とんがりギャルゲー紀行 第16回:ムーンライトレディ

PCエンジンのタイトル『ムーンライトレディ』は王道変身ヒロインもののツボを押さえたアクションRPGです。
なかなか面白いのですが、実は中古市場でもあまり数が出回っていない希少なタイトルだったりします。

それというのも、本作は『美少女戦士セーラームーン』のやりすぎなパロディが問題になってしまい、初回出荷のみで販売が打ち切られてしまったワケありタイトルだからなんですよね。
変身中のBGMなんかはもう聞いただけで「おいおい」と言いたくなるほどそのまんま……。気になった方はぜひ一度聴いてみてください。
そもそもタイトルからして、月の光に導かれた美少女戦士たちを想起させるものですから、うっかり似てしまったとかそういうレベルじゃありません。クレームがつくのも納得のパロクオリティです。

問題になった変身シーン。BGMだけでなく、絵面もわりとそのままです。見た目のデザインはちょっとあれですが……。

https://www.youtube.com/watch?v=u2DhOBKhs0o

動画は↑こっちです。

このタイトルがリリースされたのは1993年。この頃はもろにセーラームーンが大流行していて、変身ヒロインといえばセーラームーンという固定イメージすらありました。当時に『ムーンライトレディ』をプレイしたなら、このやりすぎ感は今よりも強く感じられたでしょうね。

とはいえ、本作は「流行ってるからとりあえず乗っとけ!」みたいなやっつけ感のあるものではなく、「こういうのが好きだから悪ノリしすぎたんだろうなー」と感じさせる内容になっています。
普段はおバカでドジな女の子が、平和な学園生活を乱す悪と戦う……。はじめにも書いた通り、王道なんですよね。
お助けキャラな不思議生物がいて、キャラが立った仲間たちがいて、笑いありバトルあり。これぞ変身ヒロインものという要素があまさず詰め込まれています。

マーズとマーキュリーっぽいキャラな仲間たち。主人公を含め3人のムーンライトレディが登場します。

サポートキャラは鳥です。

ヴィジュアルシーンも豊富で好印象。この辺りは制作会社である日本テレネットの強みでしょうか。間の取り方が上手いんです。
わからないひとのために説明すると、日本テレネットは『夢幻戦士ヴァリス』シリーズを生んだところです。
ちなみにヴァリスは、ゲームにヴィジュアルシーンとボイスがいち早く取り入れられたことでギャルゲーの祖とも言われる作品です。
そんな作品を生んだ日本テレネットにとって、『ムーンライトレディ』のような作品での演出は得意中の得意だったのではないでしょうか。

各話完結のストーリー仕立てで、合間に挿入されるアイキャッチのおかげもあってアニメっぽい雰囲気が出ています。

うーん、つくづく販売中止になったのが惜しいタイトルですね。こういう悪ノリは嫌いじゃないです。もちろん権利侵害はよくないことですけれど。

 

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