抱えています。一応、このイベントはライバルキャラクターと直接対決する貴重な機会なのですが、勝負はステータスでほぼ決まっていますし、そもそも説明書とオープニングアニメくらいでしか顔をみていないキャラと戦っても燃えられない……。

4月に人間界へいくイベントは、まだ9歳の少女をパチンコ屋に連れて行ってギャンブル趣味を植え付けたり、同人誌作成キットを買い与えてCoCoを同人趣味にしたりネタ的には楽しいイベントではあります。基本的には1カ月のあいだ街をブラブラしてなんとなく帰るだけなので、変な楽しみ方を自分で覚えないと何したらいいかさっぱりですが。

ちなみにCoCoの「悪い心」が高い状態でベストエンディング並みのステータスを維持していると、悪の女王と化したCoCoがこの人間界へと攻め込むことになります。このイベントが将来的な友好国との交流か、はたまた敵情視察になるかはCoCoの今後次第なわけですね。

結局、私が試しにプレイしたときは未熟だけど女王としての資格はアリという感じの評価で終わりました。毒にも薬にもならないけど女王にはなるよって感じの結果ですね。なんともコメントに困る内容でしたが、再プレイする気力はちょっとわかないので許してください。

総合評価が出る時にライバルたちの結果と比べられますが、年1回会ったような気がする相手と比べられてもピンときませんね……。一応ライバルの育成状況はプレイ中にも隠しコマンド(R1+△)で確認できますが、育成の指針になるかなあという程度ですし。まるで、同年代の疎遠な親戚が「〇〇に就職したんだってよ?」と親に聞かされるようなどうでもよさを感じちゃいました。キャラクターの数だけは多いのにやはりもったいない……。オープニングアニメのような活力を本編でも感じたかったですね。『魔法少女ファンシーCoCo』はいろいろともったいない作品でした。もしプレイするなら、ドラマCDなどで登場人物たちのキャラクターを掴んでいた方が楽しめるのではないでしょうか。

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