とんがりギャルゲー紀行 第123回:萌えるカジにょ

 前回に引き続き、今回も脱衣系のゲームを取り上げてみました。ご紹介するのはアルトロンによって開発されたアーケードゲームです。

萌えるカジにょ

 稼働開始時期は2002年。マカオ、モンテカルロ、ラスベガスのカジノを巡ってブラックジャックやポーカー、スロットなどのゲームに挑戦し(挑戦するゲームは任意選択可能)、ノルマを達成すると対戦相手が脱いでくれるゲームシステムのタイトルです。

 しかしなんでしょうね、この、タイトル画面から漂うダメ臭は。こんなことを言うとド失礼ですが、いまいち力の入っていないカラオケの背景画面のような風情が感じられます。あまりにダメ臭がするのでかえってわくわくしちゃうわこんなの。

 ちなみに実際のインカムはどうだったのか調べてみたら情報がろくに出てこないので、そも知名度が高くないであろうことだけはわかってしまいました。

 『萌えるカジにょ』のいまいち萌えない雰囲気は、タイトル画面だけではなく中身からも漂っております。

 まず、タイトルコールは女性ですが、スタートボタンを押すと「いっきまぁーす!」と元気な男性ボイスが響くんですよね。ついでにスロットでリーチになると「リーチだぜぇ~!?」と射幸心を煽ろうとしてきます。

 それによって受ける印象は熱血系ワイルド派。萌えではありません。燃えです。

 恐らく主人公(プレイヤー)の声のつもりでしょうが、“萌える”カジにょをうたうのなら女性ボイスを前面に押し出すべきだと思うの。

 一応、対戦相手(?)のヒロインのボイスも流れます。が、セリフはなんだかいまいち。
 こちらがチップを稼ぐと「ちょっとカッコいいかも」などと囁くのですが、特にカッコいいタイミングではありません。駆け引きの強さを見せたわけでもないのに取りあえずおだててくるので、おこぼれに与りたい人に見えちゃいます。

「よう兄ちゃん、随分景気がいいじゃねえか。一杯奢ってくれないか?」
↑こういうの。

 プレイヤーをちやほやしていい気分にさせたい意図があると察しましたが、セリフがいまいちなせいでなんかもうアレよ。

 そもそも対戦相手という設定なのに、女の子たちは揃いも揃ってちやほやしてくるんですよね。これって不自然ではないでしょうか。負けたら脱ぐことになるんですよ? 無理にちやほやしなくてもいいんです。「く、悔しいっ。でも負けたからにはおちち放り出すわよっ!」みたいな態度に終始していいんです。

 会話もちぐはぐでセリフは違和感だらけ、ちょびっとあるだけなのにシナリオはなんだか全体的に変な感じです。大事なのはどうせ脱衣部分だからと、シナリオ専門外のスタッフに任せたのかもしれません。予算には限りがありますからね。

 そもそもカジノを3つに分ける意味もなかったような。まずカジノごとの違いは会話時の背景くらいで、遊べるゲームは全カジノ共通です。一度ノルマ達成したゲームは更に高いノルマが課されるだけ。それぞれのカジノで3人の女の子が登場するのですが、3人目は必ずカジノのオーナーなんですよね。オーナーを脱がしたら次のカジノへと移るの。

 ディーラーの層が薄いよ。雑居ビルでやってる闇カジノの規模だよ。

 「3つのカジノで遊べる!」というとなんとなくのゴージャス感&お得感があるけれど、実際はアットホームなカジノを3箇所ハシゴしたような感覚よ。

 タイトルには「萌える」とありますが、自ら期待のハードルを上げる作品は往々にしてコケる傾向にある気がしますね。
 このゲームで遊んでいると「普通はこれで萌えるものなのか? 自分の感覚が特殊なのか?」そんな自問自答に陥り、しばらくして「これ、萌えないコンテンツなのでは?」と疑いの心が萌芽致します。なるほど“萌える”カジにょとはそういうことか。そっちの意味か。そんな自己解決に至りそう。今回は特にド失礼なことばかり申しておりますね。すみません。

 一応、擁護しておくとグラフィックは普通です。骨格に変なところもなく、まともです。

 ちなみに脱衣は1人1回、1ポーズのみ。全身をスクロールして映した後、10秒ほど自由にスクロールできる時間がプレイヤーに与えられます。

 この時にボタンを押すと脱衣時の女の子のボイスがリピートされます。それはいいのですが、女体が輝くキラキラエフェクトと歓声が何故か同時再生されるんですよね。ボイス再生はいい機能だけど、どうして女体が何度でもキラッキラするのか。そこはちょっと不思議。

 女体にクリスタル的な輝き求めてないよ。鉱物かよ。何番のペーパーで磨いたんだこの野郎。そんなツッコミが内心に浮かびましたが、やっぱりグラフィックはまともです。えっちかえっちじゃないかと問われればえっちではない気はしますけど。わりと健全な絵柄ですよね。

キラキラ女体参考画像

 正直言ってこの脱衣カジにょゲームはいまいち萌えません。が、女体を輝かせたり、燃えボイスを萌えゲーに取り入れちゃうずれっぷりはなんだか愛せる、そんなゲームだと思います。

 さて、今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。

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