とんがりギャルゲー紀行 第14回:ファースト☆Kiss物語

3D描画とゲームハードが出会った頃、それでもX軸とY軸だけが彩る世界に賭け、そして敗北していったゲームハードがありました。
その名もPC-FX。負けたとはいってもギャルゲーにやたらと特化した愉快なハードでした。

そのPC-FXの有終の美(?)を飾ったタイトルがこちら。
『ファースト☆Kiss物語』です。

忘れっぽい自分はこのゲームのタイトルをよく忘れてしまうのですが、誰かに「あのゲームのタイトルなんだっけ?」と聞くときには大体こう説明してしまいます。

「ほら、あの、PC-FXで出た、サターン星人と恋するヤツです」と。

サターン星人と恋するヤツ。

こんな言い方していますが、筆者は決してこのゲームが嫌いではありません。ただ、一度口に出すとすごくしっくりきてしまいまして。ヒロインの頭が妙に縦長ですからね……。
そしてこのゲームを知る人にはいとも簡単に伝わってしまうんです。
「ああ、『ファースト☆Kiss物語』のことだね」って。
まったくひどい話もあったもんです。ファンの方は怒っていいんですよ。

知らない方のために、サターン星人参考画像。

とんがりギャルゲー紀行史上初の、物理的にとんがったギャルゲーということになるのでしょうか。とがったというかでっぱったというか。
史上初もなにも、このコーナーの歴史は始まったばかりですが。

ちなみにストーリーはとがったものではなく、王道中の王道です。美人一家とひとつ屋根の下で暮らすドキドキのラブコメディー。
ヒロインたちと出会って交流を深める共通パートとヒロインを選んでからの個別パートに分かれていて、最終的に意中の相手とファーストキスをするシーンがフルアニメーションで描かれてエンディングになります。

同居初日にメインヒロインと風呂場で遭遇してしまい、関係が最悪な状態からはじまる――とか。
話がこれでもかというくらいにベタベタなのがいいんですよね。
まあその王道フラグをスルーしてメインヒロインの妹や母親とくっついたりもできちゃうんですけども。

風呂遭遇シーンのアニメから一枚。

ついでにイベントCGを一枚。風呂シーン多いなあ。

突然の同居ストーリーが王道といっても、現実では複数の他人との共同生活なんて「この陰毛を落としたのは誰だあ!?」みたいな疑心暗鬼に陥ったりしますからね。ラブコメじゃなくて推理モノです。
仲間に陰毛犯の疑いをかけられて憤りを感じた記憶がよみがえります。あれは決してラブコメではありませんでした。
それを踏まえると『ファースト☆Kiss物語』は微笑ましくていいですね。癒されます。

全ヒロインのエンディングにフルアニメーションのキスシーンが用意されているのは豪華かも。隠しヒロインも含めて攻略対象は11人か12人ほどいたはずですので、結構なボリュームだったのではないでしょうか。

PC-FX作品はゲーム中にアニメを取り込んだものが多く、『ファースト☆Kiss物語』にもアニメーションが豊富に使われていました。古き良き王道ラブコメという雰囲気はこのアニメーションからもにじみでていた気がします。展開もそうですが、登場人物の会話やリアクションの間からそんな感じが。

アニメーション豊富なギャルゲーがハードの最後を飾る作品になったというのはPC-FXらしい感じがしますね。当時はPC-FXがギャルゲー特化機という認識もあったので。

 

おまけ。

PC-FXの人気作『ブルーブレイカー』や『プライベート・アイ・ドル』からのゲストヒロインたちがミニゲーム(作中に登場する格ゲー)に登場します。このハードを愛していた人には嬉しいファンサービスかも?

ああ、そうそう。本作はプレイステーション版もリリースされましたが、パンチラシーンはすべてカットされておりますのでご注意を。PS版はフルボイス化されていて、ヒロインによっては個別ストーリーのエピソードが増えたりと内容が良くなっている部分も多いので、どちらがいいとは言い切れません。両方やってみるのもありかもしれませんね。

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