とんがりギャルゲー紀行 第120回:あゆみちゃん物語 実写版

 2020年9月28日に『とんがりギャルゲー紀行』の書籍版が無事発売されました。皆さんはお手に取っていただけたでしょうか。
 今回、本の発売にあわせて宣伝用にツイッターの著者アカウントを作りました。今後はこちらからも更新のお知らせや宣伝などさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、それでは本日もとがったゲームを紹介していきますね。

あゆみちゃん物語 実写版

 アリスソフトのアダルトゲーム『あゆみちゃん物語』の実写版です。アリスソフトのヨシタカによって発案された企画で、写真撮影・販売は白夜書房。

 知らないという人のために補足すると、『あゆみちゃん物語』とはアリスソフトによるアダルトゲームです。付き合って半年の恋人、あゆみちゃんと主に体育倉庫でひたすらえっちなことに励むお話。ヒロインを1人に絞り、ストーリーを切り詰めたことでひたすらエッチに特化したという、当時としてはごく珍しい内容のゲームでありました。

 今でいうと『ラブプラス』シリーズや、奴隷少女をひたすら愛でる同人エロゲー『TeachingFeeling』なども同じ系統でしょうか。あとは家出少女と暮らす同人エロゲー『1room -家出少女-』とか。ヒロインにハマればとことん遊べるのがこういったゲームのいいところですね。『TeachingFeeling』や『1room -家出少女-』は購入からそれなりに経ちますが、今でもたびたび遊ぶタイトルです。『ラブプラス』は最近想い出にかわりました。

 『あゆみちゃん物語』のゲームシステムは間違いなくいいのだけれど、実写化となるとどうなのでしょう。実写ギャルゲーは「売れるのか」「そも売れそうに見える企画なのか」という点でいつも頭に疑問符が浮かびます。

 でも、よくよく考えてみれば会社の経費でえっちな女の子が呼べて、しかもそれが仕事になるとくれば、えっちなおじさんたちはノリノリにもなるものなのかもしれません。マニュアルのまえがきにあるプロデューサーの言によれば、「「あゆみちゃん物語」のゲームシステムで実写の女の子だったら見たい!買う(笑)という単なる個人の欲求から作られたというのが真相。」とありましたし。
 自分が本当に欲しいと思えるゲームを作るって、確かに大事な発想ですよね。本当に売れるのかはともかく。
 絵で描くと難しい構図でも写真なら楽、という制作のハードルの低さも実写化の長所なのかもしれません。写真なら特定の角度で骨格がぐんにゃりするなんて奇怪な事態も起こりませんし。起こったらこわいな。ジャンル変わっちゃう。
 そういえば、アダルトアニメにAV女優が声あてするとか、AV女優による実写化が流行った時期があったらしいという事情も耳にした覚えがあります。棒読みの嵐でクオリティはいまひとつだったそうですが。
 ちなみに本作でも、あゆみちゃん役の女優さんが時折死ぬほど気乗りしなそうな顔をしていることがあります。これは演技力というよりモチベーションの問題かも。

 実写版の内容は基本的に『あゆみちゃん物語』に準拠したものとなっています。シナリオもそうですが、えっち続行不可能になる前にプレイを切り上げるとあゆみちゃんの耐久度と主人公の精力の上限が少しずつ増える仕様や、ステータス成長やアイテム取得によってできることが増えていくゲームシステムも同じ。

 本作のみの要素もありますよ。あゆみちゃん物語実写版テーマ曲としてメガロマンス(白夜書房内外の関係者による急造バンド)の『青空まで飛んで行こう』がゲームディスクに収録されているのです。この曲は「雲一つ かざらぬ空」というフレーズで始まっていますが、撮影日は天気に恵まれなかったそうで、残念ながら実際はずっと曇天。スタッフのコメントにも「全体的にちょっと暗くて陰湿な雰囲気に仕上がってしまいました」とあります。

 そのほか、『あゆみちゃん物語』における「アリスの館」(スタッフコメントなどが見られるコーナー)にあたる「メガストアの館」では実写版スタッフのコメントや、移動やメイク中の写真が見られる「撮影日記」なども楽しめます。

 原作準拠といえば、マニュアルの再現度が高いのも本作の特徴でしょう。

 写真の構図やポーズには工夫がみられますが、身長や体重だけでなくスリーサイズもそのまんま。というかテキストは流用でしょうか。あゆみちゃんの数値ぴったりの娘を見つけてくるのは困難でしょうから、詐称になっちゃってる可能性が高いですね。別に数値をいじってもよかったのに。

 さて、『あゆみちゃん物語 実写版』はいかがでしたでしょうか。まごうことなき色物と思っていましたが、CG収集率を上げるうちに実写あゆみに愛着が湧いてきそうになって筆者は戸惑いました。元々評価の高いゲームシステムを流用しているのでプレイしても損はしませんから、ぜひプレイして私と同じ気持ちを味わってみてください。

※2020/10/15追記:

 『おまえのなつやすみ』シリーズや『さよならを教えて』も手掛けた石埜三千穂さんが友情出演しているそうですよ?

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